頭頸部外科
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9 巻, 2 号
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  • 花牟礼 豊, 相良 ゆかり, 出口 浩二, 笠野 藤彦, 鹿島 直子
    1999 年9 巻2 号 p. 119-123
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    Midfacial degloving法は,鼻副鼻腔に存在する大きな良性腫瘍や上咽頭から翼口蓋窩に進展した良性腫瘍に対して,顔面に皮膚切開を加えず十分な視野にてアプローチ可能な手法であり腫瘍摘出術を安全に行うことが出きる。われわれは2症例に対して本法を用いて腫瘍摘出術を行い,本法の有用性について考察した。症例1は,若年性鼻咽腔血管線維腫症例で,上咽頭と鼻腔から翼口蓋窩に腫瘍が充満しているChandler分類・病期IIIの症例であり,症例2は,上顎洞部から側頭下窩を占居する大きな神経鞘腫で翼状突起,中頭蓋底を破壊していた。外側鼻切開にて摘出可能な腫瘍の多くは,顔面皮切を加えることなく,midfacial degloving法にて摘出可能と考えられた。
  • ―皮弁移植に関連した合併症―
    中溝 宗永, 横島 一彦, 陣内 賢, 矢嶋 裕徳, 山岸 茂夫, 八木 聰明, 森園 徹志
    1999 年9 巻2 号 p. 125-130
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
     頭頸部癌切除後の遊離皮弁による再建術での留意点の検討のため,皮弁移植に関連した合併症を76症例,78皮弁で集計した。その結果,再手術が必要な大合併症は5例(6.4%)に発生し,そのうち皮弁の完全壊死は3例(3.8%),空腸採取後の腹部合併症が2例(2.4%)に生じた。皮弁壊死の原因は血管吻合の計画による点が多く,今後克服されるべき原因と思われた。再手術が不要な小合併症は28例(36%)で認め,そのらち移植部での創感染は最多で,17例(22%)に生じた。創感染は術前照射例より根治照射例で有意に多く認められた。根治照射例では術後感染を早期に発見するよう努めるべきと考えられた。
  • 山口 秀樹, 植田 宏, 吉浦 宏治, 大塚 康司, 高木 秀朗, 武藤 功太郎
    1999 年9 巻2 号 p. 131-137
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     傍神経節腫は頭頸部領域では,頸動脈球や静脈鼓室に発生するものがよく知られているが,鼻腔・副鼻腔に発生するものは極めて稀である。今回私どもは,鼻腔に発生した傍神経節腫の一例を経験したので報告した。患者は16歳男性で鼻出血を繰り返すため当科を受診した。鼻腔内に赤色ポリープ様腫瘤を認め,CTでは鼻腔内に限局した造影効果が著明な軟部組織陰影を認めた。外頸動脈造影,塞栓術を予め行い,摘出術を行った。病理組織学的検査で,典型的な"Zellballen"の像を示し傍神経節腫と診断された。傍神経節腫は良性腫瘍であるが局所再発,頸部リンパ節転移,遠隔転移をきたす可能性があり,長年にわたる厳重な経過観察が必要である。
  • 西村 俊郎, 浅井 宏志, 寺西 重和, 古川 仭
    1999 年9 巻2 号 p. 139-142
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     眼瞼の皮膚と眼輪筋の欠損のため外傷性兎眼を生じた一例を報告する。本例は18歳男性で,眼輪筋の欠損による収縮力不足と瘢痕形成が原因で兎眼が生じたものと考えられた。角膜の障害も出現したので早急な対応が求められた。そこでGillies-Andersen法(側頭筋移行術)を用いて,眼瞼閉鎖力の増強を図った。これにより眼瞼の変形と閉鎖力不足が解消された。術後経過に問題なく合併症もみられず,外傷性兎眼症例でも慎重に適応を選べば側頭筋移行術は有用と考えられた。
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