家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
13 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 窪道 護夫, 猪 貴義, 鈴木 勝夫
    1967 年 13 巻 4 号 p. 123-130
    発行日: 1967/12/05
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    HCGの生物学的検定法を検討する目的で約21日令のddマウスの卵巣,子宮重量反応について検討した結果,次の成績が得られた。
    1)HCGに対するdd幼若雌マウスの卵巣と子宮の重量反応で,新鮮重量と固定重量との問には順相関が認められた。卵巣での相関係数は0.894,子宮での相関係数は0.954で,それぞれの相関係数のPは0.001で高い有意性を示した。また卵巣,子宮の新鮮重量,固定重量について回帰直線を求め,回帰係数の有意性を検討したところ,Pは0.001で高い有意性を示すことが明らかとなった。これらの結果から剖検時に多数の新鮮材料の測定が不可能のとき,固定して測ることも一つの方法とみられる。
    2)HCG0.5~6.0IUに対するマウス卵巣重量は新鮮重量,固定重量ともに1.0IUで一つのpeakを示し,1.5IUでは1.0IUよりも重量の減少,1.5IU以後ではゆるやかな上昇曲線を示したが,4.5IU以上になるとHCGの量的増加にもかかわらず卵巣重量平均値は5mg以上にはならなかった。この実験結果からマウス卵巣重量反応はHCG1.5IUを境として異なる二相性の反応曲線からなることが明らかとなった。また,HCG用量と卵巣重量増加は平行関係を示さないことから,ddマウスの卵巣重量反応はHCGの生物検定法に適さないことが認められた。
    3)ddマウスの子宮重量反応は卵巣重量反応とは異なり,HCG0.5~6.0IUの用量範囲において,HCG用量の高まるに伴ない子宮重量は漸増し,一定傾向を示す反応曲線が得られた。各ホルモン用量間における子宮重量の平均値について差の検定を行なったところ,1.0:1.5,4.5:6.0IUの関係を除く他の用量問でいずれも有意差が得られた。また,HCG0.5~6.0IUにおいては回帰直線が成立し,回帰係数の有意性検定においてもPは0.01~0.001で高い有意性を示すことが明らかとなった。
    4)HCGに対する卵巣黄体血点形成反応について前報1)で得られた成績と比較するため検討した結果,卵巣黄体血点形成反応陽性率はHCG用量の増加に伴ない高まる傾向にあるが,4.5IUでほぼ反応の頂上に達し,6.0,8.0IUでその反応曲線は横這いとなった。また1.0IU以下では反応陽性率は極めて低く,1.0~4.5IUの用量範囲において一定傾向を示す用量反応曲線が得られた。この実験成績は前報1)で報告した卵巣黄体血点形成反応の成績とほぼ同様の傾向を示した。
    5)反復実験による反応の再現性について子宮重量反応,卵巣黄体血点形成反応で検討したところ,両反応とも測定の繰り返しによる有意差は得られなかった。したがって,HCGに対するddマウスの子宮重量反応,卵巣黄体血点形成反応は再現性のある反応とみられる。
  • 窪道 護夫, 猪 貴義, 鈴木 勝夫
    1967 年 13 巻 4 号 p. 131-135
    発行日: 1967/12/05
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1)HCGに対するddマウスの卵巣黄体血点形成反応について,プロピヅト法で検討したところ,冬期,夏期,冬期プラス夏期の1.5~6.0IUの用量反応曲線を,各々直線化することが可能であった。
    2)各々の線の平行性について検定を行なったところ非平行性は否定され,回帰係数が等しいという帰無仮説は否定されなかった。しかし,冬期のプロビット回帰直線は夏期のプロビット回帰直線に比べて全体的に低かった。
    3)腟開口反応について,0.5~3.0IUの用量反応値をプロビット法で分析したところ,回帰直線の直線性は否定された。
  • 押田 等, 三川 武, 堀内 精司, 高橋 裕郎, 富塚 常夫, 永瀬 弘
    1967 年 13 巻 4 号 p. 136-140
    発行日: 1967/12/05
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    液体窒素で保存した馬の錠剤化凍結精液による授精試験を実施した。
