要介護高齢者の入院で患者と家族の関係が希薄化しやすく,臨床特有の看護師と家族の関係構築が必要となる。そこで,要介護高齢者が多く入院する病院での家族への関与の過程と影響要因を明らかにし,対策の検討を目的とした質的な分析を実施した。
その結果,病院における看護師の家族への関与の過程は,家族からの否定的な言動から【振り回す家族への陰性感情】を抱くが,【看護アピールの必要性の再認識】によって【家族への方略的かかわり】を実践し,【患者・看護への家族の関心に対する手ごたえ】を導く過程であった。この過程には,看護師側の心理的要因や病院の機能上の問題も影響し,『入院中の要介護高齢者の家族との相互理解に向けた看護師の関与の過程』であった。このことから,入院によって疎遠になりがちな要介護高齢者と家族には,看護アピールを出発点とした看護師の方略的かかわりが,臨床における家族-看護師の関係構築となることを示した。
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