茶業研究報告
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1983 巻, 58 号
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  • 立枯症との関連について
    青木 智, 鳥屋尾 忠之
    1983 年 1983 巻 58 号 p. 1-6
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    立枯症の初期症状(細根の機能低下)に対するせん枝の影響を検討する目的で本研究を行った。本報では立枯症感受性のやぶぎたと抵抗性のふじみどりを中心に用いて,細根の呼吸に対するせん技の影響,さらに過剰施肥と過湿の間接的な効果について検討した。
    せん技によって細根の呼吸速度は低下し,それはせん枝の程度に依存した。品種間ではおくむさし,ふじみどり,さやまかおりの低下が小さく,やぶぎた,くらさわ,おくみどり,かなやみどりの低下が大きかった。この品種間差異は立枯症の発生難易と一致した。
    過剰施肥により,一時的な呼吸低下がみられたが,やぶきたよりふじみどりの方が低下が大きかった。
    2日間の湛水処理によっても細根の呼吸速度は低下し,処理をやめると,徐々に回復した。しかし,やぶきたとふじみどりで低下割合,回復速度とも差は認められなかった。
    やぶきたについてせん枝を行い,さらに施肥を標準濃度と2倍濃度に変えて与えると,2倍濃度の施肥でせん枝による呼吸低下が大きくなった。
    また,せん枝後,さらに湛水処理をすると,せん枝をしない場合に比べて湛水処理による呼吸低下は大きくなり,湛水処理後の回復からも遅れるようになった。
    以上の結果から,せん枝は細根の呼吸低下を引き起こし,その品種間差異は立枯症の発生難易と一致することが明らかになった。したがって,せん枝は立枯症発生に関与する重要な要因と考えられる。また,過剰施肥と過湿はせん枝の影響を助長することが明らかとなり,立枯症との関連について考察した。
  • 矢野 清, 常包 一明, 安部 秀雄
    1983 年 1983 巻 58 号 p. 7-19
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    干ばっ防止上かんがいの効果は大きいが,茶園土壌が透水性不良で下層での排水が悪いとかんがいによりかえって湿害が発生する。そこで,粘質な透水性不良茶園での暗きょ排水とかんがいが茶樹の生育に及ぼす影響を検討した。
    定植3年目の一番茶収量は暗きょにより増加し,株張りも暗きょにより増加したび一番茶収量と株張り間には有意な正の相関が認められたことから,旧音きょによる一番茶収量の増加は主に摘採面積の増大によるものと考えられた。また,暗きょにより下層までの気相率の増加がみられ,それが一番茶収量の増加に主に影響したと考えられた。
    夏枝条の生育量,すなわち夏せん枝量は暗きょとかんがいにより増加し,かんがいの効果が著しかった。夏せん枝量は干ばつ時の土壌永分消費量に主に影響され,土壌水分消費量はかんがいにより増加し,暗きょ区でその増加が著しかった。土壌水分消費型は暗きょ区では漸減全層消費型,無暗きょ区では極端な表層消費型であった。
    秋枝条の生育量,すなわち秋せん枝量は暗きょにより増加し,暗きょなしでかんがいをするとかえって減少した。枠摘み重あいるは枝長は暗きょにより増加し,暗きょ区内ではかんがいによりさらに増加した。株張りは暗きょにより広くなり,暗きょの有無にかかわらずかんがいにより拡大が抑制され,秋せん枝量に対しては株張りが主に影響した。そして,暗きょによる下層までの気相率の増加が株張りの増加に影響し,ひいては秋せん枝量の増加につながったものと考えられた。
    以上のごとより,暗きょ排水の効果は大きく,常に土壌中の気相率の増加をもたらし,茶樹の生育を促進した。一方,かんがいめ効果は干ばつ時にのみ認められた。
    従って,透水性不良茶園での茶樹の生育にはかんがいによる水の補給より,暗きょ排水による土壌中への空気の補給が重要であると考えられる。
  • 鳥山 光昭, 松元 順, 藤嶋 哲男
    1983 年 1983 巻 58 号 p. 20-27
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    有機物施用茶園における,土壌中の可給態窒素含量と収量,品質との関係を明らかにするために,堆肥を6年間毎年0,1,2,4t/10a施用した茶園を供試し,各堆肥施用区のうね間土壌中の無機態窒素濃度を12,24mg/乾土100g(堆肥2t区は24mgのみ)の2段階とし,処理期間における可給態窒素および無機態窒素の含量と収量,品質との相関を求めて比較検討した。その結果は次のように要約される。
    1) 土壌中の可給態窒素含量は,堆肥施用量を増すほど増加し,4t区では20~22mg/乾土100gで,無施用区の3.6倍に増加した。なお,可給態窒素含量の時期別変動をよ割合に小さかった。
    2) 一,二番茶期における新芽中の総窒素量は,可給態窒素+春・夏季の無機態窒素の含量との相関が最も高く,可給態窒素と無機態窒素は茶樹の窒素吸収に対する窒素供給源としては,互いに補完的な役割を果しているものと推察された。
    3) 一番茶の収量は春季の無機態窒素濃度と,二番茶の収量は可給態窒素含量との相関が高かった。一番茶の煎茶品質では各窒素形態の含量との相関関係に有意性は認められなかったが,二番茶の煎茶品質は春・夏季の無機態窒素濃度との相関が高かった。可給態窒素の生産能率は品質よりも収量に対して,また一番茶期よりも二,三番茶期において高いものと推察された。
  • 大森 薫
    1983 年 1983 巻 58 号 p. 28-35
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    煎茶と玉露の違いについて,タンニン,カフェイン,全窒素,可溶分及び水溶性窒素で検討した。
    (1) タンニンは明らかに煎茶が多く,測定した成分では差が最もはっぎりしていた。
    (2) カフェイン,全窒素及び水溶性窒素は明らかに玉露が多かった。
    (3) 差は明らかでも単一成分では混在する範囲があり完全な判別は困難であった。
    (4) タンニン(x1)とカフェイン,(x2)及びタンニン(x1)と全窒素(x3)における成分含量の関係から,煎茶と玉露の判別が可能であることが認められた。
    すなわち,玉露はx1≦3.304x2+1.762を最低限満たし,さらに,x1≦2.498x3-2,942を満足する茶であり,煎茶はその逆である。
  • 中村 順行
    1983 年 1983 巻 58 号 p. 36-37
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 1983 巻 58 号 p. 38-41
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 1983 巻 58 号 p. 49-60
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 1983 巻 58 号 p. e1
    発行日: 1983年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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