アンチトロンビン(antithrombin)-small interference RNA(AT-siRNA)は,RNA干渉により肝臓でのAT産生を阻害し,血液を過凝固にrebalanceする事で血友病の出血傾向を抑制する新規のnon-factor製剤である.血友病治療は,血友病性関節症を回避する為の凝固因子製剤の定期補充療法がいまだ標準的治療であるが,定期補充療法は頻回の静脈穿刺がQuality of Life(QOL)低下の要因となる.AT-siRNA製剤のFitusiranは,月1回皮下投与の製剤であり,従来の定期補充療法における頻回の静脈穿刺によるQOL低下を改善できる可能性がある.また,血友病AまたはB,インヒビターの有無を問わず効果を発揮できる.本稿では,現在臨床試験が進行中のFitusiranに関して,第1/2相試験の結果を中心に概説する.