津田沼孵化場における過去9カ年間の総入卵数1,597,683個の孵化成績を検討して,次の結果を得た。
1. 受精率には明確な季節的変化がみられ,交配別にその様相を異にする。すなわち,同品種間交配では春(W:91.31%, N: 89.57%, B: 86.32%)に最も高く,冬(W:85.09%, N:84.72%, B:84.65%)がこれに次ぎ,夏(W:77.65%, N:83.33%, B:82.85%)と秋(W:74.77%, N:83.99%, B:81.04%)に低い。異品種間交配においては,春(WN:89.68%, NW:87.59%, WB:89.21%),夏(WN:86.33%, NW:83.12%, WB:86.27%)の順に高く,秋(WN:81.41%, NW:79.97%, WB:84.53%)と冬(WN:80.48%, NW:80.50%, WB:84.52%)には低い。
2. W,N及びBの孵化率は86.40,85.55,82.76%であるが,異品種間交配WN,NW及びWBの孵化率は87.37,86.37及び84.87%で,WNはW及びNよりも,NWはNよりも優れ,WBはBよりも良好であつた(P<0.01)。またW,N,Bの健全雛率は79.93,78.99.77.79%であるが,これらの異品種間交配WN,NW及びWBのそれは,84.61,82.85,81.05%で,いづれもその両親の属する品種の同品種間交配の場合よりも優れた成績(P<0.01)を示した。これらの結果は艀化の中~後期における発育中止率及び弱雛率の低さに由来する。なお,WNとNWの正逆交配間では,正交配のWNが艀化率,健全雛率共に優れ(P<0.01)ている。
3. 春の孵化率は89.32%で最も高く,次いで冬の88.18%であり,秋(82.33%)と夏(80.78%)は相当低い。健全雛率も同様に,春は86.09%で最も高く,以下冬(84.83%),秋(78.52%),夏(77.11%)の順であつた。
4. 健全雛1,130,629羽の性比は,雄50.47%(P<0.01)であつた。
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