熱帯農業
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27 巻, 4 号
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  • 花田 毅一
    1983 年27 巻4 号 p. 221-236
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    インド型の浮稲Kanlang Phnom (KLP) 及び非浮稲T136を用い, ポット栽培した稲を葉齢約8.3の時期に深水処理 (水深25cm及び45cm) を行い, 水深5cmの区と比較して深水下での節間, 葉身, 葉鞘及び分げつの生長を観察した.
    KLPでは第9, 10, 11節問, 特に第10節間が深水により生長を促進されたが, T136では何れの節間も全く促進されなかった.葉身, 葉鞘においては, 第8葉以上の葉鞘及び第9葉以上の葉身が深水により促進され, かつ両品種がほぼ同程度に促進された.生長が促進されたこれらの葉身, 葉鞘は何れも深水開始時に生長が完了していなかったものである.深水開始時既に主茎葉鞘外に出現していた第5節以下の分げつは深水により生長が促進された.しかし主茎葉鞘内の段階にあった第6節以上の分げつ芽は生長が抑制され, 特に分化後1齢を経過した段階にあった第7節分げつ芽に抑制が強かった.分げつの生長にみられたこれらの反応にも両品種問の差はほとんどなかった.
    第3節及び第5節分げつ茎について節間, 葉身, 葉鞘の生長を観察した.葉身, 葉鞘の生長は主茎の場合と同様, 浮稲も非浮稲もともに, 深水開始時生長中であった葉身, 葉鞘が生長の促進を受けた.節間については, T136は両節位の分げつとも生長が全く促進されなかった.KLPにおいては, 第3節分げつ茎は第6節間以上の節間の生長が促進されたが, 第5節分げつ茎は何れの節間も促進されなかった.
  • 新城 明久, 米盛 重友, 新城 健
    1983 年27 巻4 号 p. 237-243
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    亜熱帯・沖繩において, 牛の飼育に適さない湿地帯における雌水牛の産肉能力を調査した.使用した水牛は4頭で, 3頭はけい牧, 1頭は放牧とした.試験開始時の月齢は9~14カ月齢であった.試験地は琉球大学農学部附属熱帯農学研究施設内の湿田跡地10haの野草地であった.水牛は15mのロープでけい留し, 2日に1回移動した.けい牧期間は1978年9月17日から1979年8月16日までの333日とし, 放牧期間はけい牧期間より2週間短く319日とした.その間濃厚飼料は一切給与しなかった.その結果を要約すると以下のようになる.
    試験期間中の体尺測定値の平均増加量はけい牧と放牧水牛で, 体高は11.2±1.2; 10.2cm, 体長は15.3±1.5; 13.0cm, 胸囲は25.0±2.0; 35.0cmおよび腰角幅は7.7±1.3; 6.0cmであった.また体重増加量と1日増体量は, けい牧水牛で113.3±9.3, 0.340±0.028kg, 放牧水牛で155, 0.465kgであった.枝肉歩留は54.8±2.0%, 屠体長は196.8±2.6cm, 腿幅は30.1±1.3cm, 腿厚22.2±0.9cm, 腿囲は86.2±1.3cm, 脂肪厚は1.3±0.2cmおよびロース芯面積は18.2±3.7cm2であった.胸椎, 腰椎, 仙椎および尾椎の数には変異がみられずそれぞれ13, 6, 4および16個であった.肉色は暗褐色で, 筋繊維はやや粗く, 脂肪は純白であった.肉は柔らかく, 牛肉とほぼ類似していた.
  • ―土壌保全の見地からの熱帯流域土地利用の合理的あり方―
    冨田 正彦, 豊田 勝, 竹中 肇, 鈴木 光剛, マニク K. E. S., ロサジ B.
    1983 年27 巻4 号 p. 244-258
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    インドネシア国ランポン州におけるめざましい水田農業の発展は大規模灌漑施設の建設による地域生態系の人為的改変によるところが大きいしかしこうした人為的改変は, 地域の自然と社会との関係になじみの薄いものであったこともあって, ランポン州の農業は必ずしも安定的に確立されているとはいい難く, 種々の災害をも誘発している.
    そこで本論ではまずランポン州の農業生態系と, 流域スケールでのその荒廃, とくに土壌侵食とその流域的影響を考察した上で, 流域管理のためのシミュレーションモデルの開発を試み, これをセプティ川流域に適用して検討した.
