暖地型牧草の生育特性の一端を明らかにし, 栽培技術確立のための基礎的資料を得る目的で, Guinea grass (
Panicum maximum Jacq.) , Coloured guinea grass (
P.coloratum L.) およびMakarikari grass (
P.
coloratum L.) を圃場栽培し, 草高90cm, 刈り取り高さ20cmおよび10cm, ならびに草高40cm, 刈り取り高さ10cmの3種の刈り取り区を設け, 草丈, 出穂特性, 茎数および乾物収量の変化を調べた.
得られた結果の概要は以下のとおりである.
1.出穂経過からみて, 供試したGuinea grassは晩生的, Makarikari grassは早生的, Coloured guinea grassは中間的な草種と推察される.3草種とも茎数は生育にともない増加し, 乾物収量および草丈の伸長速度は夏に大きく, 秋に低下するが, この低下は晩生的な草種では秋の出穂茎率が高いことにより少ない.
2.3草種とも, 刈り取り処理が強いほど, 夏期の生殖生長的傾向が抑制され, 秋の出穂が促進される.刈り取り処理のこの影響は晩生的な草種ほど顕著である.
3.刈り取り処理による茎数の差は気温低下にともない大きくなり, 秋の茎数増加は、晩生的な草種ほど出穂茎率の増大と逆の関係が強いが.早生的な草種では, 低草高・低刈りにより, 秋の茎数増加が促進される.
3.各時期の乾物収量は.夏には出穂茎率との関連が深く, 秋には早生的な草種ほど茎数との関連が深い.刈り取り処理が強いほど, 夏期の収量が少なくなり, 従って年間収量も少ない.
5. 以上のことから, 各草種の収量を高めるためには, 環境条件および各草種の特性に応じた利用方法が必要である.
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