はじめに:成人脊柱変形手術に対する矯正固定術における周術期出血量の定量化リスク因子について検討した.
対象と方法:2019年12月から2023年11月までに行われた成人脊柱変形手術283例中胸椎から腸骨まで固定した125例を対象とした.
患者背景(年齢,性別,BMI,抗血栓薬・腎不全・高血圧・糖尿病の有無),手術関連因子(総手術時間,総術中出血量,手術方法,術後ドレーン出血量,周術期出血量)を検討した.また平均周術期出血量以上/未満の症例を比較し出血量に係るリスク因子について検討した.
結果:平均年齢70.9歳,抗血栓薬継続7例であった.平均術中出血量は971.3 ml,平均手術時間は480.1分,平均ドレーン出血量は1,206.8 mlであり周術期平均出血量は2,178.1 mlであった.周術期出血2,200 ml以上の症例ではBMI高値,骨切り,手術時間に有意差があったが抗血栓薬使用には有意差がなかった.
結語:成人脊柱変形手術の周術期出血量を算出した.高BMI,骨切り,手術時間は周術期出血量を増やすリスク因子である可能性がある.抗血栓薬の継続使用による周術期出血への影響は今後さらなる検討を要する.
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