家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
21 巻, 4 号
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  • 東大牧場における5年間の調査
    浜名 克己, 小山 徳義, 加藤 次男, 加納 康彦
    1976 年 21 巻 4 号 p. 123-129
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    東京大学付属牧場に飼養されている乳牛を対象として,発情期,授精直前の頸管粘液pHを5年間にわたって測定した。その結果,授精時pHの測定回数は延24例となり,そのうち82例が受胎した。
    頸管粘液pHは6.0~7.8にわたって分布したが,授精時pHは6.8がもっとも多く,6.6,6.4,7.0の順となった。pH7.4以上はわずか4例である。授精時pHの総平均は6.69±0.28となった。受胎時pH値は6.8と6.6がいずれも多く,pH6.4と7.0がこれにつぎ,総平均はpH6.66±0.26となった。
    年度や季節によってpHの分布に多少の差を生じたが,いずれもpH6.4~7.0が主であった。年令および産次数との関係では,未経産牛でPH7.0を示した例が,授精時,受胎時とも相対的に多く,授精時pHが7.2を示した例も多いのが特徴であった。1産~3産にわたってはpH6.6が多くなり,4産以降はpH6.4が増加した。
  • I.投与量と排卵について
    石橋 功, 青木 ひかる
    1976 年 21 巻 4 号 p. 130-134
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    人工昼夜の条件下に飼育した成熟ラット600匹に,種々の量(0~50 i.u.)のPMSおよびHCGを筋肉内に投与して,HCG注射後12,14,16,20時間(又はそれらに相当する時間)に屠殺して,排卵に及ぼす影響を検討した。
    1. HCG注射後20時間における最高の排卵数は,PMS と HCG の同量投与の場合に得られ,50,30,20,10i.u.において43.9,31.2,21.8,16.3個であった。これに対し,PMS 50,30,20,10 i.u.の単一投与の場合は,それぞれ1.0(1/10匹),2.0(3/10),6.5(4/10),12.1個(9/10)であった。
    2. PMSに対するHCG注射量の減少に伴って,排卵するラットの割合および排卵数が低下したが,HCG注射後20時間の成績でみれば,この傾向はPMS投与量が多く,HCG量の割合が少ないとき(およそ1/3~1/2以下)に顕著であった。
    3. HCG投与後の経過時間に伴って,排卵するラットの割合および排卵数が増加したが,無処置に比較して排卵時間の延長ないし遅延がみられ,その程度はPMS投与量の少ないときに小さかった。
    4. 以上の結果から,成熟ラットの過排卵誘起には,HCGの注射が必要であり, PMSに対する且CG量の割合は,およそ1/2(少なくとも1/3)以上が適当であろうと考えられる。
  • 中原 達夫, 百目 鬼郁男, 金田 義宏, 加茂 前秀夫
    1976 年 21 巻 4 号 p. 135-140
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    Prostaglandin F(PGF)を用いて牛の分娩誘起を試み,次の成績を得た。
    1. 妊娠116~159日の経産牛3頭において,総量25mgのPGFを6時間の間隔で3回分割子宮内注入し,うち1頭には21時間後に10mgを追加投与した結果,処置後51~91時間に流産が起こった。
    2. 妊娠252~258日の経産牛3頭,未経産牛2頭において,4頭には総量20~30mgのPGFを9~12時間の間隔で3回分割子宮内注入し,うち2頭にはそれぞれ26, 31時間後に10mgを追加投与した結果,処置後39~108時間に生存子牛が娩出された。他の1頭には10mgを1回筋肉注射して,69時間後に同量の追加投与を行った結果,処置後118時間に分娩が誘起された。
    3. 妊娠272~276日の経産牛2頭,未経産牛3頭において,4頭には10~15mgのPGFを1回,あるいは3時間の間隔で2回分割筋肉注射し,他の1頭には20mgを12時間の間隔で2回分割子宮内注入した結果,処置後29~49時間に生存子牛が娩出された。
    4. 妊娠後期に処置した牛10頭の後産排出はいずれも遅延して,分娩後2~6日以降にみられた。
    5. 末梢血中progesteroneの濃度はPGF投与前の3.6~5.3ng/mlから,投与後6~12時間には1.3~2.0ng/mlに急激に低下した。なお,頸管の ?? 開は1ng/mlある5いはそれ以下の濃度がしばらく続いた後に起こった。
  • 金田 義宏, 中原 達夫, 百目鬼 郁男
    1976 年 21 巻 4 号 p. 141-146
