フォトフェントン反応を用いたSMX(スルファメトキサゾール)の分解および無機化実験を行った。初期全鉄イオン濃度が16 mg•L
-1,初期過酸化水素濃度が500 mg•L
-1,主波長を352 nmとする紫外線照射下で,初期SMX濃度176 mg•L
-1を5 minで完全に酸化分解できた。40 minで初期TOC(全有機炭素)濃度83 mg•L
-1の65%を無機化できた。初期全鉄イオン濃度が5 mg•L
-1以下では,濃度の上昇に伴いSMXの分解速度定数は上昇したが,それ以上では上昇しなかった。反応中の有機酸濃度の経時変化を測定することにより,OHラジカルとの反応性が低い有機酸が系内に蓄積することを確認した。また,実排水中における夾雑物質とSMXのOHラジカルとの反応速度定数の比較により,実環境中の濃度が極低濃度である医薬品成分の場合,夾雑物質の影響を大きく受ける可能性が示唆された。
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