工業化学雑誌
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67 巻, 1 号
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  • 飯田 弘忠, 桑原 仁太郎, 遠藤 基雄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 210-213
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    染料廃水の脱色処理の基礎資料を得るのが目的で, 硫酸鉄( I I ) を用いて染料水溶液から染料を凝集沈殿させる方法を5種類の直接染料について検討した。精製した染料を水に溶かし,硫酸鉄(II)を種々の条件下に加え,生じた染料の沈殿を遠心分離機で沈降させ,沈殿しない染料を比色によって定量した。得られた結果はつぎのようである。
    1)水酸化カルシウムを用いてpHを7~11にした染料水溶液に,硫酸鉄(II)を鉄に換算して100ppm加えると,C.I.Direct Black38,C.I.Direct Green6,C.I.Direct Red23は100%沈殿し,C.I.Direct Yellow12は約85%沈殿した。C.I.Direct Blue6は沈殿しにくいが,pH11では86%沈殿した。
    2)硫酸鉄(II)による直接染料の沈殿には,水酸化カルシウムを用いて染料水溶液のpHを調整することが必要である。水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたのでは,染料沈殿率は一般に低い。
    3)硫酸鉄(II)と水酸化カルシウムを用いて染料を沈殿させる場合に,染料水溶液中に炭酸ナトリウムが存在すると,染料沈殿率が低下する。
  • 平島 恒亮, 真鍋 修, 檜山 八郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 213-215
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報で求めた光退色反応速度式で定義したα 値をもって,4-置換-1-ナフタリンスルホソ酸類のコンゴーレッドの光退色に対する保護作用の置換基効果を評価できることを示し,αとHammettのσp の間に
    のHammett則が成立し,ρは大約-0.7であることを示した。
    置換基Rの光退色保護作用とσpの関係について論じた。
  • 関戸 実, 唐沢 幹雄, 飯島 俊郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 216-220
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    6-ナイロン繊維による酸性染料の2者混合吸着について調べた。用いた染料はアゾおよびアントラキノン系酸性染料,計3種である。用いた2染料間に標準親和力の差があるときは,両染料の平衡吸着量の比はpHの減少とともに直線的に変化する。酸性染料の6-ナイロンによる吸着に,イオン的な結合と非イオン的な結合機構とを考えることによって実験結果を説明することができる。
  • 林 雅子, 松本 芳枝, 矢部 章彦
    1964 年 67 巻 1 号 p. 221-224
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維上の染料の染着状態(染料の凝集度)に関する一連の研究において,染着状態に影響を与えると思われる染色条件のもとで,直接染料/セルロースの系につき検討を加えた。
    本報においては,代表的青色直接染料Chlorazol Sky Blue FF (Direct Blue1,C.I.24,410)を,水,水/エタノール,水/n-ブタノール染浴から,種々の濃度でセロハン膜に染色した系をとりあげた。
    セロハン染色物の吸収スペクトルから,水/n-ブタノール系からの染色物において,染料は他より高い凝集状態にあると推定された。
    また,染色物の耐光性を光退色次数曲線(CF曲線)からしらべると,この系からの染色物は,水,水/エタノール系からのものよりはるかに高い日光堅ロウ度を示す。この二つの結果から,親水性の低い染浴からの染色物が,より高い凝集度で染着していると考えることができよう。水/n-ブタノール系からの染色物はまた,非常に高い洗タク堅ロウ度を示した。
  • 佐治 孝
    1964 年 67 巻 1 号 p. 225-229
