家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
19 巻, 1 号
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  • 梅津 元昭
    1973 年 19 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1973/06/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    PMS注射による幼若雌ラットの排卵に対して,アンチ•エストロジェソであるクロミヘソが及ぼす影響について種々の検討を加えて以下の結果を得た。
    1)25日令のラットを用い,3IUのPMS注射後12時間でクロミヘンの単一皮下注射を行ない,PMS注射後74時間で殺した時,体重100g当り500μgのクロミヘン投与では排卵を60%抑制し,1.25mg以上のクロミヘンでは100%抑制した。
    2)PMS注射後種々の時間にクロミヘン5mg,500μgの2つの量を用い排卵への影響を調べたところ,クロミヘン5mg処理ではPMS注射後0時間および27~36時間の処理で60%以上の排卵抑制を示し,3~24時間の処理では100%の排卵の抑制を示し,39時間以後の処理では抑制効果はなかった。クロミヘン500μg処理では,3~24時間の処理で60%の排卵抑制を示し,0時間の処理および27時間以後の処理では排卵の抑制はみられなかった。
    3)PMS注射後12時間に5mgのクロミヘン処理を行なったラットに,PMS注射後54時間にHCG 10IUを皮下注射したところ排卵の抑制は全くみられなかった。PMS注射後クロミヘン処理したものは, PMS処理後98時間で100%の排卵がみられた。
    4)PMS注射後6時間でクロミヘン1mg処理のものは排卵は抑制されたが,PMS注射後3~6時間にエストラジオール0.5μgを投与することによりその抑制効果は打ち消された。
    以上のことから,幼若雌ラットのPMSによる排卵に対して,エストロジェンのポジティブ•フィードバックが重要な役割を果していることがより明らかとなった。
  • VII.雌生殖器内における糖および糖アルコールの性周期に伴う消長
    菅 徹行, 正木 淳二
    1973 年 19 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 1973/06/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    健康な乳牛23頭,肉牛10頭から,合計33例の雌生殖器を摘出し,子宮液,頸管粘液,卵管洗浄液および卵管峡部,小丘領域,小丘間領域,頸管の各組織内におけるフラクトース,グルコース,ソルビトール,イノシトールの性周期に伴う消長をガスクロマトグラフィーによって分離定量した。得られた結果は次のとおりである。
    1.子宮液中のフラクトース,グルコース,ソルビトール,イノシトールの成分は性周期に伴っていずれも共通した消長を示し,発情期と排卵後に低く,黄体初期に急上昇して,その高値は黄体末期まで保持された。発情期の値に対する黄体中期における増加倍率はフラクトース15,グルコース6,ソルビトール346,イノシトール18倍であった。また発情期にはグルコース,黄体期ではソルビトールが4成分中の主な成分であった。
    2.頸管粘液中にもフラクトース,グルコース,ソルピトール,イノシトールが認められ,性周期に伴う消長は子宮液のものと一致したが,その濃度は性周期のいずれの時期においても子宮液中の値よりも低かった。組織材料にっいては,ソルビトールは黄体期の子宮内膜でのみ認められ,頸管組織内では検出されなかった。
    3.卵管内では,イノシトールについて能動的分泌が認められた。しかしその他の糖質成分については明らかな結果が得られなかった。
  • 林 正利
    1973 年 19 巻 1 号 p. 16-18
    発行日: 1973/06/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1. 妊娠後期中および分娩時の血中estrogen量は妊娠17日まで急増し,その後22日までは著しい変動はみられず分娩時に急激な増加を示した。
    2. 妊娠後期中および分娩時の子宮組織中のestrogen含有量は胎盤に比べて低く,著しい変動もなく分娩時に低下した。
    3. 妊娠後期中および分娩時の胎盤組織中のestrogen含有量は妊娠経過に伴って増加し,分娩時に最高値を示した。
  • 石田 一夫
    1973 年 19 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 1973/06/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    分割球の分化期におけるハムスター卵子のphosphorylaseおよびUDPG-glycogen transferaseを組織化学的に検出したところ次のような結果がえられた。
