熱帯農業
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43 巻, 2 号
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  • 第3報 ジベレリンがダイジョ (D. alata L.) の茎葉及び塊茎の生長並びに休眠に及ぼす作用
    遠城 道雄, 岡本 繁久, 林 満
    1999 年 43 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ジベレリン (GAs) 処理がダイジョ (Dioscorea alata L.) の茎葉及び塊茎の生長と休眠に及ぼす作用について検討した.植付け後2~4か月の植物にGAsを葉面散布した場合, GAs濃度にかかわらず, 主茎の伸長はまったく促進されず, むしろ抑制される傾向が認められ, 分枝の発生及び伸長は高濃度のGAsほど大きく抑制された.また, ダイジョの塊茎の肥大生長は主として短日によって誘起されるが, 高濃度のGAsを施用すると, 長日条件下でも肥大生長が誘起された.さらに, 生育後期にGAsを葉面散布した場合, 塊茎の休眠が強化され, 休眠期間が大幅に延長された.
    ダイジョの茎葉及び塊茎がGAsに対して特異的な反応を示すこと, また, GAsはダイジョにおいても塊茎の休眠を強化することが明らかとなった.
  • 仲宗根 洋子, 与那覇 恵, 和田 浩二, 安谷屋 信一, 菊崎 泰枝, 中谷 延二
    1999 年 43 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    金時, 三州および人ショウガの3品種の, 通常の二倍体ショウガと茎頂培養により作成した四倍体ショウガにおける, 辛味成分含有量, 辛味性および抗酸化性を比較検討した.
    辛味成分のジンゲロール量は, 品種を問わずいずれの四倍体でも二倍体よりは増大しており, とくに10ジンゲロールの増加が顕著であった.また, 金時の二倍体および四倍体は, 他の2品種よりも多くのジンゲロールを含有した.辛味の官能検査の結果, 辛味の強いのは四倍体であり, 金時>大ショウガ>三州の順であった.金時二倍体を除く5試料間では, 辛味の強さはジンゲロール量に対応していた.ショウガの抗酸化性についてみると, 重量法では抗酸化効果は認められなかったが, ロダン鉄法では, どの試料も強い効力を示し, また, デオキシリボーズ酸化法でも, 品種によって二倍体と四倍体との間に抗酸化性の差異はあるものの, いずれの四倍体もデオキシリボースの酸化を40%抑制した.
    以上のことから, 四倍体ショウガは, 二倍体ショウガの辛味性および抗酸化性の特性を保持, 増強していることが明らかになった.
  • Wichan EIADTHONG, 米森 敬三, 杉浦 明, 宇都宮 直樹, Suranant SUBHADRABANDHU
    1999 年 43 巻 2 号 p. 76-83
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    タイに存在するマンゴー属植物の探索を目的として, 1995~1997年の3年にわたり, 3~7日間の調査を6回実施し, 合計13種のマンゴ属植物のタイでの存在を確認することができた.これらの種のうち, M.foetida, M.odorata, M.sylvaticaM.indica同様, タイの一部の地域で栽培され, その地域では重要な果樹の1つとして市場で流通していた.その他の野生種についても, マンゴー栽培のための台木あるいは耐病・耐虫性品種の育成のための遺伝資源としてそれぞれの種が潜在的な価値を有しているものと思われた.本研究で存在を確認した13種について, 55項目の形態的・生態的特性からその類縁性を検討したところ, M.indica, M.sylvatica, M.oblongifolia, M.collina, M.cochinchinensisのグループとM.caloneura, M.pentandra, M.flava, M.macrocarpa, M.gedebe, M.griffithii, M.odorata, M.foetidaのグループの2つに大別することができた.タイの熱帯モンスーン地域に分布する種はすべて前者のグループに属した.後者のグループに属するほとんどの種は熱帯降雨林地域に自生していた.現在, 熱帯林の崩壊が進んでいるが, 将来の重要な遺伝資源であると思われるこれらマンゴー属植物の保存・維持は早急な課題であると考えられた.
  • Abdul HADI, Gedon NOHOI, ARIFIN, 犬伏 和之
    1999 年 43 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    インドネシア, 南カリマンタンの感潮河川流域に広がる湿地土壌において, 水稲によるカリウムの吸収と土壌のカリウム可給度との関係を調べるために圃場試験およびポット試験を行った.土壌のカリウム含量は調査地点により大きく変動し, 潮位変動の影響を受けていた.潮位変動の影響が小さい程, 土壌のカリウム含量は高かった.土壌の塩分濃度は水稲の地上部生育量や草丈ばかりでなくカリウム吸収量にも明らかに影響していた.土壌塩分が5.5g kg-1乾土を超えると, カリウムを多量 (0.6gK kg-l) に施用した場合を除いて, 水稲生育が著しく抑制された.感潮河川流域の湿地土壌で土壌塩分が8.8g kg-1乾土以上の場合は水稲のカリウム吸収には不適当と考えられた.カルシウムの活量 (有効濃度) は今回測定したパラメータのなかで, 水稲に対する感潮域湿地土壌中のカリウムの可給度の最も適当な指標となり, また土壌溶液のイオン強度がこれに次ぐ有効な指標となることが見い出された.以上の結果より, 感潮域湿地土壌における肥料や石灰施用による無機塩類の添加量は5.5g kg-1乾土以下に維持する必要があると結論された.また, 陽イオンの拮抗作用が高濃度で現われる点も考慮する必要がある.
