茶業研究報告
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2000 巻, 89 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 水野 直美
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 1-8
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    時系列の平均を求める新たな方法を提案し,一番茶芽の生長データ(出開度,芽重,芽長,葉数)のプロセス解析を行った。従来作況報告などに見られる時系列の平均は,単純にある暦日の複数のデータの平均値を順次計算したものであった。今回提案の方法では,ロジスティック曲線に適合するデータ群を変曲点の時間軸の値の平均値に位相合わせを行い,更にデータ点数による重みづけをした最小二乗法で全体の系列を平均化しようとするものである。この手法によって求められた平均時系列により,実際の生長の予測や,異なる指標間の推定が可能となった。
  • 竹尾 忠一, 木村 嘉孝, 中嶋 年明, 川村 太巳夫
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 9-13
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    従来からの直火加熱のみの直火ほうじ処理(O)と,直火加熱と遠赤外線ヒーター加熱を併用した遠赤外線併用ほうじ処理(C)で造られた茶の香味を比較した。
    0処理では強く加熱されたほうじ釜胴底面で茶の一部が焦げ,苦渋味の強いほうじ茶が造られた。これに対してC処理では熱源が二分化されて,遠赤外線ヒーター加熱分だけ釜胴底加熱度が低く調節されるので,釜底面での茶の焦げが防がれて温和な香味を持っほうじ茶が造られた。
    本試験で香気成分分析に御協力頂いたお茶の水女子大学大学院生関和陽子氏,また茶の審査に協力頂いた川村翠香園関係の茶商の皆様,元農水省野菜茶試技官原利男・中田典男両氏に厚く感謝いたします。
  • 高嶋 和彦, 黒木 高幸, 堀江 秀樹, 木幡 勝則
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 15-21
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    品種'さきみどり'の荒茶中のクロロフィル、(Ch1)及びフェオフィチン(Phy)含有量について'やぶきた'と比較検討した結果,以下の知見が得られた。
    (1)'さきみどり'のChl(a+a')及びChl(b+b')は一・二番茶とも'やぶきた'に比べ約1.3~1.5倍の含有量であった。茶期の違いで比較すると,Chl(b+b')には大きな差はなかったが,Chl(a+a')については一番茶が二番茶に比べ約1.4~1.7倍の含有量であった。蒸熱時間が長くなるほどChl(a十a')及びChl(b十b')の含有量は減少したが,Chl(b+b')の減少は少なかった。
    (2)Phy(a+a')及びPhy(b+b')について,一番茶は両品種間に殆ど差がみられず,二番茶では'さきみどり'が若干多かった。茶期の違いで比較すると,両品種とも一番茶に比べ二番茶の含有量が約1.2~2.1倍と明らかに多かった。蒸熱時間では時間が長いほど含有量が増加した。
    (3)ChlのPhyへの変化率は,'さきみどり'が'やぶきた'に比べ一・二番茶とも低かった。茶期の違いで比較すると,両品種とも一番茶の変化率が低く,蒸熱時間では時間が長いほど高くなった。
    以上の結果から'さきみどり'は'やぶきた'に比べCh1含有量が極めて多く,またPhyへの変化率が低いことが明らかとなり,このことが生葉や荒茶の葉色に反映しているものと思われた。
  • 堀江 秀樹, 木幡 勝則
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 23-27
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    シュウ酸は舌に残る不快味を示す。各種緑茶中のシュウ酸含量を調べたところ,玉露で1%以上,煎茶では0.9%程度,番茶・ほうじ茶ではそれ以下の値を示した。また荒茶を火入れ処理しても,処理前後でシュウ酸の含量は変化しなかった。シュウ酸は40℃程度の低温でも,浸出液中に溶出されやすかった。茶浸出液中のシュウ酸濃度が高ければシュウ酸味が強いとは必ずしもいえず,リン酸等他のイオンがシュウ酸味に影響するものと推察された。
  • 流石 啓司, 神谷 真太郎, 中川 致之
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 29-36
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    (1)カテキン類の機能性や生理活性の向上が見られるかどうか検討するために,(+)-カテキンの配糖体の化学合成を実施した。
    その結果(+)-カテキンをアグリコンとし,グルコース,マンノース,キシロース,ガラクトース,マルトースを糖とする3-O-β-配糖体の合成に成功した。(マンノースの場合はα-配糖体)
    (2)合成方法に関しては過塩素酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀を縮合剤として使用することにより,合成法の簡略化と収率の向上が図られた。
    (3)合成した配糖体について,幾つかの酵素阻害活性を検討したところ,チロシナーゼ,β-ガラクトシダーゼに対する阻害活性が増強されることが明らかとなった。その一方で,キサンチンオキシダーゼ阻害活性はあまり変わらず,ピアルロニダーゼ,ペルオキシダーゼ阻害活性については配糖化により逆に低下することが明らかとなった。
  • 中野 敬之
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 37-44
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    二番茶の摘採日を早,中,晩期と3区に分けた茶園に対して,秋季に層別刈取りを実施して樹冠の群落構造を調査した。その結果,樹冠は3区とも前年の秋整枝位置辺りから上方に向けて形成されていた。樹冠における枝の重量は二番茶摘採位置から4cm下までの層で,葉の重量やLAIは二番茶摘採位置から6cm上までの層で,頂芽数は二番茶摘採位置の2cm下から4cm.上までの層で,側芽数は二番茶摘採位置の4cm下から2cm上までの6cm幅で多かった。また,以上に示した形質は,二番茶摘採時期が遅いほど,それらの層に集中する傾向であった。3区について,秋整枝位置の影響をシミュレーションした結果,二番茶摘採時期が遅いほど,秋整枝後の茶株面下に葉層を十分に蓄え,かつ,茶株面に多数の茶芽を確保できることが明らかになった。
  • 内野 博司, 田中 江里, 岡野 信雄, 船越 昭治, 京極 英雄, 中島 健太, 本多 勇介, 淵之上 康元, 田中 萬吉, 米丸 忠, ...
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 45-58
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    煎茶用品種'むさしかおり'が埼玉県茶業試験場 (農林水産省茶育種指定試験地) によって育成された。'むさしかおり'は1967年に種子親'やぶきた'と花粉親27F1-73'の交配によって得られた実生群から選抜された。
    1990年から1996年に埼玉33号の系統名で16場所で栄養系適応性検定試験,裂傷型凍害及びもち病の特性検定試験が実施された。
    その結果,優良と認められ1997年に茶農林46号'むさしかおり'として命名登録された。
    樹姿は開張型で樹勢は強い。成葉の大きさは'やぶきた'よりも小さい。一・二番茶の収量は'やぶきた'と同等か多い。幼葉はやや軟らかく光沢のやや多い緑色である。
    挿し木発根性及び本圃での活着は良好である。一番茶の摘採期は,寒冷地では'やぶきた'より2~3日,温暖地及び暖地では3~6日遅い中晩生である。耐寒性は青枯れ抵抗性,裂傷型凍害抵抗性とも'やぶきた'より優れる。
    製品の色沢は濃緑であり細くよれ,すっきり爽やかな香気,濃厚な水色・旨味に特徴があり優秀である。
    炭疽病の被害は'やぶきた'より少なく中程度である。
    耐寒性が強いので,関東茶産地及びこれと気象条件の類似する東海・近畿・四国・九州の山間冷涼地で,寒害発生の常習地帯に適する。
  • 竹尾 忠一
    2000 年 2000 巻 89 号 p. 59-63
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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