家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
10 巻, 2 号
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  • 広江 一正, 花田 章, 富塚 常夫
    1964 年 10 巻 2 号 p. 33-36
    発行日: 1964/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.山羊及び牛の精子核中DNA量を顕微分光測光法によって測定した。
    2.Feulgen色素一DNA複合物に単色光(546mμ)のspotを精子頭部の4点(基部1点,中央部2点,先端部1点)に照射し,その濃度を吸光度により比較したところ,基部>中央部>先端部の順で濃く染っていることを知った。代表値として4点平均値又は中央2点の平均値を用いるのが適当であると判断された。
    3.DNA値は吸光度に面積を乗じたものを任意単位として表わした。同一スライド上に塗抹した2つの材料を比較した場合,吸光度にみられる差と任意単位における差は必ずしも一致しなかった。
    4.DNA値は各材料によってその平均値,分散度とも大小色々な値を示した。
  • 佐伯 祐弌, 野上 征利
    1964 年 10 巻 2 号 p. 37-43
    発行日: 1964/08/30
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    1960年から1963年までの記録によって,自然交配の場合と人工授精の場合との受精率およびふ化率の季節的変化を調査した。
    自然交配の場合の調査鶏種は,白色レグホーン(WL),ニューハンプシャー(NH),横斑ロック(BP)の3純粋種と,WL♂♂×NH♀♀,NH♂♂×WL♀♀,WL♂♂×BP♀♀およびBP♂♂×WL♀♀の4交配種を用いた。
    人工授精には主として,白色コーニッシュ(WC♂♂)×(WL♂♂×NH♀♀)(♀♀)および(WC♂♂)×(WL♂♂×BP♀♀)(♀♀)の3元交配種を用いた。
    1.自然交配の場合の総入卵数1,932,366個の平均受精率は83.7%であった。また人工授精の場合,用いた327,485個の平均受精率は81.9%であったが,両群間に有意差は認められなかった。
    2.受精率の季節別差異において,自然交配群では春季(86.5%),秋季(84.2%),冬季(82.2%)および夏季(81・8%)の順位であった。人工授精群においても受精率の季節的順位は前群と全く同様であったが,春,秋,冬,夏の成績はそれぞれ83.9%,83.1%,81.7%および78.9%であった。
    受精率の月別差異において,自然交配群では4月と5月は最高値(86.8%)を示し,8月は最低値(79.1%)であった。人工授精群においては10月に最高受精率(84.8%)を示し,3月(84.0%)および5月(83.9%)も上位で,7月は最低値(77.9%)であった。
    3.種類別受精率において,自然交配では,WL×WL(87.3%),WL×BP(84.5%),BP×BP(83.1%),NH×NH(82.8%),NH×WL(82.1%),WLxNH(81.8%)そしてBP×WL(80・6%)の順位であった。
    4.自然交配の場合の平均ふ化率は86・8%であったのに対して,人工授精の場合のそれは87.7%であったが,両者間に有意差はみられなかった。
    5.自然交配の場合の季節別ふ化率は上位より,春(88.7%),冬(87.5%),夏(85.6%)および秋(85.5%)の順位であった。ところが人工授精における季節別ふ化率は秋(88.5%),春(88.2%),冬(87.3%)および夏(86.9%)の順位であった。
    自然交配における月別ふ化率で,3月(89.1%),4月(88.9%)は上位で,9月(83.2%)は最下位であった。これに対して人工授精の場合,最高値は5月(93.3%)で,最低値は1月(82.3%)にみられた。
    6.自然交配における種類別ふ化率では,NHxWL(90.6%)が最高位で,.WL×BPは最下位(81.7%)であった。
    7.自然交配の平均発育中止率は7・5%であったのに対して,人工授精のそれは9.3%であった。季節別には前者において春(6.2%)が最もよく,夏(8.9%)は最高中止率を示した。後者においては各季節間に大差がなかった。
