家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
22 巻, 1 号
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  • 小笠 晃, 横木 勇逸
    1976 年 22 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1976/05/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    生後直ちに下垂体前葉ホルモンの支配から遮断された初生ラットの精巣について,精母細胞発生過程に対する各種ホルモンの役割を追求するために,垂摘成熟ラットの精巣内に初生ラットの精巣を移植するか,あるいは初生ラットにestradiol,testosteroneを投与して下垂体機能を抑制し,これらの初生ラットの精巣に対するFSH,ICSH及びtestosteroneの影響を形態学的に検討した。
    1)垂摘ラットに移植した精巣において,胚細胞はホルモン欠除の状態で,pachytene期精母細胞まで発育した。この移植精巣は,testosteroneにより精細管の発育がわずかに刺激されたのみであったが,FSHは精細管の発育および精母細胞の出現率を促進した。また正常ラットの精巣に移植された精巣では,精細管の発育は一層促進され,支持細胞数が増加した。なお,0日齢ラットより6日齢ラットの移植精巣の方が,精細胞の発育が促進された。
    2)支持細胞の発育および成熟は,FSHや高単位のPMSGにより著しく促進されたが,ICSH,TP及びEにはその刺激作用がなかった。しかし,testosteroneはFSHと協力して作用しているように思われた。
    3)estradiol投与によって初生ラットの下垂体機能を抑制した場合,精母細胞の発生が著しく遅滞した。しかし大量のtestosteroneを投与しても,初生ラットの精細胞の発育は無処置ラットのそれに及ばなかった。
    以上の成績から初生ラットにおいては,FSHは支持細胞に作用して,その発育増殖および分泌機能を支配,さらにandrogenと協力して精細管内の調節機構を維持し,A型精祖細胞や精母細胞の発育増殖を促しているものと考察された。
  • V. Estradio1単一皮下投与後の3日周期反復
    高橋 和明, 齋藤 徹, 信永 利馬
    1976 年 22 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1976/05/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    午前5時点燈•午後7時消燈の照明時間調節をされた飼育環境で正しく4日周期を画がいているマウス(IVCS系)にestradiol 1μgまたはprogesterone O.5mgを単一皮下投与し,投与後の腟垢像を観察した結果次の成績をえた。
    1.単一皮下投与後,周期日数の短縮が認められる投与時期は,estradiolはIV期の日(発情後期)の午後10時のみであり,progesteroneはV期の日(発情間期)の午後7時のみであった(Fig.1)。
    この投与時期は著者らが既に報告した排卵日を1日短縮させる為の投与時期と一致する。
    2.estradiol 1μgをIV期の日の午後10時からV期の日の午前1時の間に投与し,投与後の腟垢像を観察した結果,estradiolの単一投与後3日周期を繰返す個体を認めた。しかし,その繰返しの回数は雄を金網ごしに1日近接させた場合と同様に比較的少ない(2~4回)が,progesterone単一投与後の場合より明らかに多かった(Fig.2, Table 1)。
    3.投与estradiolの生体内での効力の持続期間を腟垢法及び子宮重量法により検討した結果,去勢雌マウスに対する影響は投与3日後には殆ど消失することから,2回目以降の3日周期の反復に対して投与estradiolが残存して直接的に影響を与えているのではなく,間接的に反復の誘因になっていると思われる。
  • 新村 末雄, 石田 一夫
    1976 年 22 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1976/05/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    卵巣,卵管および子宮内におけるいろいろな発生時期のハムスターの卵子について,Δ5-3β-OH-SDH(基質にDHAとpregnenoloneを使用)と17β-OH-SDH(基質にestradiol-17βとtestosteroneを使用)を組織化学的に検出したところ,およそ次のような成績が得られた。
    卵巣内の原始,第1次,第2次およびグラーフ氏卵胞中の卵子には,いずれの種類の0H-SDH活性も認められなかった。卵管内において,Δ5-3β-OH-SDHと17β-OH-SDHの活性は,未受精卵子,受精未分割卵子,ともに高い活性を示した。これらの酵素活性によって生じたジホルマザン顆粒は細胞質に一様に分布していた。酵素活性は2~4細胞期にかけて次第に低下したが,8細胞期において再び上昇した。ジホルマザン顆粒は分割球の核の周辺と細胞質の表層部にとくに多くみられた。胞胚では,Δ5-OH-SDH(DHA)と17β-OH-SDH(testosterone)の活性がやや低下したが,そのほかの酵素活性は維持された。ジホルマザン顆粒は内細胞とトロホブラストに同じ強さで現れ,細胞質全般に認められた。
    8細胞期と胞胚期の卵子における強い酵素活性の存在は分割球の分化と関係しているように思われる。いっぽう,排卵直後の1細胞期の卵子における酵素活性の意義は不明であるが,受精とは無関係のように思われる。
  • 西田 司一, 大塚 順, 渡辺 忠男
    1976 年 22 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1976/05/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    The data used in the present study were collected from the records in the Thoroughbred Year-lings Catalogue of Japan (from 1970 to 1973) which was published by the Japan Light-Breed HorseAssociation. The catalogue contained three breeds of horses, i.e., Thoroughbred, Non-Thoroughbred, and Thoroughbred Strain, and data collected from eight districts (see the remarks of Table 1). Thetotal number of offspring and of sires listed in the catalogues were 20, 662 and 493, respectively. The results obtained from a study on the secondary sex ratio of race horses in Japan are summarized as follows.
