今日よく発達したコンピュータは,2種類の情報インプットを使って機能している。ディジタルとアナログである。そして我々人間も同様に2つの情報伝達手段を用いている。
1つはverbal languageであり,もう1つはnon-verbal language(voice tone含む)である。これら人間の2種類の情報伝達手段のうち,前者は典型的なディジタル,後者はアナログである。つまり我々は外界との情報交換に於てコンピュータと同種の方法を用いていることになる。
今後,各種の臨床専門家がより効果的なpsychotherapyの発展を試みるには,その理論化,特にコミュニケーション理論からのsystmaticなアプローチが不可欠であるので今回ある精神分裂症の患者を例にとり,そのtherapistとの関係をholisticに把えなおしてみた。
P=Patient,T=therapist,S=system,SS=subsystem
PとTは,1つのSを構成し,PとTはそれぞれ1個のSSである。精神面でopen-endedなSSである分裂症のPは不安感の強いSSである。TはPの発するアナログ・ディジタル情報を可能な限り正確にキャッチしてTは高い理解力があることをPに示す。同時にPの不安感は,PT間の正確なコミュニケーション・プロセシングによって減ぜられる。Tが最大のエネルギーを要するのは,Pがダブルパインド状態に陥ることを防ぐことであり,もしPが既にダブルパインドに陥いっている場合には,TはPT間のインフォーメーションの流れを理解しやすい方法を使ってPに知らせねばならない。この場合,TはPにとって一種のモデリングの対象となる。Tは常にディジタル及びアナログ,コミュニケーションを一致したラインで情報を発して行かねばならない。
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