1982年3月20日に植付けられた甘蔗のNCo310品種を用い, 植付後の令の異なる1982年10月19日, 11月19日, 12月20日の3時期に茎を採取し, その茎の中部, 下部の芽について, 矮化病防除の一方法である50℃温湯による, 2時間あるいは3時間処理を行い, 茎芽の発芽に対する影響を調査した。
50℃温湯処理後, 30℃の定温器で発芽調査を行ったが, 30℃置床後7日目までの毎日の発芽個体数の推移をFig.1~Fig.3に示した。全実験を通して50℃温湯処理の2時間, 3時間ともに茎芽の発芽を抑制した。
実験1 (Fig.1, 蔗茎採取日: 10月19日) においてはその抑制効果をみると下部芽の発芽抑制が中部芽の発芽抑制より僅かに少なかった。実験2 (Fig.2, 蔗茎採取日: 11月19日) においては50℃, 2時間処理が3時間処理より中部芽。下部芽ともに30℃置床5日目以降, 発芽抑制効果がやや少なかった。実験3 (Fig.3, 蔗茎採取日: 12月29日) においては, 50℃, 2時間処理が中部芽, 下部芽ともに3時間処理よりも発芽抑制効果がかなり少なかった。
これら実験1, 実験2, 実験3およびTable1から甘蔗の植付後, 齢が進むにつれて, 50℃温湯処理の茎芽に対する発芽抑制効果が軽減し発芽率の低下が少なかった。また矮化病防除に50℃, 2時間処理で充分ならば3時間処理より2時間処理が茎芽の発芽の観点からより有利であると推察される。また下部芽の方が発芽が抑制される程度が中部芽に比較して少なく, 同一茎の中でも齢の進んでいる下部芽の方が中部芽より50℃, 温湯処理に対する耐性が強いと判断した。
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