  • Tasnee ATTANANDANA, Benjaporn CHAKRANON, 久馬 一剛, Pojanee MONCHAROEN
    1999 年 43 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    タイ国の泥炭土壌で稲作を行うに際して, 無機質土壌客土, 石灰施用, 微量要素施用などがイネの収量と不稔性に及ぼす影響について検討した.ポット試験の結果は無機質土壌の施用が最高収量と最低不稔率を与えることを示した.石灰と銅+ホウ素+亜鉛の微量要素施用は顕著に収量を上げ, 不稔率を減らした.また, 石灰の施用量が少ないときに高レベルの銅を施用するとイネの生育, 収量が低下したが, 石灰施用量が多いときには銅の施用は高い収量に結び付いた。圃場試験においても無機質土壌客土と石灰施用はプラスの効果をもたらすことが確かめられた.泥炭土壌に対する銅の施用はイネの収量には効果を示さなかったが, 適当な量の石灰施用との組み合わせにより不稔の回避には顕著な効果を示した.
  • 野村 和成, 米田 和夫, 内山 寛, 小山 鐵夫
    1999 年 43 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    各地に分布するカンナ属植物のうち, C.indica11系統, C. hybrid, C. coccineaそれぞれ1系統ならびにその他のカンナ属植物4系統, さらに, 鑑賞用カンナであるC.generalis2系統の計19系統を栽培し, 各種の生育特性について調査した.根茎重と開花期間および萌芽数との間に有意な負の相関が認められたが, その他の形質には系統間で相関がみられなかった.各形質が異なる遺伝的要因によって支配されていることが推測され, 各地域に適応した形質を合わせ持つ系統育成の可能性が示唆された.根茎の形態は長楕円形で主茎を中心に匍匐する系統と球形で塊状となる系統があった.萌芽の様式は植え付け後から生育期間を通じて連続的に萌芽するタイプと急速に萌芽した後一時停止し、再び萌芽するタイプがあった.前者の系統は開花も連続的に起こり, それぞれの芽の止葉が展開した直後から根茎が肥大し, 花芽分化, 開花が頂芽優勢を消失させ萌芽が連続的に起こったものと推測され, 花芽分化と萌芽の連続性には関連性があることが示唆された.
  • 菅沼 浩敏
    1999 年 43 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    アメリカ合衆国とメキシコの国境付近の乾燥地に自生している雌雄異株植物であるホホバ (Simmondsia chinensis L.) の雌雄性をアイソザイムによって幼苗期に検定できるか否かについて, 雌樹, 雄樹および実生苗を用いて検討した.
    その結果, 成樹のパーオキシダーゼザイモグラムおよびエステラーゼザイモグラムにおいて雌雄性の差異が認められた.また, 実生苗においても成樹と同様のザイモグラムが認められ, アイソザイム法により幼苗期に雌雄性が検定できる可能性を見出した.
  • 菅沼 浩敏
    1999 年 43 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    アメリカ合衆国とメキシコの国境付近の乾燥地に自生している雌雄異株植物であるホホバ (Simmondsia chinensis L.) は未だ品種が確立していない.そこで, アメリカ合衆国アリゾナ州Hyder地域の4ケ所から収集した種子 (A, B, C, D系統と呼ぶ) を用いて, 種子重と種子の形態および品質との関係について検討を行った.
    その結果, 各系統の種子重の分布についてみると, A, D系統では0.61~0.80g, B系統では0.21~0.40g, C系統では0.41~0.60gの種子が最も多かった.種子の形状のうち長さは, 小粒系統のB系統が種子重の増加に伴って最も大きく変化したが, 他の3系統では差が認められなかった.種子の長径, 短径には4系統間の差は認められなかった.種子中の油脂含有率は, 系統間に多少の違いは認められるが, 全体として, 種子重の増加に伴って増加する傾向が認められた.一方, タンパク質含有率と水分含有率は, 種子重の増加に伴って減少した.油脂の品質の中で利用する場合最も問題となる酸価は, 油脂含有率の低い種子の油脂が高く, 遊離脂肪酸が多くなる傾向が認められた.
    以上の結果から, 品種の選抜目標としては, 大粒種子で, 株当たりの種子生産量が高い系統の選抜・育成が望まれる.
  • 濱村 邦夫
    1999 年 43 巻 2 号 p. 113-114
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 野中 健一, 宮川 修一, 水谷 令子, 竹中 千里, 道山 弘康
    1999 年 43 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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