茶業研究報告
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1992 巻, 75 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 古賀 亮太, 井手 勉, 中島 征志郎, 永尾 嘉孝, 石井 研至
    1992 年 1992 巻 75 号 p. 1-11
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶園における有機物資材の長期連用が,土壌の理化学性ならびに茶の収量,品質に及ぼす影響を検討した。
    (1) 有機物の施用によって14年間に,全炭素含量が1.5~3倍,全窒素含量が1.3~2倍,陽イオン交換容量が1.2~1.6倍に増加した。しかし,土壌pHならびに有効態リン酸には有機物施用の効果は明らかでなかった。
    (2) 有機物資材の中では,稲ワラは速効的で早期に効果を発現し,収量,品質が向上した。
    (3) 野草(ススキ)は分解が遅いために非常に遅効的で,投入後10年以上を経て稲ワラと同等の効果を現し,その後は効果が増大する傾向が見られた。
    (4) 牛糞厩肥は速効的であり,土壌理化学性の改善,茶品質の向上には最も効果が高かった。しかし,本試験では収量の増加は少なかった。
    (5) 肥料の種類では,有機配合肥料の方が収量,品質ともにやや優れた。
  • 池田 奈実子
    1992 年 1992 巻 75 号 p. 13-17
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1) クローズド・パネルによる煎茶の官能審査法について検討した。8品種の一番茶を試料として用いた。審査経験のほとんどない11名を含む野菜茶試職員及び依頼研究員14名をパネルとした。評価は,1人ずつ香気,滋味について10点満点で行ったが,パネル間の採点の平均,分布にばらつきがみられたので,順位づけを行って解析した。パネル14人のKENDALLの一致係数は,香気,滋味とも統計的に有意で,パネルの間には,共通の好みがあるといえた。審査経験のあるパネルの判定はよく一致した。この方法は,一般的な嗜好を調査する場合に有効な方法であると考えられた。
    2) 試験場一般公開日の参観者129人を対象として,新品種'めいりょく','おくゆたか',主要品種'やぶきた'の嗜好調査を行った。評価は順位法で行った。'やぶきた','おくゆたか','めいりょく'の順で好む人が最も多かったが,年齢により,嗜好に差がみられた。
  • 後藤 哲久, 堀江 秀樹, 向井 俊博, 池ヶ谷 賢次郎
    1992 年 1992 巻 75 号 p. 19-22
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶葉中のフッ素の量をイオンクロマトグラフ法で測定した。鹿児島県産の煎茶では100ppm前後,番茶で含有量の多いもので350ppm程であった。
    溶媒抽出の結果,茶葉中のフッ素は,イオン性のものがほとんどであり,一部アルミニウムと結合したものも含まれるが,有機化合物の状態のフッ素は検出されなかった。
  • 向井 俊博, 堀江 秀樹, 深津 修一, 袴田 勝弘, 後藤 哲久
    1992 年 1992 巻 75 号 p. 23-27
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    製茶の各工程での茶葉中の水の状態を,NMRによる水のプロトンの緩和時間(T1,T2)を測定することにより検討した。
    蒸熱工程は水分含量は変わらなかったがT1とT2は著しく、短くなった。線形法により茶葉中の水のプロトンのT2を解析した結果は,生葉中には2つの状態の水が存在することを示していたが,蒸熱葉では1つの成分だけになっていた。粗揉から中揉までは水分の減少と共に,T1とT2も徐々に減少した。工程が進むにつれて徐々に緩和時間が減少するのは,茶葉中の水分子が自由度を失って行くことを示していた。
    T2は,蒸熱処理のほか,凍結やPCP処理した茶葉でも1つになった。T2が1つになったのは,細胞組織が破壊されて,水の存在状態に変化があった結果と考えられた。萎凋ではT2は2つの成分のままであり,これは萎凋処理によって細胞構造等に大きな変化が起こらなかった結果と考えられる。
  • 向井 俊博, 堀江 秀樹, 後藤 哲久
    1992 年 1992 巻 75 号 p. 29-31
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶種子中のサポニンの簡易定量法を試料の前処理を含めて検討した。市販のサポニンを標準物質として用い,フェノール硫酸法で発色することにより,茶種子のサポニンを定量することが出来た。その際,茶種子中のサポニンをSep-PaK C18カートリッジを用いて処理することにより,フェノール硫酸法による定量の妨害となる糖類を効率的に除去できることが示された。
  • 堀江 秀樹, 向井 俊博, 後藤 哲久, 川中 道夫, 下原 融
    1992 年 1992 巻 75 号 p. 33-37
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    L-アミノ酸オキシダーゼ固定化膜を酸素電極先端部に装着し,全アミノ酸測定用の酵素センサーを作製した。本センサーは茶の主要なアミノ酸であるテアニンに対して,10から100mg/lの範囲で直線的に応答し,1試料当り数分間で測定が可能であった。本センサーを用いて単価の異なる茶の浸出液中の全アミノ酸濃度を測定したところ,結果は従来法による測定値との間で高い相関が得られた。本センサーで測定した茶浸出液中の全アミノ酸濃度は,高級な茶ほど高い値を示し,本センサーは茶の品質評価に有効と考えられた。
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