頭頸部外科
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5 巻, 1 号
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  • ―1994年前半期の全国集計による検討―
    新川 敦, 犬山 征夫, 今野 昭義, 小田 恂, 小松 崎篤, 森山 寛, 馬場 駿吉, 村上 泰, 山下 敏夫, 小宮山 荘太郎, 坂井 ...
    1995 年5 巻1 号 p. 3-9
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     全国10大学における慢性中耳炎の手術に続発する術後感染症の調査を行った。症例は平成6年前半の6ヵ月で258例の手術症例が集積され,術前の感染症(耳漏)は13.1%に認められ,術後感染症は6例2.3%に認められた。この数は従来からの報告と比較し,非常に少ないと考えられた。術後感染症がおこる頻度は,術前からの耳漏があるもので高く,手術術式が難易な,中耳炎病態の高度のものほど高いことが示唆された。これらの結果を踏まえて,術後感染症を減少させるには,緑膿菌とブドウ球菌を主たる起炎菌とする耳漏に対してニューキノロン剤を中心とした抗菌剤により術前から制御するとともに,術前から検出された菌の感受性を念頭において術後管理を行うことが大切であると結論した。
  • 山下 敏夫, 森山 寛, 馬場 駿吉, 小田 恂, 犬山 征夫, 今野 昭義, 小松崎 篤, 三宅 浩郷, 坂井 真, 新川 敦, 村上 泰 ...
    1995 年5 巻1 号 p. 11-15
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     8施設より慢性副鼻腔炎術後感染症の有無を調査した結果,363例中術後感染症は皆無であった。 鼻内手術が8割を占めたこと,また術後の抗菌剤の全身,局所投与や術後の創処置が適切であったことなどが感染症防止に役立ったと考えられた。 慢性副鼻炎術後の重大な感染症として緑膿菌感染,MRSA感染,toxic shock syndromeについて自験例および文献により考察した。
  • 炭山 嘉伸, Shinya Kusachi
    1995 年5 巻1 号 p. 17-22
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     消化管の開放を伴う手術では,術野は消化管内容で汚染されるため,10-20%の術後感染が報告されている。術後感染は手術機器の改良,周術期管理の進歩,新しい抗菌薬の登場で減少するかにみえた。しかし,一方では,高齢者やcompromised hostの増加,手術適応の拡大,拡大郭清により術後感染もより複雑になり,その頻度は減少していない。さらに,わが国では,1980年代の後半からMRSAによる術後感染が急激に増加し,院内感染対策や抗菌薬の使用方法が再び論じられている。
  • 安居 倫子, 毛利 光宏, 天津 睦郎
    1995 年5 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     比較的まれな疾患である胸腺嚢胞の一症例について報告した。症例は27歳女性で,会社の検診時に胸部レントゲン写真で気管の偏位を指摘された。当科受診時,頸部に嚥下運動で上下に動かない軟らかい腫瘤を認めた。CT,MRIで前頸部から前上縦隔にかけて存在する嚢胞様陰影を認めた。胸腺嚢胞と考え1992年2月24日腫瘤摘出術を施行した。腫瘤は左右の内頸静脈,左右の総頸動脈,左右の腕頭静脈に接していたが,頸部からの操作で容易に剥離摘出することができた。腫瘤の下方には正常の胸腺組織が付着していた。病理組織検査では嚢胞は正常胸腺組織にとりまかれており,胸腺嚢胞と確診された。術後,気管は正中に戻り,再発を認めていない。
  • 安 宗超, 中野 富夫
    1995 年5 巻1 号 p. 29-35
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    下垂体腫瘍の放射線治療には病巣外部からの多量な放射線照射は知られている。しかし病巣の周囲の正常細胞の損傷は大きい。近年,われわれは経蝶形骨洞・トルコ鞍内で病巣だけの腫瘍内に直接に極微量の放射性同位元素,主としてβ線を挿入する方法を続報してきた。本法はトルコ鞍を経て直接に病巣内に挿入する。ここでは,51歳女性と40歳男性,両者とも脳圧亢進による頭痛,視力,視野障害などを主訴とした。よって本法を適用した。両者とも開頭術を脳神経外科でうけた。再発したので耳鼻科に転医された。患者は本法を理解し,術後は症状は消失し正常生活に入っている。長期の経過観察では良好で再発はない。本新治療は極めて簡単で安全,有効であり,特に若年者,虚弱者,開頭術後の再発者,手術恐怖者などに好適といえよう。
  • 西村 俊郎, 土定 建夫, 長山 郁生, 古川 仭
    1995 年5 巻1 号 p. 37-41
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     副咽頭間隙腫瘍の切除に際しては,術前の画像診断による詳細な検討が必須で,個々の症例に応じた術式が選択されている。各症例でどの術式を選択するか,その術式で安全で確実な切除が可能か,機能的整容的に問題はないか高度な判断が求められる。今回我々は下顎骨正中離断法による腫瘍摘出を計画したが患者の同意を得られない症例を経験した。このため,経耳下腺法で下顎骨に対して関節突起低位から下顎枝辺縁切除を行い良好な視野で安全な切除が可能であった。過去に報告のある下顎骨の骨切りについて文献的に考察を加え報告する。
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