家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
12 巻, 4 号
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  • 橋本 和典, 中原 達夫
    1967 年 12 巻 4 号 p. 114-120
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.牛の希釈保存精液498例のうち,106例(21.3%)から154株のYeastsが分離された。
    2.154株のYeaslsCandida属8種84株,Torulopsis属4種25株,Rhodotorula属3種25株,Cryptococcus属2株,Trichosporn属2種5株,Saccharomyces属2種8株およびPichia属2種5株,に分類され,おもな検出菌種はC.guilliermondii,C.Parapsillosis,C.tropicalis,T.famata,Rh.minutaなどであった。
    3.これらの牛精液由来のYeastsは一般に消化管内,飼料,土壌などに見られる菌種であって,これらのうちには潜在的に病原性を有する菌種が含まれていたが,いずれも包皮腔が汚染された結果として精液に混入したものと考えられた。
    4.Sulfa剤および種々の抗生物療法で難治であった牛の慢性子宮内膜炎の2症例からC.guilliermondiiが分離された。この2症例はその感染径路が不明であり,本菌による一次的な感染症かあるいは菌交代症としての二次的な感染か不明であるが,Candida感染による繁殖障害の発生の可能性があることを示すものである。
  • 橋本 和典
    1967 年 12 巻 4 号 p. 121-126
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    牛の希釈保存精液から分離した細菌274株(うち231株84.3%がグラム陰性菌)について,PC,SM,CP,KM,TC,EM,LMおよびOMなど8種の抗生物質に対する感受性を測定し,次の結果をえた。
    1.274株の供試菌のうち,70~85%のものがPC,EM,LMおよびOMに耐性であり,SMおよびCPには約50%の菌株が,またKMおよびTCには25~34%が耐性であった。
    2.希釈精液からのおもな検出菌のうち,AchromobacterおよびAlcaligenesではTCおよびKMに耐性の株は比較的少なかったが,他の抗生物質にはそれらの大半が耐性株であった。またPseudomonasにおいてはSM耐性株がもっとも少なく40.1%であって,他の抗生物質にはその大半がそれぞれ耐性であった。
    3.PC,SM二剤耐性菌は抗生物質添加精液由来菌において54.5%,無添加精液由来菌では31.4%に認められた。これらの二剤耐性菌はグラム陰性菌群では47.2%の菌株に認められたが,グラム陽性菌群においては9.9%にすぎなかった。
    4.抗生物質の希釈精液への添加は,細菌汚染を抑制するうえに有効ではあるが,希釈精液から添加した抗生物質に耐性の菌株がかなり検出されるとともに,感受性菌も検出されたことから,その抗菌作用は精液の保存条件下においては,一応の限界があるものと考えられた。
  • 石橋 功
    1967 年 12 巻 4 号 p. 127-132
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    人工昼夜の条件下に飼育した成熟ラットに,PMSおよびHCGを投与して,排卵数,左右卵巣からの排卵割合および不正常卵子の割合をしらべ,次の結果を得た。
    1. 1964年7月に,HCG投与量を50iuとし,PMSの前処置量を10, 20, 30, 40, 30+20, 50,60iuとするとき,平均排卵数はそれぞれ17.9, 23.7,31.7, 41.5, 41.9, 56.5, 53.7コであった。またPMS量を50iuとし,HCG量を25,100iuとした場合の平均排卵数は,それぞれ53.0,55.3コであり,無処置のラットの排卵数は10.5コであった。
    2.PMS30iu+HCG50iuを処置した場合の,3~7月における平均排卵数は29.5~36.0コで,9~1月における排卵数23.3~26.7コより僅かに多い傾向がみられ,PMS50iu+HCG50iuを処置したラットの,3~7月における平均排卵数は40.3~56.5コで,9~1月の31.2~33.3コよりも多かった。
    3.無処置のラット140匹,PMS30iu+HCG50iu処置の195匹,PMS50iu+HCG50iu処置の195匹のラットにっき,左右卵巣からの排卵数をしらべた結果,左右の機能はほぼ等しいと考えられた。
    4.HCG投与量を50iuとし,PMSの前処置量を30iuまたは50iuとして過排卵を誘起した場合,fragmentedおよびimmature ovaを含む不正常卵子の割合は,それぞれ1.25%(5853コのうち73コ)または1.23%(8509コのうち105コ)であった。
  • 石島 芳郎, 佐久間 勇次
    1967 年 12 巻 4 号 p. 133-136
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    PMSによる家兎の過排卵に対するestrogen前処置の効果を検討した。その結果,0.1,0.15および1mgのestrogenを前処置し,PMSを5日間に200IU処置した区が最もよく,排卵数は27.2,32.0および33.2コであった。同量のestrogenを処置し,PMSを3日間に120IU処置した区は,5日区より劣る成績であった。採卵率は成績のよかった5日区で50.0~77.9%,同様に受精率は61.3~98.1%であった。各区により結果はまちまちでestrogen量との特定な関係は得られなかった。また,この実験で,PMS処置の途中で排卵が起こった例がなかったこと,交尾後48時間の卵管卵子の分割がほとんど16cellに揃っていたことは,estrogen前処置による効果と思われる。なお,個体による排卵数のばらつきは,この試験においても改善されなかった。
  • 渡辺 守之, 浜中 勝司, 安井 光昭
    1967 年 12 巻 4 号 p. 137-139
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    七面鳥の人工授精に関する基礎的研究として七面鳥特有の保定台を考案しmilkingを伴ったマッサージ法により容易に採精可能なことを確認した。得られた精液の一般性状は次の通りである。採精量は0.05~0.3ml,平均0.11ml;pHは7.0~7.8,平均7.6;1mm3中の精子数は2.11~18.20百万,平均5.11百万;総精子数は1.62~27.30億,平均6.12億であった。なお精子の大きさは全長82.7~93.7μ,平均86.8±0.56μ;頭部長8.0~13.0μ,平均10.4±0.25μであった。
  • 森 純一, 檜垣 繁光, 細田 達雄
    1967 年 12 巻 4 号 p. 140-142
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    家畜におけるLHのimmnnoassay法の基礎的検討を行なう目的で,牛LHによるウサギ免疫血清を作製し,その血清学的性状を調べた。
    1)牛LHは抗原性を有し,ウサギを免疫することによって抗体を産生させることが出来る。
    2)Anti LH血清は牛血清とも反応したが•牛血清で吸収後は臓器抽出液のうち下垂体抽出液とのみ特異的に反応した。
    3)牛血清で吸収後のanti LH血清はLHとTSHのみに反応を示し,FSH, GH, Prolactin, ACTHとは反応しなかった。
    4)LHとTSHは共通抗原をもっており,LHにはこのTSHと共通抗原部分以外の特異抗原部分が存在した。
    5)牛血清吸収anti LH血清をさらにTSHで適度に吸収するとLHにのみ特異的に反応する抗血清を得ることが出来た。
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