熱帯農業
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39 巻, 2 号
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  • 片山 忠夫
    1995 年 39 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    鹿児島大学新田栄治教授らによって, 1990年にタイ国ノンヤン遺跡 (14゜50'N, 103゜34'E) で発掘された炭化米の粒形を測定した.年代はB.P.2, 120±100と推定されている.完全粒と目される30粒を選び, 9形質を調査し, 更に, 15の形質問の相関を計算した.平均値で, 粒長4.81mm, 粒幅2.44mm, 粒厚1.79mm, 長幅比1.98, 長厚比2.71mm, 幅厚比1.38, 粒面積11.75mm2, 粒体積20.95mm3, 粒重8.23mgを示した.従って本試料はA型, 日本型と判定された.形質間の相関では, 6組合せが0.1%, 1組合せが1%, 1組合せが5%水準でそれぞれ有意性を示したが, 7組合せは有意性を示さなかった.各形質はいずれも極めて小さな標準偏差値を示した.以上の結果を総合し, 本試料は, 1または少数の品種から構成され, 集団内変異が小さい品種であったと推定された.
    著者が過去に得た, 玄米形質値から籾形質値を推定する換算法を用いて, 本試料の籾形質値を推定した.その結果, 籾長6.69mm, 籾幅2.88mm, 籾長幅比2.34などの平均値を得, 同じく籾はA型に属すると判定された.
    過去の報告のうち, タイ国内でノンヤン地域に比較的近い地域の材料を用いた6試料と本試料の籾長と籾幅値を比較検討した.その結果, 本試料は全試料の中では短粒, 狭粒, 小粒, 丸粒に属し, かつ集団内変異が小さい特徴を示した.またタイ国東部に於ては, 栽培稲の粒形は, 歴史的に長粒へ, また広粒へと変遷してきたものと推定された.
  • 第2報 ミニ塊茎の肥大生長に対する植物生長調節剤の作用の検出
    張 光鎭, 志和地 弘信, 林 満
    1995 年 39 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    新たに開発された方法で作出されたヤムイモのミニ塊茎を用いて, このミニ塊茎の肥大生長に対する7種の既知の植物生長調節物質について作用の検出を行った.
    ミニ塊茎の肥大生長に対してIAA, Kinetin, ZR, BRsおよびJA-Meは促進的に, GA3およびABAは抑制的に作用し, 検液濃度と促進作用の程度との関係は, それぞれの物質でやや異なり, ZRの促進作用は0.1μM~100μMの範囲では高濃度ほど活性が大であった.IAAでは1μM~100μMの濃度における活性は同程度であり, さらに, BRsおよびJA-Meは低濃度では促進するが, 高濃度では抑制的に作用する傾向が認められた.次に, 発根や根の生長, ミニ塊茎からの苗条の発生に対する作用も物質によって異なり, IAAおよびBRsは根の生長を促進し, サイトカイニン類は苗条の発生を促進し, JA-Meは根および苗条には無効であった.ミニ塊茎を材料として用いた植物生長調節物質の活性の検定では, 物質の促進作用あるいは抑制作用はもとより, それぞれの検液の濃度と活性の程度との関係も検出され, また, 塊茎以外の組織に対してもそれぞれの物質の作用の特異性が認められた.これらの作用の総合的評価によって, ミニ塊茎による生理活性物質の活性の検定が可能であると推定された.
  • 井樋 昭宏, 望月 俊昭, 井之上 凖
    1995 年 39 巻 2 号 p. 76-81
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    アジアの主な浮稲栽培国産の浮稲品種の中から, 伸長最低節間 (LEI) の位置が第9-10節間と第12-13節間の2群に属する42品種を選び, 節間伸長が始まる苗令に達した後, 毎日2cmまたは4cmずつ水位を上昇させて生育を調査した。その結果, LEIの位置が第9-10節間の25品種は, 2cm/日, 4cm/日の両区ともに実験終了まで生育を続け, 同一国内および異国間において生育の品種間差異は著しくなかった。ところが, LEIの位置が第12-13節間の17品種では, 2cm/日区で3品種が, 4cm/日区で13品種が実験途中で生育の続行が不能になったが, これらの品種では, 最後まで生育できた品種に比較して, 特に下位節間の伸長能力が劣っているようであった。以上の結果から, アジアの浮稲ではLEIの位置が低い品種ほど-節間伸長開始時の苗令が若い品種ほど-節間伸長性が優れていると思われる。なお, 供試した浮稲品種の生長には1日4cmの増水条件がほぼ限度と考えられた。
  • 田代 豊, 谷山 鉄郎
    1995 年 39 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    透水性の高いサンゴ石灰岩に被われた典型的な亜熱帯域島嶼の一つである奄美群島沖永良部島では, 近年集約的な花き栽培が急増している.同島のとくに耕地率の高い地区内において地下水の硝酸態窒素濃度等を測定し, その分布と地形及び土地利用との関連について考察した.さらに, 同島内の水道水源井戸に見られた硝酸態窒素濃度の長期的な変遷と周辺の土地利用との関連についても考察した.
