家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
22 巻, 3 号
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  • 信永 利馬, 岡本 道生, 高橋 和明
    1976 年 22 巻 3 号 p. 82-88
    発行日: 1976/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1969~1971年の3年間に亘り,日本に普通に棲むイエネコについて小ケージ内繁殖を試み,次の成績が得られた。
    1.3年間の交配延数は124頭で,交配は年間を通じて行われたが,各月の交配頭数は10~12月には他の月よりも多い傾向があった。
    2.妊娠期間の平均日数(±S.D.)は64.6(±2.1)日,最長69日,最短56日で,妊娠59日以前に生まれた新生仔は育たなかったので,妊娠60日以上を正常妊娠期間と見做した。
    3.生後最初に交配した平均日齢(±S.D.)は329.0(±90.8)日であった。
    4.離乳から次の交配までの平均日数(±S.D.)は48.1(±37.2)日であった。
    5.出産後哺乳しなかった母体の次の交配までの平均日数(±S.D.)は21.9(±17.1)日であった。
    6.交配の結果不妊であった個体の次の交配までの平均日数(±S.D.)は72.9(±31.9)日であった。
    7.初交配で満期分娩した腹数の割合は67%,不妊または流産腹数は30/,早産が3%であった。
    8.経産母体において満期分晩したものは74%,流産,不妊は23%,早産は3%であった。
    9.3年間の総出産仔数から算出した平均同腹仔数(±S.D.)は3.1(±1.0)頭であった。
    10.仔ネコの死亡率は0~5日齢で14%,6~35日齢で7%,36~60日齢で11%,61~100日齢では3%であった。
  • 信永 利馬, 高橋 和明, 今道 友則
    1976 年 22 巻 3 号 p. 89-94
    発行日: 1976/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.発情間期に隔日2回,PMSG 100IUおよび50IUを皮下注射したネコにおいて注射開始後5日目に発情が誘起された。
    2.PMSGにより発情が誘起されたネコに,さらに排卵を誘起するために各種GTH(ヒツジ下垂体性GTH,ブタFSH,HCG)を皮下注射した結果,排卵は排卵誘起処置後27時間目にはみられなかったが,33時間目には大多数に,36時間目には全例に認められた。また,交尾刺激を受けた後排卵までの時間もこれとほぼ同様であった。
    3.PMSGによる発情誘起ネコにブタFSH,ウマLHヒツジ下垂体性GTH,HCG,合成LH-RFの皮下注射を行った結果,50%排卵誘起量はそれぞれ0.075AU,1200μg,0.0234RU,6IUおよび4.8μgであった。合成放出ホルモンならびに各種GTHのマウスにおける50%排卵誘起量をそれぞれ1とするとラット,ウサギ,ネコのそれはFSHでは6,51,7;LHでは12,96,48;P-GTHでは7,254,4;HCGでは16,131,8;LH-RFでは16,32,128であった。この成績からネコに排卵を誘起するために必要なLHおよびLH-RFの用量はFSH,P-GTH,HCGのそれより大量であることが認められた。
  • 梅津 元昭, 橋爪 一善, 正木 淳二
    1976 年 22 巻 3 号 p. 95-98
    発行日: 1976/11/30
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    幼若雌ラットに3IUのPMSおよびPMS注射後6時間にクロミヘンを投与し,両群の排卵に至るまでの卵巣,子宮重量および血中LHの変化を比較して次の結果を得た。
    1.クロミヘン処理ラットでは,排卵が24時間遅れてみられたが,排卵数では差がなかった。
    2.クロミヘン処理ラットでは,PMS注射48時間以後,子宮重量の増加が抑制された。
    3.PMS処理ラットではLHの放出はPMS注射後55~57時間にみられたが,クロミヘン処理ラットでは24時間遅れて78,79時間にみられた。
  • 新村 末雄, 石田 一夫
    1976 年 22 巻 3 号 p. 99-105
    発行日: 1976/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    妊娠5日12時間から16日までのハムスターの子宮に出現する巨細胞をORSINIに従って第1次巨細胞と第2次巨細胞に分け,それぞれについて核酸,たん白質,多糖類,脂肪を染色し,さらに,Acid Pase,Alk Pase,Etase,SDH,各種OH-SDHの組織化学的検出を試みた。
