口腔癌,中咽頭癌,上顎癌の咀嚼筋浸潤例では,深部マージンの設定がしにくく,局所制御が困難である。深部浸潤例のen bloc切除術式として側頭下窩郭清をおこなった。 2000年1月から2002年8月までに,咀嚼筋間隙浸潤を認めた7例を対象とした。5例は側頭下窩郭清で(郭清群),2例はmandibular swing approachで切除した(非郭清群)。 出血量は郭清群で多かった。局所制御は平均観察期間20ケ月において,郭清群で80%,非郭清群で0%であった。郭清群で咬合不全が生じたが軟食ないし常食の摂取が可能であった。三次元的な切除範囲の設定が困難な深部浸潤症例では,腫瘍が浸潤した間隙を確実に郭清することが局所制御には重要である。
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