    自然交配のとうた率および死ごもり率の平均は5.7%であったのに対して,人工授精のそれは34%であった。季節別には春季は5.1%で最もよく,秋季は6.7%で最も不良であった。人工授精群においては各季とも4%以下で,季節間に有意差はみられなかった。
  • VI.山羊の射出精液ならびに副生殖腺液の化学的性状について
    入谷 明, 西川 義正
    1964 年 10 巻 2 号 p. 44-51
    発行日: 1964/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    山羊精液の化学的性状については報告が少く,いまだ明らかにされていない成分もかなりみられる。この実験では3頭の雄山羊について1~2力年間にわたって採取した精液につき化学的組成を検討し,また5頭の雄山羊の副生殖腺液の性状もしらべた。これによって山羊精液の化学的性状が明らかとなり,また山羊精液には尿道球腺から分泌される特有の卵黄凝固酵素を含むので,これに関連した成分上の特性の有無をあわせて検討した。主なる結果はつぎのごとくであった。
    1.山羊の射出精液のpHは濾紙法で測定して6.5(B.T.B.)であった。また精液量は0.63m1(0.1~1.8ml),精子濃度は37.5×108/ml(16~62×108/ml)であった。なお精液量は繁殖季節に多く,精子濃度はむしろ非繁殖季節に高い傾向がみられた。
    2.山羊精漿中の全窒素は牛,緬羊のそれらと大差はなかったが,非蛋白窒素(トリクロール酷酸溶性)はかなり多く,牛,緬羊の約4倍,豚の約10倍程度であった。また精漿中の果糖,クエン酸はそれぞれ707.7mg/dl,384.0mg/d1であって,これらの成分は蛋白濃度とともに年間変異を示し,繁殖季節に高くなる傾向がみられた。
    3.精液中の燐酸化合物は,精漿中には酸溶性燐が多く核酸燐はきわめて少なかった。また無機塩類のうちK,Clが緬羊のそれらよりも幾分高いようであるが,Ca,Na,Mgの濃度では大差はなかった。
    4.山羊副生殖腺液の性状は,尿道球腺液のpHは精のう,前立腺に比べ高く,電極法で8.3であった。全窒素はいずれの腺においても精漿中の濃度よりも高く,非蛋白窒素は尿道球腺にとくに多いようであった。果糖,クエン酸は精のう液中に圧倒的に多く,他の2者ではきわめて少なかった。燐酸化合物のうち全量と酸溶性燐の濃度は精漿中の濃度よりもむしろ少なかった。Ca,Kは尿道球腺液に多く,Mgは精のう液中に高濃度に含まれていた。
    5.以上によって山羊精液の一般性状ならびに化学的性状につきある程度の知見がえられたが,本実験の範囲内では牛や緬羊の精液と比べてとくに凝固酵素の存在に関連すると思われるような特異的成分はみとめられなかった。
  • VII.精液中の酵素量の季節ならびに採取回次による変異
    入谷 明, 西川 義正, 長沢 成吉
    1964 年 10 巻 2 号 p. 52-56
    発行日: 1964/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    山羊精液中の卵黄凝固酵素の凝固強度に影響を及ぼす要因として,この実験では3頭のザーネン種山羊について個体別に採取回次とか採取季節の問題をとりあげ,これらが凝固強度にどのような影響を与えるかを検討した。なお精漿成分のうち主として精のうから分泌されると考えられている果糖,クエン酸,蛋白なども同時に定量し,これら3者と凝個強度との関連性についても比較検討した。
    1)凝固強度はいずれの山羊についても,非繁殖季節よりも繁殖季節の方が有意に高い傾向が認められた。
    2)個体ならびに季節の如何にかかわらず,110例の連続3回採取試験についてまとめた結果,凝固強度は1回,2回,3回目と採取回次のすすむにつれて有意に上昇することが知られた。
    3)主として精のう由来の成分と考えられる果糖,クエン酸,蛋白の濃度は非繁殖季節よりも繁殖季節において有意に高いことが認められた。しかし凝固強度の場合と異り,これら3成分の濃度については採取回次による有意差は認められなかった。
  • VIII. 電気刺戟採取精液ならびに人工膣による半枯渇採取精液中の酵素量
    入谷 明, 西川 義正
