茶樹の窒素要求性を解明する目的で,幼茶樹の窒素吸収能力の季節変化を調べた。気温の変化が露地に近い雨よけハウス内で,土耕栽培の鉢植え茶樹に毎月一定量の重窒素(
15N)を与え,1ヶ月毎の
15N吸収量を測定し,窒素吸収能力の季節変化を解析した。また,月別施用窒素の一番茶新芽窒素への寄与率を調査した。
窒素吸収能力は春期から夏期にかけて高まり,8月に最高値に達した。その後徐々に低下し始め,厳冬期の2月に最低値を示した。2月の吸収能力は8月の約30%であった。3月以降,吸収能力は再び上昇を始めた。この窒素吸収能力の季節変動は気温変化と極めて類似していたことから,常緑樹である茶樹の養分吸収能力は,生育気温に大きく影響されるものと考えられた。
一番茶新芽窒素に対する寄与率は,前年10月以降に施用された窒素が高く,特に当年春期3~4月の施用窒素が高かった。しかし,前年夏期以前に施用された窒素の寄与率も無視できない程高かった。
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