家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
16 巻, 3 号
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  • 武石 昌敬, 常包 正
    1971 年 16 巻 3 号 p. 81-84
    発行日: 1971/03/15
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1) 牛胎児の胆汁並びに胎便中にestrone, estradiol-17β並びにestriolの分布を認め,牛胎児肝臓がE代謝機能を有していることを認めたが,とくにestradiol-17βを多く認めた。
    2) Eの陽肝循環は胎齢7ヵ月以降の胎児で明らかにみられたが,肝臓の組織的変化も同じ時期から急激に完成に向う組織像を認めた。
    3) 牛胎児肝臓のE代謝並びにEの陽肝循環には性別によりちがいのあることが認められた。
  • 武石 昌敬, 常包 正
    1971 年 16 巻 3 号 p. 85-87
    発行日: 1971/03/15
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1) 牛胎児の腟粘液は胎令に併行した増量を示し,pHは胎令の進むに伴い中性から弱酸性に傾いた。
    結晶形成並びに精子受容性はほとんどのものにみられ,この両者はNaCl濃度に併行した反応を示した。
    2) 腟粘液中のE量は微量認められ,胎令に併行した増量を示したが,E分画ではestradiol-17βが多く認められた。
  • 花田 章, 永瀬 弘
    1971 年 16 巻 3 号 p. 88-92
    発行日: 1971/03/15
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    馬,牛,豚,やぎ,うさぎならびに鶏の各精液中のデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)様酵素活性を酸可溶性分画一糖測定法によって調べ,以下の成績を得た。
    1.DNase様酵素活性は,どの家畜あるいは鶏においても主として精しょう中に検出され,精子からのリンゲル抽出液中にはごくわずかの活性しか認められなかった。
    2.精しょう中のこれら酵素活性はその性状が,馬を除いて,DNase IとIIの性質によく一致した。すなわち,活性の最適pHはほぼpH7とpH5に示されたが,馬ではpH6~8の間に認められた。DNaseI,IIの阻害剤としてクエン酸ナトリウムと硫酸マグネシウムをそれぞれ反応液中に加えると,ほとんどの動物でその阻害効果が強く認められたが,馬の場合の阻害効果は軽微であった。
    3.pH7の緩衝液を用いた場合の精しょうのDNaseI様酵素活性は馬,鶏およびやぎで高く,牛とうさぎは低く,豚ではほとんど活性は認められなかった。pH5の緩衝液を用いた場合の精しにうのDNaseII様酵素活性は馬,鶏,やぎおにびうさぎで高く,牛と豚では低く認められた。
    4.DNase I様酵素活性は精巣上体尾部に由来すると推察された。しかし,馬1例では非常に強い活性が精のうの庶糖抽出液中に認められた。DNaseII様酵素活性は,豚の精のう液中にはほとんど検出されなかったが,他のほとんどの生殖器官中に検出された。
  • 花田 章, 永瀬 弘
    1971 年 16 巻 3 号 p. 93-97
    発行日: 1971/03/15
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    精子DNAの安定性を調べるため,5種の動物精液の体外保存中に精しょう分画ならびに精子の酸可溶性分画中に検出されるジフェニルアミン反応陽性物質(DPM,主としてDNA由来のデオキシリボースと推察される)を調べ,次の成績を得た。
    1. 採取直後の精液材料では,調べた全ての動物で,両分画中にいろいろな量のDPMが検出された。とくに馬精しょう中のDPM量は精子1億あたりに換算すると最高であった。
    2. 原精液の4°Cまたは15°C(豚精液のみ)保存中,精しょうDPM量の増加が鶏(4時間後),馬とうさぎ(各48時間後)で有意に認められた。しかし,牛と豚では保存48時間までの間に採取直後例との有意差は認められなかった。酸可溶性分画DPM量はどの動物の精液を保存した場合でも有意の変動はみられなかった。