    1)雄馬9頭(重種3,中間種4,ポニー2)を用い,希釈精液の0.2mlをドライアイス上で錠剤化凍結を行なった後液体窒素中で保存した。農家までの凍結精液の運搬はドライアイス中で行ない,融解直後に注入した。対象の雌馬は特に制約を設けなかった。
    2)授精頭数は93頭で,この内43頭が受胎し,受胎率は46.7%(不明一頭を除く)であった。
    3)受胎例における精液性状の範囲は,精子数では,3.63~31.24億で,精子生存率は15~65%,注入錠剤数は3~11,保存日数は1~110日であった。注入精子数と受胎率の関係では,7~8億台の受胎率が76。9%(10/13)で最も良好であった。
  • 竹内 三郎, 豊田 裕, 後藤 安夫, 木村 晃一
    1967 年 13 巻 4 号 p. 141-145
    発行日: 1967/12/05
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    強制離乳後の発情回帰および受胎率に及ぼす乳子数および哺乳期間の影響を知る目的で初産のウイスター雌ラット71匹を用いて実験を行なった。分娩翌日に乳子数を4,8あるいは12匹のいずれかとし,それぞれ分娩後7,14あるいは21日に離乳した。離乳後成熟雄に配し,妊娠したものは第19日に剖検した。
    1)離乳から初回発情期像出現までの日数は乳子数間には差は認められなかったが,哺乳日数との間には明らかな負の相関が認められた。
    2)離乳後3周期までに55例に交尾が成立し,4匹哺乳群の交尾率は他の群に比しやや低い値を示した。
    3)交尾成立例のほとんど(51例)は妊娠し黄体数,着床数,生存胎子数,胎子重量いずれにおいても実験区間に差は認められなかった。
  • 石橋 正彦, 安田 泰久
    1967 年 13 巻 4 号 p. 146-148
    発行日: 1967/12/05
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.牛精液および精漿でうさぎを免疫して,抗血清を得,その抗体産生および抗原系の検討を行なった。
    2.抗精液血清および抗精漿血清は,それぞれ矩形の「反応の場の形」を示した。なお,抗精漿血清では,抗原の過剰において,抑制現象が認められた。
    3.Ouchterlony法の実施の結果,抗精液血清は,精液および精漿に対して2以上の,また抗精漿血清は,精液および精漿に対して,4~6以上の抗原系をそれぞれ有することが考えられた。
    また,異なるホルスタイン2個体より得た精液に対しては,沈降線の出現に関し,差が認められなかった。
    さらに,抗精漿血清と豚精漿との間には,沈降線の出現が認められなかった。
  • 小島 義夫, 飯田 勲, 番場 公雄, 小林 真
    1967 年 13 巻 4 号 p. 149-155
    発行日: 1967/12/05
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    他の家畜に比べ液状成分が多いという特殊条件にある豚精液の凍結処理に,glycerolの代りにDMSOを凍結保護物質として用いてみた。まず,SGS卵黄緩衝液にDMSOを種々の濃度で含むものとglycerol 7%を含むものおよび凍結保護物質を全く含まないものについて,アンプル封入後,10°Cから-20°Cまで1°/1分,以下-79°Cまで5°/1分の冷却速度で凍結し,10°Cで融解して精子活力を比較した。
    1)凍結前10°C•6時間以内におけるDMSOの豚精子に対する毒性は,終末濃度が5,7,10および20%では対照として用いた7%glycerolとほぼ等しかった。
    2)用いた容量濃度の範囲内(終末濃度が,1,5,10および20%)では,DMSOは豚精子を凍結から保護するのに有効に働いた。しかし,いずれの濃度もその保護効果は7%glycerolよりも劣っていた。
    3)DMSOの用いた用量の中,アンプル封入による凍結法で最も効果のあった濃度は5%であった。
    次いで,DMSOの1,2.5,5および7.5%の各区とglycerol7%の区について,錠剤化凍結法を試みた。
    4)錠剤化した場合,DMSOは5,2.5,1および7.5%の順に保護効果を示したが,いずれも対照区より劣る成績であった。
    5)DMSOの7.5%区はその他の区よりも有意に劣る成績(P<0.01)を示し,5%区と2.5%区は対照区との間に差は認められなかった。
    これらの成績から,文献中の各条件を引用し,DMSOの豚精液への応用の可能性を検討した。
feedback
Top