インドネシア東部ジャワ州ではべと病とSeedling flyによる被害がとうもろこしの栽植本数の減少或は株立本数の不均一性をもたらす大きな要因となっているが, この報告ではべと病およびSeedling flyの罹病および被害消長の調査結果と, 更に人為的に得られた株立本数の不均一性が収量にどのような影響をおよぼすかを調査した結果を報告した.
1. べと病によるとうもろこしの罹病は雨期開始後大凡2~3週間目に播種した区で最高を示し, この期のHarapan種で約90%, Kretek種でも年により約50%の罹病率を示した.しかし罹病率はその後減少し, 2或は3月播種区でまた若干増加傾向を示す.一方Seedling flyの被害はべと病と異なりべと病の罹病が最低を示す時期に最高を示し, 明らかにその被害時期のピークにずれが見られる.
2. 1株本数の異なる均一株および不均一株区をもうけ, 子実重, 不稔個体率および株当100粒重について比較した.
3. 単位面積当り収量の比較では, 1株2本均一区で最高を示し, 1株3本均一区は若干2本区に比して低いが, その差異は明らかでなかった.一方不均一区では1株1, 3本交互区と1, 2, 3本交互区は単位面積当り栽植本数は同一になるが, 共に均一2本区より低い収量を示した.
4. 不均一区の収量が均一区の収量に比して (平均株当り2本区) 低いのは株相互間で補償作用が働かず, その要因として開花時前後における, 一時的ではあるが, 極度の乾ばつが関与したものと考えられる.
5. 株別に見た場合, 不稔個体率は2本株で, それに隣接する株本数が増加する程不稔個体が増加したが, 1, 3本株では隣接株の影響は認められなかった.
6. 1, 2本株当り子実重は隣接株の本数が増加する程減少し, 一方3, 2本株当る子実重は隣接株の本数が減少する程増加した.この傾向は100粒重についても認められた.
7. 株別個体子実重の変異は3本株が他株より大きく, このことは株内個体間での相互補償が働き, それによって株当りの子実重を確保しているものと考えられる.
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