血友病の凝固検査の特徴はAPTT延長にある.APTT測定時に得られる経時的な光強度情報(透過率,吸光度,散乱光量など)に基づく凝固波形解析から,血友病診療に有用なさまざまな情報が得られる.光強度変化を相対化することにより,凝固第VIII因子,第IX因子(FVIII, FIX)機能に焦点を当て,形成されるフィブリンの質的あるいは量的な影響を補正することが可能であり,実際に活用され始めている.血友病の診断においては,FVIII活性やFIX活性の1%未満の微量測定,genotypeとphenotypeを反映した包括的凝固機能 “coagulotype” の判定,APTT延長要因についての効率的な識別,などに凝固波形解析が有用である.血友病の治療においては,半減期延長型凝固因子製剤,バイパス止血製剤,非凝固因子製剤のモニタリングへの応用が研究されている.凝固波形解析は臨床検査室レベルの全自動凝固検査装置に実装可能であることから,汎用性が最も期待される包括的凝固機能検査法であると言える.
抄録全体を表示