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    市販オルトリン酸の加熱脱水によって調製したP2O565~75%の濃度範囲にある脱水リン酸(DPA)の凝固現象を観察した。まず濃度-凝固点曲線を求め,P2O572%付近に極大凝固点(32℃)を示すDPAの存在を認めた。ついでP2O572%以下のDPA中の結晶状に固化する部分について,これを液相から分離して硝酸銀反応によって定性した結果,ピロリン酸の存在を認め,これから結晶化しやすい物質はオルトリン酸の水和物であり,これに脱水縮合によって生じたピロリン酸を含むものと想定した。なお,P2O572%以上のDPAが,急激に凝固しにくくなる原因の一半は,この濃度以上からピロリン酸をはじめ高次の縮合リン酸の生成が急増し,DPAはこれらを含む複雑な混合系液体となるためであると推定した。
  • 佐治 孝
    1964 年 67 巻 1 号 p. 229-231
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    市販オルトリン酸の加熱脱水によって調製したP2O565~80%の濃度範囲にある脱水リン酸(DPA)について,まずその化学組成をペーパークロマトグラフ法によって検討し,DPA濃度の増加とともにピロ,トリ,テトラの各縮合リン酸も含まれることを確認した。ついでその室温~200℃の温度領域における比重を測定し,これから見積った平均膨張係数,見かけの分子容がいつれもP2O571~72%付近で極小値をとる事実を認めた。これはDPAが緻密な液体構造をとるものと了解され,前報においておこなったこの濃度付近において凝固しやすい特殊な水和物が生成するという推定を裏付ける知見が得られた。さらにこのものの熱分解と関連すると思われる比重-温度曲線上の不連続現象が130℃付近において見出された。
  • 天野 隆司, 平尾 穂, 大門 信利
    1964 年 67 巻 1 号 p. 232-235
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    先に引下法に種結晶を使用することによって,ルツボの内容物全体をいわゆるブック状の結晶に育成し得ることを報告した。当報告はこの方法を用いて結晶を育成する場合の育成条件の一つとして,最良のルツボの型を求めようとするものである。
    劈開面を揃えて重ねたフッ素金雲母の種結晶を白金ルツボの下部に入れ,その上に原料として雲母粉末を溶融した塊を充てんして密閉し,タテ型白金電気炉に挿入した。種結晶の上部および原料を溶融した後ルッボを引下げ,未溶融の種結晶を核として結晶を育成した。ルツボの型は種結晶の入る細い部分の幅を5mm,広い育成部分の幅を10,15,25mm,奥行を5mmとし,細い部分から広い部分への開き角度を30°,45°,60°,90°としたものを用いて結晶を育成した。
    育成結晶の光の透過率を測定した結果から,ルツボの開き角が90°,結晶育成の広い部分の幅が15mmのものが最良であった。
  • 中井戸 靖明
    1964 年 67 巻 1 号 p. 236-239
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    チタニウムおよびアルミニウムアルコキシドにおいて,アルコキシ基をφ3SiO-基またはMe3SiO-基で全て置換した化合物は二,三の研究者により合成されており,それを用いてある程度重合度が大きく,かつ耐加水分解性の大きい化合物を得ることが試みられている。本報告において,TiまたはAlのアルコキシド中の一部をMe3SiO-基で置換し,耐加水分解性に著しい相違のあることをもとにして,共加水分解またはエステル交換反応による縮重合に際して重合性方向を与えることを目的とした。各置換体を単離し,それについて分子量,分析結果,赤外吸収スペクトル,沸点および融点を検討した結果,各部分置換体の合成が可能であると結論した。
  • 大谷 杉郎, 中井戸 靖明, 小島 昭, 新井 近
    1964 年 67 巻 1 号 p. 239-243
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    AlOSi結合を骨格とする高分子をつくる目的で,シクロヘキサン中で各種のメチルアセトキシシランとイソプロポキシアルミニウム(TPA)との反応について検討し,次の結果を得た。
    (1)Me3SiOAcとTPAとの反応では,シランとTPAとのモル比が2以上では,脱エステル反応と共に交換反応も生ずる。
    (2)Me3SiOAl(OPr)2とMe2Si(OAc)2との反応では,きわめて粘稠な液体が得られる。この物質は,

    なる分子の会合によって生ずるものと推定した。
