血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy: TMA)は血小板減少,細血管障害性溶血性貧血,血小板血栓による臓器障害を三徴候とする症候群である.様々な病態を包括し,ADAMTS13(a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motif 13)活性著減を原因とするもの,補体が関与するもの,背景に何らかの基礎疾患を有する二次性のものなどに分けられる.TMAは診断に難渋する症例も散見されるが,死亡することもあり,適切な治療を速やかに選択することが求められる.
近年,TMAの治療は知見が集約したことにより,病因によっては死亡率の改善を認めるものも出現した.病因により使用できる薬剤や治療法が異なるが,血漿交換療法やEculizumabなどの登場により,飛躍的にその死亡率が改善した病型も存在する.Caplacizumabの登場により,ADAMTS13活性低下を原因とするTMAにおいて新たな介入の選択肢が増えたが,先述のとおり,TMAは様々な病因を有する疾患を包括する概念であり,個々の症例において病因に合わせた治療介入が求められる.
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