タイ国産の浮稲90品種を供試して, 伸長最低節間の位置ならびにエステラーゼ同位酵素遺伝子型について調査し, 次の結果を得た.
1.伸長最低節間の位置には, 第9~19節問の変異がみられた.大まかには, 伸長最低節間の位置が比較的低い品種群 (第9~10節間) と高い品種群 (第12~19節間) に分けられるようであった.
2.エステラーゼ同位酵素遺伝子型については, 期待される遺伝子型のうち, Est
1Est
2SEst
3F, Est
1Est
2FEst
3F, Est
1OEst
2SESt
3FおよびEst
1O Est
2FESt
3Fの4型が認められた.なお, 各遺伝子型に属する品種の数は, それぞれ, 41, 41, 7, および1であった.
3.伸長最低節間の位置が第9~10節間であった43品種の約84%は遺伝子型1, 第12~19節間であった40品種の約90%は遺伝子型3であった.
遺伝子型1はIndica, 遺伝子型3はSinicaに属するものが多いとされ, 従来一括してインディカとされた品種群を二分割する案がある.これにもとづけば, タイ国産浮稲には, 生体機能の面からも, 伸長性がすぐれた品種群 (Indica) と劣った品種群 (Sinica) の2群のあることが考えられる.
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