    3. 原精液を液体窒素で5分間凍結後室温で融解し,4°Cに保存した場合,精しょうDPMの増加は鶏と馬で促進されたが,うさぎ,牛ならびに豚では凍融処理の影響はみられなかった。
    4. 両分画のDPMの総量についてみると,その変動傾向は精しょう量の変動にほとんど一致したが,馬では総量の変動は精しょうにおけるよりも早く現われ,うさぎは総量の変動は保存中認められなかった。
  • 遠藤 克, 石田 一夫, 佐久間 勇次
    1971 年 16 巻 3 号 p. 98-102
    発行日: 1971/03/15
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    過排卵処置マウスおよび過排卵処置後にprogesteroneまたはprolactinを併用投与したマウスについて,交尾後7日目の着床卵子を形態学的に観察し,正常妊娠マウスの卵子と比較したところ,つぎのような成績が得られた。
    1)交尾後7日目の卵子は,卵筒を示しているものが,正常な発生状態であったが,このほかに,後期胚盤胞,初期卵筒が出現した。また,卵筒には小型のものと大型のものが区別された。
    2)過排卵処置をした区はすべて発生遅滞卵子の出現率が正常妊娠のものに比べ圧倒的に高い傾向が認められた。処置区の間では,過排卵処置にprolactinを併用した区が発生遅滞卵子の出現率が低く,良好であった。
    3)着床卵子の多い子宮に遅滞卵子が多発する傾向は認められなかった。
    4)両側子宮,または片側子宮全体に遅滞卵子がみられるものがあった。しかしながら,遅滞卵子の出現は一般に子宮の卵巣に近い部位と睦に近い部位に多く,両者の間では前者に多く出現する傾向があった。
    5)着床卵子をもった子宮の脱落膜の発達はおおむね良好であった。一方,着床卵子のみられない子宮にあっては,脱落膜の形成は不全であるか欠除していた。
  • 恒成 靖生, 本間 征人, 斎藤 喬士, 前川 久太郎
    1971 年 16 巻 3 号 p. 103-106
    発行日: 1971/03/15
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    亜鉛の投与によって,カドミウムの特異な精巣障害作用を防ぎうることが知られているが,その拮抗部位については明らかでない。今回の実験は,カドミウムの精巣内血管壁に対する障害作用に亜鉛が拮抗的に働きうるか否かを,精巣間質への出血(warfarinによるanti-coagulant bleeding)の有無を示標として検討した。
    動物はすべてWistar系の雄ネズミが用いられた。カドミウムの投与は1例当り塩化カドミウム1.5mgを皮下に,また亜鉛は塩化亜鉛として1例当り100mgをカドミウム投与の24時間前に経皮的に与えられた。示標とするanti•coagulant bleedingを見るために,カドミウム投与の1日前から屠殺までの4日間,全例にwarfarinsodium(10 mg/l)が飲水として与えられた。
    結果はカドミウム単独投与群の精巣•精巣上体頭部頭端には顕著な出血性腫脹が認められたのに対し,予め亜鉛を与えられた動物では,いずれの部位にも出血•腫脹などの変化は認められず,組織学的にも障害像は見出し得なかった。これは,カドミウムの障害効果に対する亜鉛の拮抗部位が精巣内血管壁にあることを思わしめるものであって,同時にまたカドミウムの直接の作用部位が精巣内血管壁にあるとする著者らの考え方を支持するものである。
  • 太田 実, 岩瀬 昭二, 菅原 七郎, 竹内 三郎
    1971 年 16 巻 3 号 p. 107-112
    発行日: 1971/03/15
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    乳牛の分娩後の発情回帰の早期化と受胎率の向上を図るために分娩後15日目から14日間MGAO.5mg/dayを投与し,次いでDES5mgを注射し,卵巣機能,子宮収復,泌乳に及ぼす影響を調べた。
    1)分娩後初回発情の回帰は早期化され18/19が分娩後29.4日に発情を示したが,初回発情時の排卵率は牛群によって差があり,A群は7/8, B群は3/8が排卵した。
    2)子宮の収復日数はA群28.3日,B群33.3日,C群32.9日でA群が対照に比べてやや早かった。
    3)初回発情時の発情徴候は正常発情との差異が認められなかった。
    4)MGA-DES処理牛と対照牛の分娩後40日までの乳量に差は認められなかった。
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