    1964 年 10 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 1964/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    山羊精液中の卵黄凝固酵素の凝固強度に影響を及ぼす諸条件のうち精液の採取条件として,電気刺戟採取精液について人工膣法によるものと比較された。また精液を人工膣法によって約1時間内に7~8回連続採取した際の凝固強度の変動を検討した。なお,これら両者の実験では凝固強度以外に精液の一般性状,ならびに精漿中の果糖,クエン酸,蛋白濃度も同時に測定し結果の検討に参照された。
    前者の実験には3頭,後者には2頭のそれぞれ正常なザーネン種山羊を使用し,両実験ともに1961~1962年の繁殖季節中に行われた。主なる結果はつぎのごとくであった。
    A.電気刺戟採取精液の性状と凝固強度電気刺戟採取精液のうち精子をほとんど含まないか,きわめて精子濃度の低い分劃25例(精子濃度0~8.2×108/ml,平均3.4±2.7×108/ml)と人工膣法による採取精液18例について比較された。
    1.電気射精液のpHは濾紙法(B.T.B.)で6.8~8.8,平均7.9±0.6で人工膣法精液の6.3±0.1よりもかなり高かった。
    2.電気射精液精漿中の蛋白,果糖,クエン酸濃度はそれぞれ1.8±1.Omg/0.1ml,170.6±145.7mg/d1,246.1±166.Omg/d1で,これに対し人工膣法精液ではそれぞれ7.1±1.1mg/0.1ml,1242.7±16.Omg/dl,794.6±153.3mg/d1であって電気射精液の方がいずれの成分についても著しく低濃度であった。
    3.電気射精液精漿の凝固強度は41.6±10.Omg/0.1mlで,人工膣法精液精漿の凝固強度29.5±4.3mg/0.1mlにくらべてかなり高く,また比活性度で比較すると,それぞれ29.3±14.5mg/mg蛋白,4.6±1.2mg/ml蛋白となり,電気射精液の方が約6倍程度も高かった。
    4.電気射精液精漿の濾紙電気泳動像から,比活性度の高い精漿では低いものにおけるよりも移動度の遅い蛋白の占める割合がはるかに大きく,また比活性度の高い精漿を射出した分劃では精子,果糖,クエン酸,蛋白などの濃度が著しく低かった。
    以上の結果から低電圧で射出される精子をほとんど含まない分劃では精のう液成分は少く,尿道球腺液が多く含まれ,凝固酵素の純度の高いことが知られた。
    B.連続採取精液(1時間内7~8回採取)の性状と凝固強度1.第1回目の採取精液と7~8回目の採取精液についてそれぞれ4~6例の平均値で比較してみると,精液量はそれぞれ0.91ml,0.31ml,精子濃度は34.8×108/ml,6.2×108/mlであって両者ともに7~8回目では著しく減少した。
    2.主として精のう成分を考えられる果糖,クエン酸および蛋白の濃度を1回目と7~8回目の精液について比較してみると果糖は3~4回目までわずかに上昇し,その後1頭の例では漸減して最初の約1/2になり,他の例では大きな低下はみられなかった。クエン酸は1頭の例ではかなり減少したが,他の例ではほとんど変化はみられなかった。蛋白は2頭ともに4~5回目以降にわずかに低下した。
    3.尿道球腺の分泌液に由来する凝固酵素の凝固強度は1回目の射精液で平均11.60mg/0.1mlであって,4~5回目まで急激に直線的に増大し,その後ほぼ一定値を示し7~8回目の採取精液でも51.43mg/0.1mlであった。
    以上のことから精液を短時間内に連続採取した場合,精のうと尿道球腺では分泌の様相がかなり異ることが知られる。
  • 第1報MALPRESS法の改良
    星 昭夫, 鵜上 三郎
    1964 年 10 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 1964/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    乳腺等のlactoseを分離定量する方法として,操作の簡単なMALPRESS法を検討し,改良法を考えた。その特長は次の点である。
    1) 反応温度を80°Cにして10秒加熱のような時間的な制限をなくした。
    2) 塩類による沈澱をHCIで溶解した。
    3) ascorbicacidを加え,加熱することにより発色を安定にし,感度を高めた。
    4) 特にglucoseが存在してもその阻害をうけず,感度は約5倍になった。
    5) 発色が安定になったので多数の試料を一時に測定できる。
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