    1.調査地区内の地下水中の硝酸態窒素濃度の分布は地表面の地形とは相関がなく, 集落の中心地点から周辺の畑作地に向かうほど高濃度となる明瞭な分布を示した.
    2.調査地区は全体に耕地率が極めて高く, 集約的な花き栽培の割合も比較的高い.地下水硝酸態窒素濃度は全体に高く, 17サンプル中7サンプルは10ppmを超えた.
    3.同島内和泊町の水道水源井戸のうち周辺を耕地に囲まれているものには硝酸態窒素濃度が長期にわたり漸増を続けているものがあったのに対し, 林地が保全されているものではそのような傾向が見られなかった.
    4.以上により, サンゴ石灰岩に被われた沖永良部島においては地上の農業生産活動が地下水環境に大きく影響を与えると考えられ, 住民の生活に必要不可欠な飲用地下水の水質保全を考慮にいれた土地利用・農業施策が必要であろう.
  • 河瀬 眞琴, 長峰 司, 阪本 寧男
    1995 年 39 巻 2 号 p. 89-98
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • II. 育種材料の改良と育成
    河野 和男
    1995 年 39 巻 2 号 p. 99-109
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    熱帯諸国の育種プログラムの整備度が満足の行くものであったなら, CIATを始めとする国際農業研究機関の役割は, 遺伝資源の収集, 保全と配付に限られていても良いはずである.実際にはごく一部の国を除いて育種プログラムの成熟度は低く, 国際研究機関側が遺伝資源をすぐに育種に使えるレベルにまで改良して, 各国育種プログラムに提供する事が必要である.従って有用性の高い育種素材を育成する事が, 国際農業研究機関の最も重要な仕事である.キャッサバの場合, 育種目標, 育種方法に大きな混乱はなく, 正統的な育種方法に従う事で相応の成果が期待出来る.CIATのキャッサバ育種は, まず良好生育条件下での生理的収量性の底上げに始まり, 主として収穫指数の向上により, 出発点の無選抜品種集団に比べれば, 最初の10年間に生重収量の集団平均でほぼ100%の向上を成し遂げる事が出来た.同時に同じ育種集団を酸性やせ地で病虫害多発の環境で選抜する事によって, 多くの収量阻害要因への耐性を付加する事が出来た.更にタイCIATでの半乾燥気候条件下で育種を続ける事によって, 乾燥条件への耐生と共に, 根乾物率向上とバイオマス増大にも顕著な成果が得られた.従って現在のCIATのキャッサバ育種集団は, 高収性に劣悪環境適応性が付加された.各国育種プログラムにとって即時利用可能な, 育種素材を提供するものと考える.
  • 高村 奉樹, キマロ D.N., ムサニャ B.M.
    1995 年 39 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • ジョン フォーショーン, クエ フォン ション
    1995 年 39 巻 2 号 p. 116-124
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    サゴヤシは通常サッカー移植される.その際, 3―5カ月間戸外の苗床で育成した苗が移植されるが, 最初の苗床1カ月間にかなりの割合のサッカーが途中で枯死する.とくに乾期に枯死率が高い.本研究に於て苗床での枯死率に影響する要因について検討した結果, 高い生存率は親株から分離後3日以内のサッカーを用いる, 根茎を表土直下に埋める, 根長を1cm以上残す, 乾期にはシェイドする, 移植が遅れた場合はベンレイト処理などが有効であることが明らかになった.
  • ―タイ国北部の住民参加による農業振興と環境保全―
    平井 英明, ベラパタナニルンド プライープ, 林 幸博, 舟川 晋也
    1995 年 39 巻 2 号 p. 126-130
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 冨田 正彦
    1995 年 39 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 桂井 宏一郎
    1995 年 39 巻 2 号 p. 134-136
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 39 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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