家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
22 巻, 2 号
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  • VII.受精卵の着床について
    筒井 敏彦
    1976 年 22 巻 2 号 p. 44-49
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    開腹手術および雄犬許容開始から排卵時期を推定した21頭について,排卵を基準に種々の時点に1回のみ交配させ,その後,日を追って剖検した。このうち受胎していた17頭について受精卵の着床状態を観察し,つぎの成績が得られた。
    1.胞胚の発育状態
    排卵後16日では,胞胚は0.6~0.7mmとなり,子宮腔に浮游していた。
    排卵後18日では,着床場所が定まり,その腔内に透明帯を有し,胚部には内胚葉の発生した直径1.5mmの胞胚が浮游していた。
    排卵後19~20日の胞胚は透明帯が消失し3.0×3.7となり,着床の準備された子宮腔内の2/3を満たし,その内腔に浮游していた。組織学的には,胚部で中胚葉の発生が始まっていた。
    排卵後20.5~21.5日で,外観的に着床部子宮角がわずかに太く,胞胚はその部の子宮の形状に合致したレモン形(5.0×6.0mm)を呈し,三胚葉となり子宮間膜付着部とは対側の子宮内膜に接着し,着床を開始していた。
    排卵後21.5日で,胚が1.5×6.0mmの長楕円型となって着床が完了していた。
    2.排卵および交配から着床までの日数
    1)排卵から着床までの日数:排卵前54時間から排卵後48時間までに交配させたものは,排卵から着床までに20.5~21.5日を要しており,排卵後72時間および84時間で交配させたものは22.0日,96時間で22.5日,108時間では23.0日であった。
    従って,犬における排卵から着床までの日数は20.5~23.0日の範囲にあると認められた。
    2)交配から着床までの日数:排卵54時間前に交配させたものは,交配から着床までに24.0日,24時間前では22.0日,排卵日では21.0日,排卵後,12時間および24時間では20.0日,36時間では19.5日,排卵後72~108時間では18.5~19.0日であった。すなわち,交配から着床までの日数は18.5~24.0日の範囲にあることが認められた。
    以上の成績から,犬の受胎可能な交配期間は約7日間と非常に長いが,受精後,着床までの期間は18.5~19.0日とほぼ一定であるものと認められた。
  • 川上 静夫, 大地 隆温
    1976 年 22 巻 2 号 p. 50-54
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.乳牛の黄体由来細胞は,顆粒膜細胞の培養と同条件下において長期間にわたり継代培養が可能である。
    2.移植前の黄体由来細胞は球状を呈しており,人工培養した場合は底面に付着して扁平となるが,遊離させた場合は短時間で球状となる。
    3.黄体由来細胞はprolactinやHCGを添加することにより増殖が促進され,特にprolactinにはHCG以上にその作用が認められた。
    4.黄体由来細胞培養液中にHCGを添加すると細胞形態が細長くなることが認められた。
    5.ラジオイムノアッセイによる黄体由来細胞の継代第3代細胞の培養液中のプロジェステロンは,培養液を軽く撹拌して測定した場合には20.0ng/ml,遠沈上清中には23.1ng/mlが検出され,さらにこの細胞を継代した10代細胞培養液について同様に行ったところ,それぞれ2.9ng/ml,2.8ng/mlが検出された。また,比較のために行った顆粒膜細胞の継代第3代細胞の培養液中にも,培養液を軽く撹拌して測定した場合には4.9ng/ml,培養液を遠沈した上清中には3.8ng/mlのプロジェステロンが検出されたが,エストロジェンはいずれの場合も検出されなかった。
  • 新村 末雄, 石田 一夫
    1976 年 22 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    発生初期のハムスター卵子について,20α-OH-SDH(基質として20α-hydroxypregn-4-en-3-oneを使用)および20β-OH-SDH(基質として20β-hydroxypregn-4-en-3-oneを使用)を組織化学的に検出したところ,およそ次のような成績が得られた。
    未受精卵子と受精未分割卵子はともに高い20α-および20β-OH-SDH活性を示した。これらの酵素活性によって生じたジホルマザン顆粒は卵子の細胞質に一様に分布していた。20α-OH-SDH活性は2細胞期にいたって低下し中等度となったが,この活性は胞胚期まで維持された。いっぽう,20β-OH-SDH活性は8細胞期まで1細胞期と同程度の高い活性が持続されたが,胞胚期にいたり若干低下した。分割卵子においては,ジホルマザン顆粒は分割球の核の周辺と細胞質の表層部にとくに多く分布していた。胞胚においては,ジホルマザン顆粒は内細胞とトロホブラストに同じ強さで現れ,細胞質全般にみられた。発生過程をつうじて,ジホルマザン顆粒の分布状態には,酵素の種類による相違は認められなかった。以上のことから,ハムスター卵子にはprogesteroneと20α(β)-OH-Pとの間に相互転換のあることが推察された。
  • 菅原 七郎, 橋爪 一善, 戸津川 清, 梅津 元昭, 正木 淳二, 佐藤 博, 阿部 和生夫, 渡辺 実, 宇佐見 登, 佐藤 勝信, 吉 ...
    1976 年 22 巻 2 号 p. 60-65
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    豚において妊娠の110,112,113,114日(それぞれ分娩予定日の4,2,1,0日前)にPGF10mgの単一筋肉注射による分娩誘起を試みた。その結果,処置後23~38時間以内に分娩を開始することを認めた。
  • 初回排卵前後における血中性腺刺激ホルモン含量の変化
    梅津 元昭, 橋爪 一善, 菅原 七郎, 正木 淳二
    1976 年 22 巻 2 号 p. 66-70
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    初回排卵前後の雌ラットを午前と午後の一定時間に採血後解剖し,その時の子宮の発育度により分類して,血中GTHのパターンをラジオ•イムノアッセイにより求め以下の結果を得た。
    1.LHは子宮の発育に伴って徐々に増加し,子宮の発育が最大限に達したもの("腫脹区")の午前には有意に減少した。"腫脹区"の午後のものは,LHの放出が生じているものとそうでないものとにはっきり区分された。排卵の生じているもの("排卵群")のLH量は子宮発達の不十分な時期の水準にまで低下していた。
    2.FSHは"腫脹区"の午前まで殆ど変化がなく"腫脹区"の午後にはLHと同様に放出のみられるものとそうでないものとにはっきりと区分された。"排卵群"の午前ではFSHはなお高い値を示した。
    3."腫脹区"の午後のGTHの分泌の高まっているもののGTHの放出時刻は従来報告されている成熟ラットおよびPMS処理幼若ラットの排卵前日のGTH放出時刻とほぼ一致した。
    4.初回排卵直前の子宮の発育は,個体差が大きく,正常性周期を示す成熟ラットで子宮の発育が同期化されているのと異なった。
  • XI.ホルモン処置による発情誘起と授精結果
    武石 昌敬, 児玉 幸夫, 見上 孝, 常包 正, 岩城 隆昌
    1976 年 22 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    無発情犬への発情出血の誘起は,E1総量300~3000μgの3~9日間にわたる投与により認められた。
    発情出血を認めたのちHCG 1000 MU, PMSG 200~400IUの併用投与を行い,発情期の第1日目に追加投与を実施した。
    授精は,発情期に陰唇短径の縮小した日に人工授精または自然交配を行った。
    その結果,授精した7頭中6頭が妊娠し,授精後60~63日目に平均4.25頭の正常子犬を正規分娩したが,1頭は流産した。
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