感水紙を用いて茶園における農薬散布時のドリフトを調査し,以下の知見を得た。
1)オープンソースの画像処理プログラムImageJを用いて感水紙の液斑を自動抽出することが可能であった。また,ImageJのAnalyze Particlesコマンドを用いて,個々の液斑の面積や液斑の被覆面積率を容易に求めることができた。ただし,自動2値化で得られた液斑面積は視覚判断による液斑よりも大きめに抽出されるので,補正係数0.7411を用いて補正する。
2)散布方法やノズルの違いにかかわらず,ドリフトした液滴の99%が直径200μm未満, 80%が直径125μm未満であった。
3)ノズルの違いに関しては,手散布および乗用型防除機ともに,散布粒子の大きいノズルのほうがドリフトは少なかった。しかし,葉面付着程度には差は見られなかった。
4)手散布と乗用型防除機の比較では,乗用型防除機のほうがブームノズルと樹冠面との距離を近く保てるため,ドリフトが少なかった。
5)乗用型防除機の飛散防止カバーは粒子径が小さいノズルでは効果が見られたが,ドリフト・リスクを小さくするためには,粒子径の大きなノズルを使用することが望ましい。
6)ドリフト率の値を用いて,他のドリフト試験の結果と比較したところ,茶園においては散布ノズルと樹冠面との距離を近くすることが可能なので,ドリフト率が約1/10と非常に小かった。
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