茶業研究報告
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2011 巻, 112 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
総説
報文
  • 豊島 真吾, 石島 力, 佐藤 安志
    2011 年 2011 巻 112 号 p. 112_9-112_18
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2015/10/30
    ジャーナル フリー
    環境保全型のチャ栽培体系がゴミムシ群集の種多様性に及ぼす影響を評価するため,ピットフォールトラップで茶園に生息するゴミムシ類を捕獲し,解析した。また,ゴミムシ類の多様性の効率的評価法を模索するため,種数および種多様度に対するピットフォールトラップの設置数と設置期間の効果を検討した。その結果,農薬散布程度の異なる栽培体系がゴミムシ群集の密度および発生種に及ぼす明確な影響は検出されず,種多様度に影響のないことが確認された。また,ゴミムシの種数に対するトラップ設置数の効果は有意であったが,種多様度に対するそれは有意でなかった。一方,設置期間は長くなるほど,種多様度が安定的な値をとることが確認された。つまり,少なくとも3個のピットフォールトラップを設置して,6ヶ月以上調査することにより,茶園のゴミムシ群集の多様度を推定することができる。
  • 石島 力, 豊島 真吾, 佐藤 安志
    2011 年 2011 巻 112 号 p. 112_19-112_24
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2015/10/30
    ジャーナル フリー
    キイロタマゴバチによるチャハマキの密度抑制効果に及ぼす殺虫剤の影響について把握するため,野外網室において実験を行った。キイロタマゴバチに対して殺虫活性の低いエチプロール・チアクロプリド水和剤を散布した網室をA区とした。また,キイロタマゴバチに対して殺虫活性の高いトルフェンピラド乳剤を散布した網室をB区とした。エチプロール・チアクロプリド水和剤は,トルフェンピラド乳剤に比べキイロタマゴバチのチャハマキ卵に対する寄生率に及ぼす影響は有意に小さかった。また,チャハマキ幼虫数も,有意差は見られなかったものの,殺虫剤の違いによって影響を受ける傾向があった。これらの結果から,エチプロール・チアクロプリド水和剤は,トルフェンピラド乳剤に比べ,キイロタマゴバチによるチャハマキの密度制御効果に及ぼす影響は小さいことが示唆された。
  • 松尾 啓史, 藤田 進, 龍野 利宏, 長瀬 慶紀, 御手洗 正文, 槐島 芳徳, 豊満 幸雄, 木下 統, 谷口 知博
    2011 年 2011 巻 112 号 p. 112_25-112_46
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2015/10/30
    ジャーナル フリー
    2円筒1固定型の炒り葉機について,熱の流れと効率を求める実験を円筒部と固定釜部に分けて行い,次の結果を得た。
    1)炒り葉工程へ供給される熱量は,生葉1kgあたり円筒部で約3,300kJ,固定釜部で約530kJであった。このうち円筒部では35.7%が,固定釜部では21.3%が蒸発熱として有効に使われていた。
    2)円筒部の熱効率には,バーナーの設定温度が影響していたが,固定釜部では,バーナーの設定温度が160,170℃の範囲では,熱効率への影響が認められなかった。
    3)熱効率は円筒部で36.7%,固定釜部で16.4%であった。
短報
  • 白木 与志也
    2011 年 2011 巻 112 号 p. 112_47-112_53
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2015/10/30
    ジャーナル フリー
    水中浸漬処理を行い,GABA含有量を高めた茶葉について,その機能性成分や安全性に関する成分の分析を行った。
    その結果,一番茶生葉を水中に6時間以上,二番茶生葉を15時間浸漬処理することで,GABA含有量を1.5mg/g以上蓄積することができた。カフェインは減少し,フェオフォルバイドaは,茶葉の水中浸漬処理により増加する傾向にあった。
    15時間水中浸漬処理を行った茶葉を用いて,荒茶に製造したところ,GABA含有量は一番茶では1.61mg/g~2.80mg/g,二番茶では1.60mg/gであった。しかし,香りでは一番茶及び二番茶ともに「ギャバ臭」が認められた。
    以上のことから,茶葉の水中浸漬処理を行うことにより,GABA含有量は増加することが明らかとなった。また,今回の結果では,カフェイン含有量が減少し,フェオフォルバイドaは増加するものの,クロレラで設定されている基準値以下であることが判明した。
  • 野中 邦彦, 廣野 祐平
    2011 年 2011 巻 112 号 p. 112_55-112_59
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2015/10/30
    ジャーナル フリー
    An experiment using the cesium tracer method was conducted to clarify the contamination route of radioactive cesium detected in tea leaves following the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station of Tokyo Electric Power Company. The results showed that cesium content in tea leaves was easily increased by foliar application of cesium and that very little cesium was absorbed by soil application.
技術レポート
  • 小澤 朗人
    2011 年 2011 巻 112 号 p. 112_61-112_64
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2015/10/30
    ジャーナル フリー
    ナガチャコガネ成虫に対する各種薬剤の常用濃度における殺虫効果と土壌処理したテフルトリン粒剤の残効期間を調べた。供試薬剤の中では有機リン剤と合成ピレスロイド剤の殺虫効果が高く,ネオニコチノイド系剤とクロルフェナピル,エマメクチン安息香酸塩の効果は低かった。有機リン剤の中では,ピリミホスメチルの効果が最も高かった。また,クロチアニジンに機能性展着剤(商品名:ブラボー)を加用すると,死虫率は高まった。テフルトリン粒剤の残効は,少なくとも2週間程度は認められた。
  • 山下 幸司, 屋嘉比 昌彦
    2011 年 2011 巻 112 号 p. 112_65-112_70
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2015/10/30
    ジャーナル フリー
    チャトゲコナジラミの寄生蜂シルベストリコバチに対する各種薬剤の殺虫作用をドライフィルム法により評価した。チャトゲコナジラミに適用がある薬剤のうち,スピロメシフェン水和剤はシルベストリコバチに対し影響無であった。ブプロフェジン水和剤は影響小,ブプロフェジン・フェンピロキシメート水和剤として適用のあるフェンピロキシメート水和剤は影響中,トルフェンピラド水和剤およびクロチアニジン水溶剤は影響大と判定された。有機リン系,ピレスロイド系,ネライストキシン系およびネオニコチノイド系の薬剤はすべてシルベストリコバチに対し影響大,メトキシフェノジド水和剤,BT菌水和剤,フルベンジアミド水和剤,クロフェンテジン水和剤,カスガマイシン・銅水和剤,水酸化第二銅水和剤,ピラクロストロビン・ボスカリド水和剤は影響無と判定された。
資料
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