    phosphorylase反応は8細胞卵子(排卵後65~70時間)の分割球ではいずれも陽性であったが,分化直前と思われる8細胞卵子では4個の分割球が酵素活性を示しているのに対し,他の4個にはまったく反応がみられなかった。分化8-16細胞卵子においては,trophoblastだけにきわめて弱い反応が認められた。blastocystはまったく反応を示さなかった。UDPG-glycogen transferase活性は多くの8細胞卵子に認められ,いずれの分割球も平等に反応を示していたが,分化8細胞卵子以降のものではまったく反応が現われなかった。
  • III.Progesteroneの排卵誘発効果におよぼす雄接近の影響
    高橋 和明, 信永 利馬
    1973 年 19 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 1973/06/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    午前5時点灯•午後7時消灯の照明時間調節をされた飼育環境で正しく4日周期を画がいているマウス(IVCS系)に,単一皮下投与では排卵を誘発しない量のestra-diolで前処置し,翌日progesteroneを投与した場合の排卵誘発率はestradiolの前処置をしなかったcontrol群よりもはるかに増加することはすでに報告5)した。
    今回はestradiolの前処置のかわりに雄を金網ごしに接近させた場合のprogesteroneの排卵誘発に与える影響について検討を加えた。
    雄の連続接近により4日周期が3日周期に移行しなかった個体のV期(発情間期)の日の午後4時(0.13mg,0.25mg/mouse),あるいは7時(0.5mg/mouse)にprogesteroneを投与した場合,雄を接近させなかった群に比較しprogesteroneによる排卵誘発率は明らかに増加した(Fig.1)。
    この成績はestradiol前処置を行なった既報5)ときわめて類似しており,雄の接近による性周期日数短縮にはestrogenの分泌増加が関係している可能性がさらに明らかになった。
    なお,雄の接近により4日周期が3日周期に移行しなかった個体はあらためて雄と接近させてもほとんど3日周期に移行しなかった。
  • 性周期に伴う蛋白質量およびディスク電気泳動による蛋白分画像の変動
    長谷川 喜久, 菅原 七郎, 竹内 三郎
    1973 年 19 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1973/06/30
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    性周期に伴うラットのUF中の蛋白質量および蛋白成分について検討した。
    発情前期の6時から発情期の6時までAUFが見られ,その間のUFの蛋白質量は著しく多く,特に発情前期の22時から発情期の6時の間でAUFの量およびUFの蛋白質量が最大値を示した。
    発情前期の6時から発情期の6時にかけてのUFのディスク電気泳動による蛋白分画は経時的に変化し,アルブミンは減少し,逆にγ-グロブリンが増加することが明らかになった。またAUFが見られる時期のUFの蛋白質は糖蛋白質を多く含んでいることがわかった。
    血清の蛋白分画および糖蛋白分画とを比較した結果,UFの蛋白成分の特異性が見られた。
  • 武石 昌敬, 常包 正, 人江 達彦
    1973 年 19 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1973/06/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.ホルスタイン種の妊娠牛における排尿量の季節変動については夏季に最高量を認めた。また,妊娠月令による排尿量の変動は殆どみられなかった。
    排尿回数は妊娠初期に多い傾向がみられ,1日の排尿回数は15時から20時の間に最も多く,0時から5時の間が最も少なかった。
    2.ホルスタイン種の妊娠牛における尿中エストロジェン分画値の妊娠月令に伴う変動については,とくにE8値が妊娠月令の進むに伴い増量し,E1,17β-E2からE8への転換の増加が認められた。
    また,流産牛尿中のE8値は流産の2ヵ月前から陰性値を示したことから,エストロジェンがウシの妊娠維持に重要な役割を有していることがうかがえた。
    さらにエストロジェン測定における早朝尿利用の臨床的意義も明らかにされた。
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