本研究では,特定機能病院の退院支援部署における2002年2月から2007年3月までの5年間における1,525件の看護相談の実態を明らかにし,自宅退院事例と転院・施設入所事例の特徴を比較することで,効果的に退院支援を行うための示唆を得ることを目的とした。
入院患者への支援が全体の86.0%を占め,支援事例の平均在院日数は70.1日で平均支援日数が28.0日と長く,介護保険制度の利用が最も多かった。また,自宅退院事例は,悪性腫瘍が多く,社会資源の調整や地域関係者とのカンファレンスが転院・施設入所群より有意に多かった。転院・施設入所事例は,脳血管疾患が多く,リハビリテーションなどの継続が必要な事例が多く,他機関との連絡交渉が自宅退院群に比し有意に多かった。以上より,病棟と早期に連携を図り,連携システムを定着させること,在宅療養を視野にいれた退院支援が効果的であることが示唆された。
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