浮イネおよび非浮イネの発芽種子にジベレリンA
3 (GA
3) を吸収させ, この物質が葉鞘伸長におよぼす影響を調べた.
つぎに, 浮イネ, 非浮イネの2, 3の品種を普通の栽培条件ならびに増水条件下 (水位上昇条件) で栽培し, 水位の上昇が生育および体内GA様物質含量におよぼす影響を調べた.
1) 浮イネおよび非浮イネの発芽種子にGA
3を吸収させた場合, 両者ともに著しく第2葉鞘長を増大させた.しかし, 浮イネは非浮イネほど著しい影響を受けなかった.
2) 普通の栽培条件下では, 浮イネの草丈および生重は非浮イネに比較して大であった.水位上昇下ではこれらの両タイプのイネの草丈, 生重は増大するが, 浮イネは非浮イネに比較して著しく増大した.
3) 両タイプのイネのGA様物質 (イソプロパノール, アンモニア, 水, 10: 1: 1, ぺーパークロマトグラフィ) は幼苗検定法ではRf0.17~0.30.胚乳検定法ではRf0.40~0.55に認められた.幼苗検定法によるGA様物質は普通の栽培条件下では浮イネがやや多いが, 水位上昇下では両タイプのイネともに増加した.胚乳検定法によるGA様物質は非乳イネに比較して浮イネでは水位上昇下で著しく増加した.
4) 以上の結果, 浮イネの旺盛な生長は1つには組織内に含まれるGA様物質にもとづくものと考えられる.
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