バナナは世界の果物の中で, 最も多く生産されているものであり, かつFood-fruit (食糧果物) としても, 重要な農産物である.
熱帯および亜熱帯地に生産されるバナナは温帯各国に輸出されていて, 第1次産品として, 重要な貿易品になつている.
わが国は, 台湾からすでに半世紀以上にわたつて, バナナを移輸入してきていて, 日本人の愛好する大衆果物となつている.
世界第2次大戦後は, 貿易品としてのバナナに高率の関税 (100%→80%→現在70%) が課せられていて, 国内果実生産者側からは高率維持を望まれているが, 外国側からは高率が批難されている.
大戦後台湾バナナの生産が10数年間戦前なみに復興しなかつた間に, 輸入自由化に伴つて, 10数力国からわが国ヘバナナが殺到した.そして, エクアドルバナナの無統制な大量輸入で, 業界は混乱して大損害を蒙つたが, その後, 台湾バナナを主とし, エクアドルバナナで補足するように調整輸入されるようになつて, 業界は一応安定した.しかし勢を得た台湾側が日本の消費量を度外視したような大増産に踏みきつたので, また問題が起き始めている.
バナナの輸入最高量は, わが国内果実生産高の約10%ぐらいまでにすることが, 適当な量であろうと思われる.
永らく無統制で混乱していたわがバナナ業界もいろいろの試練を受けて, 漸く一本化した日本バナナ輸入組合結成の段階に到達した.
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