    1. Total sex ratio was 49.3 ( ?? %). Its shift was significant at a 5% level. With regard to eachdistrict and each breed, a shift of sex ratio to female was seen only in the Thoroughbred breed in the C district. There was no significant shift of sex ratio in the total of the eight districts for any breed, or in the sum total of the three breeds for any district (Table 1).
    2. A regional difference in sex ratio was observed most frequently between the H and any other district. It was difficult, however, to find a general rule for regional differences from the present study. Therefore, it cannot be concluded that there is a regional difference in the sex ratio of race horses (Table 2).
    3. A large number of sires showed a shift of sex ratio to female than a shift to male (Table 3).
    4. Shifts of sex ratio were found in the Thoroughbred breed in February and March, in the Non-Thoroughbred breed in March, in the Thorughbred Strain in February, and in all the three breeds in February and March. It cannot be concluded, however, that there is a relationship between season and sex ratio (Table 4).
    5. Shifts of sex ratio were noted in sires at six years of age (to male), and at twelve and eigh-teen years of age (to female). When the sires were divided into three age groups, a significant dif-ference in sex ratio was found only between the two older groups. No permanent shift of sex ratio with the advance in age of sire, however, could be noted in the present study (Table 5 and 6).
  • 加藤 寿次, 荻野 順三, 石井 精二, 川口 擁, 関根 宝吉, 今道 友則
    1976 年 22 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1976/05/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    高純度FSH剤の静注による乳牛の卵胞嚢腫の治療試験を行い,とくに本剤の有効量について検討した。
    1.FSH剤10A.U.投与群4頭では治療効果は認められなかった。20A.U.投与群42頭中34頭(81.0%)では処置後平均27.6日に,40A.U.投与群12頭中10頭(83.3%)では処置後平均22.6日に正常発情の発現がみられた。受胎したものは20A.U.投与群では32頭(76.2%),40A.U.投与群では9頭(75.0%)で,受胎までの平均日数はそれぞれ31.2日,29.1日であった。
    これらの成績から,卵胞嚢腫牛にFSH剤を静注した場合の有効量は300~600R.Ov.U.(S.C.)の排卵力をもつ20~40A.U.であることが認められた。
    2.FSH剤の静注で嚢腫が治癒した例では,嚢腫は大多数において閉鎖黄体化したが,一部は破裂黄体化あるいは退行消失する治癒経過をたどった。
    3.FSH10~40A.U.の静注によって,ショックなどの副作用は認められなかった。
  • VIII.凍結精液授精による受胎例について
    武石 昌敬, 見上 孝, 児玉 幸夫, 常包 正, 岩城 隆昌
    1976 年 22 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 1976/05/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.3頭の犬から採取した精液を液体窒素により凍結し,最高12ヵ月まで保存したが融解後の生存率ならびに活力は35~50卅を認めた。
    2.このように長期に互って保存した精液を4頭の雌犬に授精したところ,陰唇短径の腫大が二峯性を示した3頭は受胎し,正常な子犬を分娩した。
  • 岩瀬 昭二, 梅津 元昭
    1976 年 22 巻 1 号 p. 34-35
    発行日: 1976/05/31
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    黄体嚢腫,黄体遣残(あるいは鈍性発情)と診断された牛に対する治療処置として,PGFを子宮内あるいは膣内に注入して次の結果を得た。
    1.供試牛10頭のうち9頭において処置後1~3日に黄体が退行し,そのうち8頭には処置後1~3日に発情徴候の発現がみられた。
    2.発情を発現した牛7頭に人工授精を行い,このうち1頭が受胎した。不受胎であった6頭のうち5頭は3週間後に発情の回帰がみられた。
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