茶業研究報告
Online ISSN : 1883-941X
Print ISSN : 0366-6190
ISSN-L : 0366-6190
1988 巻, 67 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中村 順行
    1988 年 1988 巻 67 号 p. 1-12
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    これまで,チャ等のツバキ属植物においては安定した不定胚分化技術が確立しているとはいい難いため,チャの子葉を外植片として不定胚分化に及ぼす培地条件,外植片の大きさ,種子の成熟度や完熟種子の貯蔵期間の影響及びチャを中心とするツバキ属植物の種内・種間差異などについて検討した。
    まず,チャ(やぶきた)の自然交雑種子を用いて,培地条件の違いが不定胚分化に及ぼす影響を検討した結果,基本培地の影響は小さく,ホルモン条件としてベンジルアデニン(BA)では1.0~5.0mg/lが適当と認められ,その時の不定胚分化率は30~35%程度であった。また,BAにナフタレン酢酸やジベレリンを種々の濃度で組合わせても不定胚の分化率を高めることはできなかった。
    供試子葉切片の大きさは大きくなるほど不定胚分化率が高く,培養時期は種子が未熟のものでは低く完熟期で高率となり,採種後低温で保存されたものはその率が保存期間の長さに伴い徐々に低下した。また,種子の保存期間が長くなるにこ従い,バクテリア汚染が激増した。
    チャを中心とするツバキ属植物の子葉培養における不定胚分化には著しい種内・種間差異が認められた。チャでの不定胚分化には品種間差異が認められ,やぶきた,くらさわなどで分化率が高く,ほうりょく,大葉ウーロン,マニプリ9,青心大有,さつまべになどで低かった。チャに比較して,供試したその他のツバキ属植物はいずれも不定胚の分化率が高く,C. japonicaでは48~58%, C. sasanquaでは59~81%, C. brevistelaでは93%であった。
    また,前年度交配されたC. japonica×C. granthamianaの交雑種子子葉からも69%の高率で不定胚が分化したことから,この技術はツバキ属植物の雑種育成及び大量増殖に有効利用が可能と思われた。
    本論文の作成にあたり,貴重な御助言を頂いた農林水産省野菜・茶業試験場茶栽培部育種法研究室室長鳥屋尾忠之博士及びC. japonica×C. grantha-mianaの交雑種子を提供して頂いた静岡県茶業試験場元研究主幹森薗市二氏に深謝の意を表します。
  • 倉貫 幸一
    1988 年 1988 巻 67 号 p. 13-18
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    気象と収量の関係を明らかにするために,当場の9月~4月の気象観測の最高・最低気温と降水量の半旬値と作況園の収量調査の20年間の結果を用い,相関,径路係数と重回帰分析を行った。
    1.相関分析の結果,相関係数は最高・最低気温と降水量の9月~10月に負から正に,12月から1月に正から負に,2月~3月に負から正に移行し,更に最低気温だけは4月に正から負に移行した。
    2.径路係数分析の結果,4月,10月,9月の気温と3~4月と9~10月の降水量との関連性が高く,秋と春の気象が大切であると考えられる。
    3.径路係数分析の直接効果が高い要因の影響の仕方から,気温について9月~4月の期間を9月中旬~11月中旬,11月下旬~4月前半と4月後半の3つの時期に,降水量については9月~12月,1月~3月中旬,3月下旬~4月前半と4月後半の4つの時期に分けられる。
    4.収量と気象の関係から,10月~11月上旬は翌年の一番茶となる芽の充実期,11月中旬~3月中旬までは耐寒性の関連が強い時期,3月下旬~4月前半は新芽の生育準備期,そして4月後半は新芽の生育促進期であると考えられる。
    5.収量を予測するためには,表3の説明変数の中から11変数を取り上げ予測式を策定した。
    最後にこ,気象観測と作況調査の貴重な資料の提供を頂いた当場栽培研究室の皆様と,本報の取りまとめに際し,有益なご指導と助言を頂いた農林水産省野菜・茶業試験場茶栽培部育種法研究室長鳥屋尾忠之博士と前茶栽培部長の中山仰博士に対して厚くお礼を申し上げる。
  • 渡部 育夫
    1988 年 1988 巻 67 号 p. 19-24
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    一番茶新芽の生育と成分に対する秋肥窒素,春肥窒素の効果を分散分析法及び重回帰分析法により解析した。試験は砂耕法により行った。
    分散分析の結果では,新芽の生育,新芽への窒素移行量と秋肥窒素濃度,春肥窒素濃度との関係はともに統計的に有意であった。秋肥窒素転流量と秋肥窒素濃度,春肥窒素濃度との関係はそれぞれ1%,5%の水準で有意であった。また一番茶新芽のアミノ酸含右率は,秋肥窒素濃度,春肥窒素濃度とそれぞれ5%,1%の水準で有意であった。
    重回帰分析の結果では,秋肥窒素濃度,春肥窒素濃度に対する偏回帰係数は新芽の生育,窒素移行量,秋肥窒素転流量においては,秋肥窒素濃度に対するもののほうが春肥窒素濃度に対するものより大きく,一方,新芽の全アミノ酸含有率に関しては,春肥窒素濃度に対するもののほうが大きいことが明らかとなった。
    以上の結果より新芽の生育,窒素移行量,秋肥窒素転流量に対する貢献度は,秋肥窒素が高く,一番茶新芽の全アミノ酸含有率に関しては,春肥窒素の貢献度が高いことが統計的に示唆された。
    本報告の作成にあたり,ご校閲をいただいた農林水産省野菜・茶業試験場小菅伸郎技官に感謝の意を表します。
  • 郭 〓飛, 駱 少君
    1988 年 1988 巻 67 号 p. 25-28
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,SPIROらの二相モデル(Twophase-model)により緑茶の遊離アミノ酸,タンニン,そしてカフェインの92.5℃及び80.0℃での分配係数を測定し,抽出過程におけるこれらの成分のエンタルピー変化を算出した。また,抽出平衡に達した時に茶葉中に残留している各成分量はまだ相当大きいことから,緑茶の各種成分含量について成分の分配係数と抽出液中の測定濃度により求めた量を茶葉中の真の含量とすることが妥当と結論した。さらに抽出において,遊離アミノ酸,タンニン,カフェインのエンタルピー変化がそれぞれ10.7,9.4,17.7KJ/molであることから,抽出過程が吸熱過程であることが明らかとなり,抽出時の高温が成分の溶出を促進すると結論した。
  • 藤井 孝夫, 鳥井 清孝
    1988 年 1988 巻 67 号 p. 29-43
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 1988 巻 67 号 p. 53-67
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 1988 巻 67 号 p. 68-80
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 1988 巻 67 号 p. 80-94
    発行日: 1988/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
feedback
Top