熱帯農業
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42 巻, 1 号
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  • カマル ムハンマド, 高橋 久光, 御子柴 晴夫, 太田 保夫
    1998 年 42 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    天然型ABAが水分ストレス下におけるダイズの収量に及ぼす影響について検討した. 2ppmの天然型ABAを生殖生長期のダイズに葉面散布処理したところ, 最適水分条件下および軽度の水分ストレス下では収量, 粒数, 莢数とも増加したが, 重度の水分ストレス下では効果は認められなかった. 天然型ABA処理はダイズの水分利用効率 (WUE) を向上させた.天然型ABAを処理したダイズの収量は, 異なる水分ストレス下においてもWUEおよび純光合成量と正の相関が認められ, 相関係数はそれぞれ0.920**および0.940**であった.
  • サハ ウタム クマール, イスラム モハマド シュヒドゥル, サハ ルパ ラニ
    1998 年 42 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    バングラディシュの石灰岩質氾濫原土壌 (Calcaric Fluviso1) において, コメーコムギ二毛作を, 有機物として稲わら (RS) を還元する, または還元しない6段階の施肥条件と無施肥条件下で行った.二毛作は3サイクル行い, 分析は各サイクル終了後に行った.1サイクル目の生産量にはRS配合の効果が反映されず, 化学肥料が収量の決定要因となっていた.しかし, 2, 3サイクル目の生産量には, 化学肥料にRSを配合したことによる効果が反映されていた.そして, 稲作においてバングラディシュで一般的なNPK施用量の50%に相当する効果がRSにより補われていた.無施肥区と化学肥料区の収量は, サイクルが進むにつれて減少する傾向があった.一方で, 化学肥料+RS区の収量は, 2サイクル目以降で, 化学肥料の施用量に関係なく, 増加する傾向がみられた.化学肥料の施用量に関係なく, RSのすき込みによって, コムギやイネによるNPKの吸収は高まった.対照区と化学肥料のみの区では土壌の有機態C, 全N, 交換性K含量は減少した.また, 化学肥料+RS区でこれらの土壌パラメーターは良好な値を示した.各処理区の栄養収支は, 化学肥料+RS区ではNがプラスになり, 対照区と化学肥料のみの区ではマイナスになった.また, Pは全ての区でマイナスとなり, Kはプラスになった.
  • 石田 英子, 上堂 薗明, 若月 利之
    1998 年 42 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    開発プロジェクトによる技術移転・導入を円滑に進める, すなわち, 農民にとって受け入れ可能な技術開発のためには, 現地の限定要因を反映し, それに適合されてきたと考えられる, 現地農民による伝統的農業システムの研究, 理解が必要である.調査は, ナイジェリア国ニジェール州ニェンクパタ川集水域中流部のGadza村を中心とした地域で, 1994年8-11月および1995年6-10月に行われた.この地域には, 伝統的に稲作技術を持つヌペ人が居住しており, 低地では雨期に稲作を, 乾期には野菜を中心に栽培している.彼らが稲作システムのために低地に造成する栽培環境として, 畦あるいはマウンドの存在の有無, また, 畦の区画形態と大きさの違いにより, Togogi kuru, Togoko kuru, Togogi naafena, Togoko naafena, Ewoko, Baragi, Gbaragiの7形態が観察された.稲の生育状況, 雑草の繁茂, 水分条件, 栽培作物種の変化により, 7形態各々において, 各パターンで土壌が移動されることで, 各々の区画形態が変化する.土壌を移動させる理由について, 除草効果, 土壌養分の回復, 水分状況の保全との関係に着目した.各形態にコントロール区を設定し単位面積あたりの雑草のバイオマス量を計測したところ, 7形態中5形態でコントロール区の1/2-1/20となった.移動部分の土壌は, それより下部の土壌と比較して交換性塩基の量が高く, 置換生アルミニウムの量が低かった.微地形的には, Togogi kuruは凸部あるいは標高が高く傾斜があるところ, Togoko kuruは高く比較的平坦なところ, Togogi naafenaは凹部あるいは低く傾斜のあるところ, Togoko naafenaは低く比較的平坦なところ, Ewokoは水条件の悪いところ, Baragiは何らかの理由で休閑したのち再耕作する場合, Gbaragiは常に湛水するところで観察された.ヌペ人の伝統的低地稲作農業システムでは, 水田内の水分コントロールおよび地こしらえの方法として, 彼らが形成する様々な形態および大きさを持つ畦あるいはマウンドが, 「均平化」及び「耕耘」に代替する役割を果たしていると推察された.