    第1次巨細胞は細胞質突起をもっており,妊娠5日12時間にすでに着床腔周辺とエクトプラセンタルコーン付近にみられ,次第に増えてライヘルト膜近くの子宮内膜に分布し網状構造を形成した。この時期の巨細胞にごは赤血球の破片が貧食されていた。妊娠後期には紡錘状となって減少した。第2次巨細胞は多角形で,7日12時間に増殖中のエクトプラセンタルコーンの外側に多数出現し,後に合胞体化して栄養海綿体を形成した。
    これらの巨細胞は常に多量のRNAを含有しており,acrolein-SCHIFF陽性たん白質も少量観察された。グリコゲン穎粒は第1次巨細胞では妊娠12日まで,第2次巨細胞では13日まで,いずれも少量認められた。酸性多糖類はまったく検出されなかった。脂肪小滴は第1次巨細胞では8日まで少量認められ,第2次巨細胞では10日から出現し次第に増加した。AcidPase活性は弱かったが,妊娠期間をとおして常に認められた。Alk Pase活性は弱かったが8日まで存在し,9日で痕跡的となり11日に消失した。SDH活性は第1次および第2次巨細胞とも常に弱かった。Etaseと各種OH-SDHは検出されなかった。
    以上のことから,ハムスターの巨細胞は従来いわれているように移行性と貧食性をもっており,胞胚の着床や着床腔の拡大に関与していることが示唆されたが•ラットやマウスにみられるようなOH-SDHは検出されなかったので,プロジェステロンの産生は行われていないように思われた。
  • 西田 司一, 大塚 順, 林 英夫
    1976 年 22 巻 3 号 p. 106-108
    発行日: 1976/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    旧子安農園のヨークシャー(Y),バークシャー(B)の2品種合計17,363頭の産子性比を分析して次の結果を得た。
    両品種合計の総性比は51.8%で雄へかたよっている。品種別にみるとY,Bそれぞれ51.7,52.1%を示し,雄へかたよっている(Table 1)。子の性比がかたよる父,母個体の率はそれぞれ9.4,6.5%であったが(Tables2,3),それら個体の家系は調査できなかった。死産率は両品種合計で7.3%の高率で,その性比は55.5%(Y54.1,B59.3%)で雄へのかたよりを示している。
  • 長谷川 喜久, 菅原 七郎, 竹内 三郎
    1976 年 22 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 1976/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    妊娠3日目から7日目までのラット子宮液の蛋白質成分とその由来について検討した。
    1.子宮液の蛋白質量は,妊娠の経過に伴い漸増しており,6日目以降では急激に増加した。
    2.妊娠初期における子宮液の蛋白質の増加は,実験的処理による観察の結果,エストロジェンの分泌および卵子の着床刺激による脱落膜の形成の結果であることが示唆された。
    3.子宮液の蛋白質成分は,ディスク電気泳動および免疫化学的分析の結果から,量的な差異が見られたが,血清のそれに類似していることが示された。
    4.FITC標識の血清蛋白質により,血中から子宮腔への血清蛋白質の移行を検討した。その結果,血清蛋白質が妊娠初期の子宮液の蛋白質の経時的な増加に大きく関与しており,これらの変化は卵巣ホルモンに支配されていることが明らかにされた。
  • 枡田 博司, 和出 靖
    1976 年 22 巻 3 号 p. 115-118
    発行日: 1976/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    雌3頭,雄1頭からなる異性4仔および雌2頭,雄2頭からなる異性4仔の2例について,培養白血球の染色体を分析した結果,いずれの個体にも性染色体のキメラを確認した。例1においては,4仔の雌雄に関係なく雌型細胞が約80%を占め,キメラの程度は4仔問でほぼ同率であった。例2においては,4仔の内の2仔のみ,しかもそれぞれの検査細胞数がわずかであったので,キメラの程度の比較はできなかった。なお2例とも解剖学的および組織学的観察を行うことが出来なかったが,これらの雌牛がフリーマチンである可能性は十分に考えられる。
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