馬,牛,豚,やぎ,うさぎならびに鶏の各精液中のデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)様酵素活性を酸可溶性分画一糖測定法によって調べ,以下の成績を得た。
1.DNase様酵素活性は,どの家畜あるいは鶏においても主として精しょう中に検出され,精子からのリンゲル抽出液中にはごくわずかの活性しか認められなかった。
2.精しょう中のこれら酵素活性はその性状が,馬を除いて,DNase IとIIの性質によく一致した。すなわち,活性の最適pHはほぼpH7とpH5に示されたが,馬ではpH6~8の間に認められた。DNaseI,IIの阻害剤としてクエン酸ナトリウムと硫酸マグネシウムをそれぞれ反応液中に加えると,ほとんどの動物でその阻害効果が強く認められたが,馬の場合の阻害効果は軽微であった。
3.pH7の緩衝液を用いた場合の精しょうのDNaseI様酵素活性は馬,鶏およびやぎで高く,牛とうさぎは低く,豚ではほとんど活性は認められなかった。pH5の緩衝液を用いた場合の精しにうのDNaseII様酵素活性は馬,鶏,やぎおにびうさぎで高く,牛と豚では低く認められた。
4.DNase I様酵素活性は精巣上体尾部に由来すると推察された。しかし,馬1例では非常に強い活性が精のうの庶糖抽出液中に認められた。DNaseII様酵素活性は,豚の精のう液中にはほとんど検出されなかったが,他のほとんどの生殖器官中に検出された。
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