    (3)Me2Si(OAc)2とTPAの反応では,膨潤性の白色粉末と結晶性の沈殿が得られ,MeSi(OAc)3とTPAとでは,結晶性沈殿と少量の液状シロキサンが得られた。
    以上の結果から,シランのアセトキシ基の数が多くなるほど交換反応が生じやすくなり,(Me3SiO)3Alが生成する場合以外は,アセトキシ基の配位による配位高分子型の生成物が生ずることを明らかにした。
  • 木島 一郎, 分島 郁子
    1964 年 67 巻 1 号 p. 244-246
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第IV族元素塩化物とアルコールからテトラアルコキシ誘導体を得るには縮合剤を必要とするものがある。チタンやジルコニウムのテトラアルコキシ誘導体を得るに塩基としてアンモニアやアミンを用いる方法はすでに詳細に研究されている。縮合剤として弱塩基性のアミンを用いた場合には生成物中に少量の塩素が存在するアルコキシドが得られ完全なテトラアルコキシドを得ることはできない。この原因はテトラアルコキシドと生成したアミン塩酸塩との反応にあると考えられる。そこでこの現象を検討するためにチタンとジルコニウムのテトラアルコキシドとアミン塩酸塩との反応について実験を行なった。
    塩基性の大きい立体効果の小さい脂肪族アミンの塩酸塩ではテトラアルコキシドとの間に反応は起こらないが,塩基性の小さい立体効果の大きい芳香族アミンの塩酸塩との間では反応が起こる。しかもその反応性はアミンの塩基性や立体効果に左右され,それら中心金属も重要な因子をなし,溶剤の種類によっても影響を受けることがわかった。
  • 武上 善信, 上野 徹
    1964 年 67 巻 1 号 p. 246-253
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    無水重金属塩とLiAlH4との反応によって生成する黒色の物質がテトラヒドロフランに均一に分散し,高いオレフィン水素添加触媒活性を有し,かつその触媒活性がLiAlH4と重金属塩のモル比に依存していることを見出した。塩化鉄(III),塩化ニッケル,塩化コバルト(II),塩化クロム(III)および塩化ロジウム(III)などがLiAlH4と反応したときに生ずる黒色物質の触媒活性について検討した結果,これらの物質の触媒活性は,従来の,グリニャール試薬を用いて合成した重金属水素化物の触媒活性によく対応していることを明らかにした。また,鉄触媒について,反応混合物の変色点,触媒活性の現われ始める点および触媒活性が最大になる点の3点に関して,これらの点に達するまでに消費されるLiAlH4の量とグリニャール試薬の量との間に対応関係があることを示し,さらに,鉄触媒の保有水素をジエチルケトンまたはスチレンへ導入させ,その還元生成物を定量してこの鉄触媒の主体は鉄水素化物であると結論した。
  • 山下 雄也, 石川 義男, 津田 鉄雄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 252-255
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α,α-ジメチル-β-プロピオラクトンはによって高分子量,高融点のボリマーを生成する。この場合α-水素の触媒は低分子量ポリマーのみを与える。関係するモノマーへの連鎖移動は起こらず,ポリマーの重合度はモノマー濃度と触媒濃度との比に依存している。一方酸。_方酸β-プロピナラクトンの塩基触媒による重合において,ベタインは第三アミンと同程度の触媒活性を有し,高分子量ボリマーを生成するが,ヨウ化第四アンモニウムは低分子量ポリマーのみを生ずる。またベタイン触媒による重合で溶媒効果畢が認められた。塩化スズ(IV)触媒によるβ-プロピオラクトンの重合を,水分の除去に注意して行なうと,生成ポリマーの分子量が上昇することから,酸触媒重合においては,水による停止反応が,ポリマーの重合度を規定する主要な因子であることを明らかにした。
  • 谷本 重夫, 小田 良平
    1964 年 67 巻 1 号 p. 255-257
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-クロルスチレンのグリニャール化合物にエピクロルヒドリンを作用させ,さらにアルカリで処理してp-グリシジルスチレンを合成した。このものはベンゼン核をはさんでビニル基とエポキシ基を有する興味ある化合物と考えられるが,これを重合させて新しいエポキシ樹脂を合成した。さらに,この樹脂を硬化させ,それについて二,三の性質を検討した。
  • 林 郁弥
    1964 年 67 巻 1 号 p. 258-261
