家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
19 巻, 2 号
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  • 石島 芳郎
    1973 年 19 巻 2 号 p. 43-56
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    性腺刺激ホルモンによって家畜や実験動物に過排卵が誘起できることはよく知られており, これの応用の一つとして, 過排卵処理動物を妊娠させ, 産子数を増加させようとする試みが多くの研究者によって行なわれてきた。しかしながら, 一般に過排卵処理を行なった動物の妊娠成績は芳しくなく, たとえ多数の胚が着床してもその後の胚死亡が高いため, ほとんどの場合正常の産子数を超えるに至っていない。したがって, この方法はまだ実用化の域に達しておらず, 大部分の研究は基礎実験に終始している現状にある。とくにこの種の研究はマウスにおいて活発になされているが, そのほかの動物の報告は比較的少なく, そのうえ, 処理後の妊娠がうまくいかない原因についても十分解明されていない。
    そこで著者は, 家兎においてこの問題を追究する目的で, PMS製剤を用いて, 過排卵に有効な処理方法の検討および処理後の諸現象ならびに処理後の妊娠そのものについて一連の観察を行なった。
  • 武石 昌敬, 山本 義広, 常包 正
    1973 年 19 巻 2 号 p. 56-58
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    XAD-2を用いるヒトの妊娠尿中のエストロジェソの簡易測定法を改良し,妊娠牛の尿中エストロジェンの測定を行なったところ,臨床検査法として応用可能な簡易測定法となりうる成績が得られた。
  • VIII 着床前期における雌生殖器組織および 分泌液中の糖と糖アルコールの消長
    菅 徹行, 正木 淳二, 木嶋 朗博
    1973 年 19 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    着床前期の牛子宮における糖質の動態を調べるため,ホルスタイン種雌牛11頭を妊娠20~80日間のあいだに一定間隔で屠殺し,生殖器組織,分泌液,胎水中の糖および糖アルコール濃度をガスクロマトグラフィーにより定量して,次の結果を得た。
    1.子宮分泌液中に見られたフラクトース,ソルビトール,グルコースおよびイノシトールを子宮内膜,胎膜尿膜水および羊水中にも検出した。
    2.子宮分泌液中のフラクトースおよびソルビトール値は妊娠の経過に伴って同一傾向の消長を示し,妊娠27日令までは高く,また妊角よりも不妊角の方が高値を示した。しかし30日令以後には明らかに低下した。
    3.フラクトース,ソルビトール,グルコースの3成分については,尿膜水,尿水中ではフラクトース,妊娠20日令までの胎膜および子宮液中ではソルビトール,子宮内膜組織と妊娠30日以後の子宮液中ではグルコースが主成分であった。
    4.子宮角中央部の内膜組織像を調べた結果,小丘領域の上皮は妊娠20日令以前に消失し,小丘間領域の上皮は妊娠30~40日で屠殺した5例中4例で消失していた。また露出した毛細血管層および緻密層内の血管が拡張し血液栄養による供給増加像が認められた。
    子宮腺細胞の分泌活性は妊娠40日頃から高まるが,子宮液および内膜組織内における糖および糖アルコール値は増加しなかった。
    3.以上の結果は,着床前期の牛子宮から供給される糖質主成分が妊娠27日まではソルビトールであり,その後はグルコースであること,およびこの時期における牛の胚はこれらの糖質を利用できることを示している。
    6.妊娠中の頸管および卵管における糖質の分泌は少なかった。
  • 梅津 元昭, 竹内 三郎, 岩瀬 昭二, 千葉 治敏
    1973 年 19 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    Rhizopus麹抽出物(R.E.)を宮城県玉造郡岩出山地方および古川市郊外の農家において,卵巣疾患(嚢腫を除く)で不受胎の50頭の乳牛を用い,R. E.3~5gを30日間経口投与し,投与開始から90日間の受胎に及ぼす影響を調べて次の結果を得た。
    1. 試験期間中の人工授精により37頭の牛が受胎した(受胎率74%)。
    2.受胎に至る授精回数は,25頭のものが1回,11頭のものが2回,1頭が3回であった。
    3.1.の結果を年令,産次別に分けると,特に2~3才の未経産牛に対して好成績を得た。
    4.R. E.投与前長期に亘り無発情であった牛20頭では試験中に18頭のものが発情を回帰し,そのうち4頭が受胎した。
  • 総蛋白質量およびディスク電気泳動による蛋白質分画像に対するエストロジェンとジェスタージェンの影響
    長谷 川喜久, 菅原 七郎, 竹内 三郎
    1973 年 19 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ラット子宮液の蛋白質量およびそのディスク電気泳動による蛋白質分画像の変化と卵巣ホルモンとの関連を検索した。
    1.AUFはE20区から認められ,エストロンの投与回数に伴いその液量は増加した。E40P4区では,AUFの液量の変化は見られなかったが,E40P8区では,急激に減少した結果AUFは認められなかった。
    2.AUFの蛋白質濃度は,E20区およびE30区では約1mg/mlであったが,E40区のそれは約3倍に増加していた。しかしながらプロジェステロンによりAUFの蛋白質濃度は減少することが明らかになった。
    3. UFの蛋白質量はエストロンの投与回数の増加に伴い増加しプロジェステロソ投与により減少した。
    4.エストロソの投与回数の増加に伴いUFの蛋白質分画像のB分画は急激に減少し,H分画は逆に増加した。またそれらのUFは多くの糖蛋白質を含んでいた。
    5.種々の卵巣ホルモンの処理時のUFの蛋白質量および蛋白質分画像の変化は性周期におけるそれらの変化と関連性のあることが認められた。
  • 山村 慶紹, 高嶺 浩
    1973 年 19 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 1973/09/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ホソドイタチの繁殖生理に関し,次のことがらを明らかにした。
    1.雄における造精機能は,2月中旬に始まり,6月中旬まで存続し,特に3月下旬から5月中旬に亘る間が活発であった。また,精巣の大きさと組織所見の関連を明らかにし,精巣の定期的形態測定により造精機能の進行が察知された。
    2.雌におけるvulval swellingは4月中旬~5月中旬から開始され,約2週間後にfull estrusに達した。この時期に交配させない場合は,約48日後に再び発情がみられた。swellingは7月中旬から8月初旬に至れば消失した。
    3.繁殖期推移に伴う膣スメアーの所見が明らかにされ,雌の繁殖機能の示標とできる知見が得られた。
    4.雌に対してhCGを投与することによって交尾排卵後と類似する発情徴候の変化を認め,誘起排卵の可能性が考えられた。
    5.長日処理によって雌雄ともに繁殖活動の開始を4週間早め,また繁殖期を延長することができ,イタチの積極的増殖に有効な方法の1つであると認められた。
    6.雌雄の生殖器の解剖学的所見ならびに精液•精子性状について新しい知見が得られた。また,人工授精を試み,妊娠を得るには至らなかったが,今後応用の可能性を見出した。
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