近年,フィブリン糊の利用により鼓膜形成術が"日帰り"もしくは"短期入院"で可能となり,広く普及してきた。これを更に発展させ過去1年間(H6.10~H7.9)に数月間の短期入院による鼓室形成術を真珠腫性中耳炎を含めた280耳に施行した。その結果,めまいなどの合併症のない大多数の慢性中耳炎に対して短期入院での鼓室形成術が可能であることが判明した。そのためには,1)なるべく外耳道内での操作,2)鑿を用いての経外耳道的上鼓室開放,3)鼓室(上,中,下)内病巣の郭清,4)必要に応じての耳小骨連鎖形成,5)キチン膜による開放乳突腔の被覆,切開外耳道皮膚のフィブリン糊による接着など,術の工夫が必要であった。
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