舌骨下筋皮弁は,挙上が容易で一期的縫縮が可能な頸部有茎皮弁である。その有用性を明示する目的で遡及的検討を行った。
当科で2016年4月から2018年3月までに本皮弁を用いて再建を行った口腔癌症例は10例であった。それらの手術内容や皮弁合併症,術後機能について,前腕皮弁もしくは前外側大腿皮弁を用いた6例と比較検討した。
手術時間,出血量はいずれも舌骨下筋皮弁で有意に少なかった(中央値 470.5分 vs 603.5分,p<.001; 259.5mL vs 543mL,p=.004)。皮弁合併症,術後食事開始日,食事形態,会話能には明らかな差異を認めなかった。
舌骨下筋皮弁は簡便,低侵襲で安定した再建法と考えられた。したがって,口腔の中等度欠損の再建時に本皮弁は有力な選択肢となりうる。
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