  • ラフマン S.M.ルトフォール, 縄田 栄治, 櫻谷 哲夫
    1998 年 42 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    バングラデシュの高温期にトマトを栽培するためには耐乾性品種の育成が強く望まれている.このための基礎資料を得ることを目的として, 日本, アメリカ, バングラデシュなどのトマト16品種の耐乾性を評価した.評価した特性は, 収量・開花数・着果数・着果率・果実重・根及び地上部乾物重・開花までの日数・断水期間である.育苗中の断水処理により, 全ての品種で大きく収量が低下したが, その程度は品種により異なった.収量を含むいくつかの特性を総合的に評価した結果, 小型の果実をつける4品種の中ではチビッコが, 中型果実品種5品種の中ではTM 0126が, 大型果実品種7品種の中ではSevernianinが最も優れていた.また, 小型・中型の果実をつける品種群は, 大型の果実をつける品種群より耐乾性に優れる傾向があった.種々の要因を考慮すると, これらの比較的耐乾性に優れる品種の中でTM 0126が最も優れていると考えられ, 今後の育種及び研究材料として有望であると思われる.
  • ブンチシリクル チュンピット, 和佐野 喜久生, 野瀬 昭博
    1998 年 42 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    いもち病菌 (Pyricularia grisea) を接種したイネ幼穂中のフェニールアラニン・アンモニアリアーゼ (PAL) 及びチロシン・アンモニアリアーゼ (TAL) 活性とイネの品種及び選抜系統のいもち病抵抗性との関係を未接種のものと比較しながら調べた.PAL及びTALは, リグニンの生合成に必要な基本酵素である.酵素活性の日変化の分析は接種日 (未接種) を含めて6日間行った.供試材料に使用した愛知旭 (Pi-a) , レイホウ (Pi-a, Pi-ta2) の2品種及び穂いもち病抵抗性について選抜した強弱2系統 (未発表) の7F8-10 (+/+) , 7F8-8 (Pi-a, Pi-kh推定) はそれぞれ異なるいもち病抵抗性遺伝子 (括弧内に示した遺伝子記号) を有し, それぞれ異なるいもち病菌のレースに対応した抵抗性の有無・強弱を示す.その結果, PAL及びTALの酵素活性は接種日の1-2日後から未接種及び接種区のいずれも増加し, 2-3日内で最大値に達したが, 増加量は接種区の方が顕著に大きな値を示した.2つの酵素の中ではTALの酵素活性はPALのそれに比べて著しく小さく, レイホウ及び7F8-8では活性の最大値に達するまでの期間はPALより1日多く要した.結論としては, いもち病菌接種後のPAL及びTALの酵素活1生の変化は, 異なるいもち抵抗性遺伝子をもつ品種・系統によって有意に異なることがわかったが, 両酵素の活性変化といもち抵抗性遺伝子の作用との関係については, 今後より多くの同様な供試材料を用いた実験によって更なる検討が必要であろう.
  • ラフマン S.M. ルトフォール, 縄田 栄治, 櫻谷 哲夫
    1998 年 42 巻 1 号 p. 46-53
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    耐暑性トマト品種TM0126の生育, 収量および生理的特性に及ぼす温度と水ストレスの影響を調査した.水ストレスにより, 収量, 開花数, 果実数, 果実重, 花粉発芽率, 地上部および地下部乾物生産は低下した.さらに, 高温 (HT, 昼/夜温30/25℃) により, 収量, 花粉発芽率, 地上部および地下部乾物生産は低下した.しかし, 収量, 収量構成要素, 花粉発芽率, 乾物生産には水ストレスと温度の相互作用は認められなかった.即ち, これらの特性に及ぼす水ストレスの影響は温度による影響を受けなかった.光合成速度は, 高温下の方が中温下 (MT, 昼/夜温23/18℃) より水ストレスによる低下が著しかったが, 再給水後の上昇は逆にHTにおいてより早かった.蒸散速度においても同様の傾向が認められた.気孔抵抗はHTにおいてMTにおいてより高くなったが, 水ストレスによる上昇はHTよりもMTにおいて, より著しかった.葉の水ボテンシヤルはHT, MTとも水ストレスにより低下した.TM0126において, 収量, 収量構成要素, 乾物生産等に水ストレスと温度との相互作用が認められなかったのは, HTにおける再給水後の生理的特性の急速な回復によるものと思われる.またHTにおいて, 水ストレス下では気孔抵抗が高く気孔がかなり閉鎖していると思われるのにもかかわらずMTにおいてより光合成速度が高かった.以上の特性はTM0126の耐乾性・耐暑性の機作に関与していると思われる.
  • 安藤 幸夫
    1998 年 42 巻 1 号 p. 54-56
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • ―食品生産と砂漠化防止が可能な樹木作物―
    岸本 修
    1998 年 42 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 岩垣 功
    1998 年 42 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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