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    放牧牛61頭(ホルスタイン種48頭,日本短角種13頭)において,黄体期に蒸留水0.75mlあるいは1.0mlに溶解したprostaglandin F(PGF) 3 mgあるいは4 mgを黄体の存在する卵巣と同側の子宮角内に注入した後,52~56時間に合成LH-RH200μg(A群16頭)あるいは合成LH-RHの類縁物質(ノナペプタイド)200μgを筋肉注射(B群13頭)して,処置後の発情発現と排卵の状況および初回発情の受胎性を,PGF子宮内注入単一処置(C群32頭)のそれと比較検討して,つぎの成績を得た。
    1. 発情発現は,処置後37~72時間にA群では10/16頭(62.5%),B群では10/13頭(76.9%),C群では26/32頭(81.3%)に集中して起こった。また,処置後73~108時間に発情したものは,C群の2/32頭(6.2%)のみでA,B両群ではみられなかった。
    2. 処置後132時間以内に無発情排卵を示した牛が,A群では6/16頭(37.5%),B群では3/13頭(23.1%)にみられ,C群の1/32頭(3.1%)と比べてかなり多かった。
    3. 排卵は,A群では処置後73~96時間に12/16頭(75.0%),B群では61~84時間に11/13頭(84.6%),C群では85~108時間に17/29頭(58.6%)に集中して起こった。また,処置牛の80%以上のものが排卵した時間帯は,C群と比べてA群では12時間,B群では24時間短く,合成LH-RHの併用によって排卵は早期に,しかも短い時間帯に集中して起こることを認めた。
    4. 処置後3~5日の間の授精により,発情徴候を発現した牛ではA群で6/9頭(66.7%),B群で6/10頭(60.0%),C群で21/28頭(75.0%)が受胎した。いっぽう,無発情排卵牛では,A,B,C各群でそれぞれ0/4頭,1/3頭,1/1頭が受胎した。
    5. 以上の成績から,PGFと合成LH-RHの併用によってかなり効果的に排卵を同期化することが可能なことを認めたが,この処置によって生ずる無発情排卵ならびにこれらの牛の低受胎性の原因については,今後の追究を必要とする。
  • 中尾 敏彦
    1976 年 21 巻 4 号 p. 147-153
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    卵胞嚢腫牛における嚢腫の位置,数,直径,黄体共存の有無および破砕の難易性などを直腸検査によって観察し,これらと外部徴候,血中progesterone, estradiol-17β値および予後との関係を検討し,次の結果を得た。
    1. 嚢腫は左よりも右卵巣に多く,両側性のものが最も多かった。
    2. 3個以上の多胞性嚢腫の出現率は,思牡狂および持続性発情型では不規則発情および無発|青型に比べて高かった。
    3. 外部徴候は嚢腫の直径と関係がなかったが,治癒率は嚢腫直径が3em以上のものでは3cm未満のものに比べて高かった。
    4. 嚢腫の総容積と血中progesteroneおよびestradiol-17β値とは負の相関々係があったが,統計的有意性はなかった。
    5. 嚢腫と陳旧性小黄体あるいは開花期黄体との共存は各々29.7%,11.0%にみられたが,思牡狂および持続性発情型では黄体の共存は少なかった。
    6. 嚢腫破砕の難易性と外部徴候,ならびに血中progesterone, estradiol-17β値との間には関係は認められなかったが,治癒率は両卵巣の全ての嚢腫が破砕できたものでは,全ての嚢腫が破砕できなかったもの,および数個の嚢腫のうち一部が破砕できたものに比べて高かった。
  • 三宅 勝, 佐藤 邦忠, 吉川 友喜, 土田 武夫, 長瀬 菊夫
    1976 年 21 巻 4 号 p. 154-159
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1974年のウマの繁殖季節中に,主としてブルトン種,ペルシュロン種のウマ17頭を対象とし,排卵後3~11日目に,PGFTHAM塩4~5mgを1回筋注し,性周期の同期化試験を行った結果,つぎの結論を得た。
    1.17頭中14頭(82.3%)は注射後2~5日目に発情が発現し,平均10日後に排卵が見られた。
    2.PGFによる誘起発情時に,受胎能力の良い種雄馬と交配された10頭中6頭(60%)が受胎した。
    3.5頭のウマの血中黄体ホルモソをRIA法により測定した結果,4頭ではPGF筋注により急激に低下,3日目には全例1.0 ng/ml以下となり,発情はこの前後に発現した。
    4.PGFで発情が誘起された14頭では,一過性に発汗,腸蠕動の充進などが認められたが,無効の3頭ではこのような副作用は全く見られなかつた。
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