インドネシアの主として水田から採取した12土壤と本邦の6土壤について, 可給態リン酸測定のためにBray II液およびOlsen液抽出を行ない, それら土壤に生育した水稲苗のP吸収量との相関を調べた.
1) 湛水条件下では, ほとんどの土壤のP可給度は増加するが, 増加率は土壤によって異なる.No.4, 11土壤のように著しく高い増加率を持つ土壤のP可給度は, 風乾土のBray II抽出値によると過小に評価される.それ故, 水田土壤のP可給度を測定するには湛水田より採取した湿潤土か湛水保温土を用いるべきである.
2) Bray II法はCa-Pの多い場合を除き, 水田土壤の可給態Pの評価に利用できる.インドネシアにおいてCa-Pに富む土壤は火山性レゴソル, 若いグルムソル, および沖積土中に見出される.
3) 風乾土に対するOlsen法の適用性は, Ca-Pに富む土壤を過大評価することがない点でBray II法よりすぐれている.しかし, 湛水保温土に適用した場合には良い相関が得られない.それでOlsen-EDTA法を提案した.この方法でインドネシアのほとんどすべての種類の水田土壤のP可給度を検定できることがわかった.
4) Olsen-EDTA法.4gの風乾細土を15m
lの水を入れた試験管 (1.5×16.5cm) に入れて35℃で3週間保温する.Olsen-EDTA抽出液 (pH8.5 0.5M NaHCO
3-0.02M EDTA) を1.23倍濃く調製しておき, この溶液65m
lで試験管中の土壤と水を250m
lポリエチレン広口瓶に移す.振とう30分後, 濾過する.濾液5m
lを25m
l目盛付試験管にとり稀硫酸で発泡しなくなるまで中和し, Mo-アスコルビン酸硫酸試薬2.5m
lを加えて発色させ, 710mμで比色する.
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