    その結果地域農業生態系とその基盤諸施設の安定的維持には以下のような方策の必要なことが明らかにされた.a) ポドゾル土壌の貧栄養性を考慮した熱帯型人工水田生態系の安定的確立, とくにP欠乏に対応した地域的物質循環系やそれに適合する水稲品種の開発, b) 流域内畑地帯における土壌流亡防止農法の開発, これには裸地期間を最小に抑える作付体系の開発なども含まれる, c) 畑地から流亡土の灌漑水路への沈積も抑え, 水田への地力補給に寄与しうるためには, 現行の大用水路建設型開田もさることながら, 畑地流出水が隣接水田に流入するような土地利用計画上の工夫も望まれる.d) 流入懸濁灌漑水・地力成分を有効利用しつつ流域水系の水質保全に寄与しうるには末端水田は湛水面積の広いことが望しく, 現行の田越し灌漑はこの点で優れている.しかしこれが農業機械導入, 水管理操作の困難さを介して地域農業の足かせの一つになっていることも否めない.したがって利点を保持しつつ, 難点を解消しうる, 近代土木技術の枠組のもとでの新しい型式の田越し灌漑方式が開発されるべきである.
  • トルン ブイチ, 吉田 重方
    1983 年27 巻4 号 p. 259-264
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ポット栽培したリョクトウを用いて厩肥の施用効果を調査したところ, 施用厩肥は植物体の生育, 窒素吸収.子実収量および子実の生産能率の増加に働くことを見い出した.しかも, その効果の主体がリョクトウ根粒による共生窒素固定の増加ではなく, 厩肥からの窒素吸収の増加に依存していることが判明した.
  • 1.乾季における水稲の生育について
    谷山 鉄郎, 津野 幸人, ルビス タゴール, スプラプト ヘルマヌス, ゼン ラジマル
    1983 年27 巻4 号 p. 265-275
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    本報告は, 1981年8月9日から同年9月5日まで, 文部省科学研究費補助金 (海外学術調査) と日本学術振興会およびインドネシア共和国文部省による学術交流事業として「インドネシア共和国, ランポン州を中心とした水田及び畑地の農業生態学的調査」の合同調査の一環として行われたものの一部である.
    本調査は, インドネシア, ランポン州の乾季における水稲の葉面積指数, 水稲群落内への光の透過, 生産構造, 根の暗呼吸並びに分級等の側面から作物栽培学的に生育の実態を把握するために行ったものである.乾季の初めに植付けられた水稲は穂ばらみ期から登熟期に達していた.全乾物重 (葉+茎+穂+根) は, 在来品種が最大値を示した.PelitaとIR36は同じ程度であった.葉面積指数ではPelitaの方が高い値を示した.分枝根密度は, 第2次根および根の分級IVと高い正の相関関係が認められた.
    根の呼吸活性としての酸素消費量は, 品種間でかなり相違がみられ, 概して, Pelitaは高い値を示し, 在来品種の中では, Ketanが著しく高く, Gajah MenurやNyampahは低い値で, IR36と同じ程度であった.
    葉の層別分布は, Ketanが40~120cm層にその大部分が位置しているのに対して, IR36は15~50cm層にもっとも多く, 茎の分布においてもKetanが110cmまで位置し, IR36は45cm程度であった.また, Ketnaは穂量が大きいのに対して, IR36は小さかった.群落内への光の透過は, IR36は30cm層で, 急げきに光が減少したのに対して, Keatnは, 群落内への光の透過が滑らかで, 葉面積指数の大きい割には, 光の透過が良好であり, 地表面における光の到達率でもIR36が7%に対して, Ketanは14%であった.吸光係数の値でもKetanが0.29に対して, IR36は0.43のごとく, Ketanの方が光の透過が良好であった.Ketanは草丈が高く, 幹が太く, 頑丈であり, 葉身も強固であることが光の透過を良くしているものと考えられる.光の透過がよいことが, 第4および第5葉位まで緑色が維持され, いまだ光合成生産に貢献しているものといえよう.また, 止葉から第4葉位まで, ほとんど同じ程度に気孔が開いており, IR36に見られるごとく, 下位葉の枯れ上りが著しく, かつ, 気孔の閉塞が起こっている場合とは著しく異なるものであった.
    インドネシア, ランポン州において, 水稲の根の黒色化したものが, ほとんど見られなかったことは, 熱帯における水稲が, 栄養不足の状態, つまり肥料不足あるいは有機質肥料の急速な分解により, 硫化水素や有機酸等の根に有害な物質の残存がないことによるものと考えられ興味あることであった.
  • 守中 正, 橋高 昭雄
    1983 年27 巻4 号 p. 276-281
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 大辻 一也
    1983 年27 巻4 号 p. 282-286
    発行日: 1983/12/01
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
  • 1983 年27 巻4 号 p. 288
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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