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリエチルアルミニウム-四塩化チタンならびにトリエチルアルミニウム-バナジウム化合物系触媒によるプロピレン(モノマー1)とスチレン(モノマー2)との共重合を行ない,各触媒系によるモノマーの相対反応性比r1,r2を求めた。さらに各触媒系により生成する共重合物の検討を行なった。
    重合温度60℃,Al(C2H5)3/TiCl4(あるいはV化合物)=1.5でのr1,r2は次の通りである。
    Al(C2H5)3-TiCl4系:r1=3.7r2=2.0
    Al(C3H5)3-VOCl3系:r1=1.0r2=1.5
    Al(C2H5)3-VCl4系:r1,=2.4r2=1.9
    Al(C2H5)3-VCl3系:r1=5.5r2=1.0
    トリエチルアルミニウムーバナジウム化合物系触媒ではVCl3,VCl4,VOCl3の順に初期共重合生成物へのスチレンの導入割合は大きくなる。共重合生成物の溶剤抽出ならびに組成分析の結果より上記いずれの触媒系による共重合でも共重合体の生成と同時にスチレンの単独重合が起こり,VOCl3,VCl4,TiCl4を用いた共重合ではアセトン可溶性のポリマー(主にアタクチックポリスチレン)の生成が著しい。
  • 鍵谷 勤, 清水 剛夫, 左納 武蔵, 東 浩司, 福井 謙一
    1964 年 67 巻 1 号 p. 261-264
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジルコニウムリン酸塩-トリエチルアルミニウム系触媒によるエチレン高重合反応の研究を行ない,ジルコニウムリン酸塩の焼成によるその構造変化と重合活性物質との関連性について,次の結果をえた。
    用いたジルコニウムリン酸塩は,二水素リン酸ジルコニウムから焼成によって無定型のピロリン酸ジルコニウムに変化し,その量に応じて重合活性が大となる。この割合は焼成温度の上昇とともに大きくなるが,700℃以上の温度では,表面積の低下により重合活性が減少する。重合活性物質は,固体上のZr→OとAlEt3の相互作用によって生成するものと推論した。
  • 井本 稔, 小谷 信, 戸田 粛正
    1964 年 67 巻 1 号 p. 265-267
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    モノクロルメチルm-キシレンおよびジクロルメチルm-キシレンとm-キシレンとを種々の触媒で反応させると,どちらからも同じ2種の生成物が得られる。それらの構造を検討した。AlCl3触媒では,3,5,3',5'-テトラメチルジフェニルメタンと,テトラメチルアントラセンが生成する。またFeCl3,Fe2O3触媒では,2,4,2',4'-テトラメチルジフェニルメタンと三核体が生成する。AlCl3の場合にはmp168℃のテトラメチルアントラセンを少量副生した。
  • 杉浦 正昭, 藤井 悦男
    1964 年 67 巻 1 号 p. 268-271
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリビニルピロリドン(PVP)溶液に硝酸銀および臭化カリウムを添加して生成した臭化銀をエマルジョンとして分散させた場合,その分散状態はPVP,硝酸銀および臭化カリウム溶液のそれぞれの濃度により大きな影響を受ける。特に分子量の大きいPVPの濃厚溶液中では臭化銀はよく分散されず,かえって希薄溶液の方が分散されやすい。また硝酸銀あるいは臭化カリウム溶液の一方の濃度を変えて乳化を行なうと,臭化銀の分散状態は両液の当量点付近で最もよい。同一PVPで金ゾルに対する保護効果を測定したが,PVPは他の親水性ポリマーと比較して金コロイドをよく保護し,特に分子量の大きいほどPVP保護効果は大きい。
    PVPは臭化銀に対して,ゼラチン乳剤にみられるような疎水粒子表面のイオンとポリマーが強い結合力によって保護皮膜を形成するのではなく,比較的弱いVan der Waals力により定着保護するものと思われる。
  • 1964 年 67 巻 1 号 p. A1-A15
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general ideaof the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommendedto refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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