日本血栓止血学会誌
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12 巻, 4 号
August
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総説
原著
  • 奥平 真理子, 朝倉 英策, 佐野 陽子, 菅 幸生, 山崎 雅英, 青島 敬二, 森下 英理子, 斉藤 正典, 御館 靖雄, 水谷 朋恵, ...
    2001 年 12 巻 4 号 p. 273-279
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル フリー
    DICにおける多臓器不全 (MOF) の進展は, 多発した微小血栓による微小循環障害が主因と考えられてきた. この度, これに加えて, 血管作動性物質である一酸化窒素 (NO ; 代謝産物はNOX) およびエンドセリン (ET) がDIC病態に関連していないかどうかラットDICモデルを用いて検討した. Wistar系ラットを用いて, LPS誘発DICモデルはLPS50mg/kg, TF誘発DICモデルはTF3.75単位/kgを尾静脈より4時間かけ点滴静注し作成し, 血中D-dimer, NOX, ETを測定し, 腎糸球体フィブリン沈着 (GFD) を病理学的に検討した. LPS誘発DICモデルにおいては, 血中ETの有意な上昇, 腎糸球体フィブリン沈着は高度であったが, D-dimerの上昇は軽度であった. 一方, TF誘発DICモデルにおいては, 血中D-dimer, NOXの上昇は著明であったがフィブリン沈着はまったくみられなかった. 血管作動性物質は, LPSモデルにおいては臓器障害の進展 (ETによる微小循環障害) に, TFモデルにおいては臓器障害の阻止 (NOによる血流維持) に関連している可能性があり, 今後検討すべき点と思われた.
  • 市川 典子, 後藤 信哉, 金 載英, 吉田 美奈子, 李 敏, 宮本 信三, 小川 久雄, 半田 俊之介
    2001 年 12 巻 4 号 p. 280-287
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル フリー
    von Willebrand因子 (VWF) 血漿濃度は, 血管内皮細胞の機能動態を示す臨床的指標となり得る. 心不全例, 肺動脈性肺高血圧症例の血漿VWF濃度を計測し, 肺循環系への慢性の血行動態的刺激と血漿VWF濃度の関連を検討した. 狭心症例を対象として, 造影剤による急性の循環負荷の前後, アセチルコリンによる生化学的血管内皮細胞刺激の前後の計測を行なった. 心不全症例の血漿VWF濃度は23.1±9.2 (μg/ml), 肺高血圧症例では21.2±5.3 (μg/ml) と, いずれもコントロールの10.3±3.7 (μg/ml) に比較して高値であった (p=1.19×10-10, p=6.34×10-11). 造影剤投与前に13.2±4.7 (μg/ml) であったVWF血漿濃度は, 造影後に12.1±4.5 (μg/ml) に低下した (p=0.011). アセチルコリン負荷後の冠静脈洞血漿中VWF濃度もむしろ低下する傾向を呈した. 血漿VWF濃度は, 急性の血行動態的, 生化学的刺激よりも, 肺循環系への慢性の血行動態的刺激の存在を示唆する指標となることが示唆された.
  • 奥平 真理子, 朝倉 英策, 佐野 陽子, 菅 幸生, 山崎 雅英, 青島 敬二, 森下 英理子, 斉藤 正典, 御館 靖雄, 水谷 朋恵, ...
    2001 年 12 巻 4 号 p. 288-293
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素 (NO) は, 血管拡張因子, 神経伝達物質としての役割を有している一方で, 細胞障害性や血圧低下 (ショック) など, 生体にとって長短両面の作用を有しているが, 生理的状態においてNOが抗血栓性の観点からどの程度の役割を果たしているかは不明である. 今回われわれは, 生理的状態にあるWistar系ラットに対して, NO合成酵素阻害剤であるL-NAMEを投与することにより, NOの果たしている役割を考察した. L-NAME0.8, 4, 20, 100mg/kgの各用量のものを, 4時間かけ尾静脈より点滴静注した. 同剤の投与により, 血中フィブリノゲン, D-dimerは有意に上昇し, TATはL-NAME20mg/kg以上で有意に上昇し, 腎糸球体におけるフィブリン沈着は, 同剤の用量依存性に高度となった. L-NAMEの投与により血栓傾向が惹起されたことは, NOが生理的状態においても生体内における抗血栓作用に重要な役割を果たしていることを示す成績と思われた.
  • ―散乱光法による自然凝集とフローサイトメトリー法の比較検討―
    清水 美衣, 山本 正博, 小原 さおり, 田中 由美子, 宮地 勇人, 安藤 泰彦
    2001 年 12 巻 4 号 p. 294-299
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/05/12
    ジャーナル フリー
    目的 : 本研究においてわれわれは, 活性化血小板検出のためのレーザー散乱光法と活性化血小板マーカーを用いたフローサイトメトリー法の感度・特異度を検討した. 方 法 : 対象は, 慢性期脳梗塞患者35例. 対照として年齢のマッチした16例を用いた. 自然凝集能とくに小凝集塊 (レーザー散乱光法), そして血小板活性化特異的モノクローナル抗体 (抗CD62P抗体とPAC-1) とフローサイトメトリーによる測定を行い, 感度, 特異度, 各検査間の相関を比較した. 結 果 : 自然凝集能, CD62P陽性率, PAC-1陽性率の感度はカットオフ値を対照群における平均値+2SDに設定するとおのおの37.1%, 60%, 60%, 特異度は100%, 100%, 94%であった. また, ROC曲線 (判断分析) による評価では, 抗CD62P抗体とPAC-1のAUC (ROC曲線より下の面積) が, おのおの0.866±0.049, 0.847±0.055に比し, 自然凝集能 (Smax) は0.752±0.068と低値を示したが, 自然凝集能とCD62P陽性率, PAC-1陽性率に統計的有意差は得られなかった. 散乱光法による自然凝集とCD62P, PAC-1陽性率の間に有意の相関がみられた. 結 論 : フローサイトメトリーによる検出法は, レーザー散乱光に比し感度に優れ, 血小板活性化の検出法として有用である.
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