静圧気体軸受の剛性を向上する最も単純な手段は, 給気圧力を高くすることである.高圧給気による静圧スラスト気体軸受の高剛性化に引き続き, 本研究は, 実用上, より一層の高剛性化が求められている静圧ラジアル気体軸受について, 高圧給気による高剛性化とそれにかかわる疑問を解明した.さらに, 本研究の結果をもとに, 実用的な高精度高剛性スピンドルの設計を行った.本研究で得られた結果を列挙すると以下のとおりである.
(1) ラジアル軸受においても軸受剛性は, 理論値が示すとおり給気圧力に対し直線的に高くなる.
(2) 給気圧力を高くすると, ニューマティックハンマの発生領域は広くなるが, 高剛性軸受が対象とするようなすきまの狭い領域では全く安定である.
(3) 軸受流量は給気圧力が高くなると理論値が示すとおり増加するが, 軸受すきまが狭いので, 絶対量としてはそれほど多くならない.
(4) 高圧給気を用いて, 従来のスピンドルの軸受性能を大幅に上回る超精密加工用スピンドル製作の可能性を明らかにした.
抄録全体を表示