応用統計学
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巻頭言
研究ノート
原著論文
  • 野口 聖史, Hui Wang, 井上 純哉
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 52 巻 2 号 p. 75-98
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル 認証あり

    材料設計の目的は,所望の特性を有する材料やその製造条件を同定する逆設計の実現である.計算材料科学の分野では,逆設計の達成のために,材料設計における因果関係であるプロセス・構造・特性の連関の把握が不可欠であると認識されている.近年の計算機の性能向上やデータの蓄積に伴って,深層学習などのデータ駆動型の手法を用いたプロセス・構造・特性連関の抽出が活発に議論されている.本論文は,筆者らが提案するVector Quantized Variational Autoencoderによる材料構造の特徴付けとPixel Convolutional Neural Networkによる空間秩序の獲得によって構成される材料設計のための枠組みとそれによって得られた幾つかの結果について示し,材料設計における深層学習の応用を要約することを目的とする.特に,本論文は,(i) 低炭素鋼を例とした構造材料に対する深層学習を用いたプロセス・構造連関の獲得,(ii) 人工的二相鋼組織を例とした構造材料に対する構造・特性連関の獲得と深層学習が抽出する非自明な相関の物理的な意味の検討,(iii) 医薬品などの分子構造設計における最適構造探索の三つの結果を含んでいる.

  • 徳田 智磯, 長尾 大道
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 52 巻 2 号 p. 99-112
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル 認証あり

    クラスター分析は教師なし機械学習法の1つで,データの背後に潜む生成メカニズムの違いから対象を分類することを目的とする.分類パターンが分析対象のもつ特徴量の選び方によって異なる場合,特徴量選択とそれぞれのクラスター構造を推定するマルチプル・クラスタリングは有用な分析手法である.本稿では相関行列を特徴量にもつ対象に対して,行列分割による特徴量選択によってマルチプル・クラスタリングを行う手法(MCW法)を取り上げる.MCW法は混合ウィシャートモデルの拡張によって定式化され,相関行列のブロック対角化構造の推定により複数のクラスター解を同定する.地震学への応用として,低周波地震を検出するための観測点選択の問題に適用した.低周波地震は空間局所的なイベントで発生場所もイベントごとに異なり,検出のための効果的な観測点選択方法はこれまで開発されていなかった.本研究では低周波地震発生前後に複数の地震観測点から得られた地震波スペクトログラム相関行列にMCW法を適用することにより,マルチプル・クラスタリングの観点から観測点選択(分割)を行った.選択された観測点と低周波地震発生場所との間に地理的な対応関係があることが確認されるとともに,低周波地震が複数のクラスターに分類できることがわかった.さらに,選択された一組の観測点群について新たなデータを用いて検証したところ,低周波地震検出率について再現性が確認された.

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