熱帯農業
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40 巻, 4 号
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  • コンドカル ヌル アハメド, 佐藤 晃一
    1996 年 40 巻 4 号 p. 169-174
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    バングラデシュで通称アモン稲水田に発生する雑草の種類別の発生密度について, 稲の株間隔並びに施肥が与える影響を試験した.
    試験は, 先の研究と同時に実施したが, 稲株の周りに繁茂する雑草の種をすべて分類して測定した.このようにして計測された雑草の種別個体数を, 全雑草個体数に対する比率で考察した.
    調査の結果によると, 雑草は6科に属する9種の発生が観測され, 株間隔あるいは窒素施用量の増大に伴って全ての種において発生率が増大したが, 増大率には差異が見られた.
    株間隔が広い場合, 雑草は著しい発生量を示したが, 稲の分げつ数の増大に伴って次第に発生が減少した.他方, 株間隔が小さい場合には, 雑草の発生は少なくなる傾向を示した.
    窒素施用量と雑草発生量との関係を, y=mx+cなる1次関数で近似したところ, 観測されたすべての種について極めて高い相関 (r2; 0.818~0.973) が見られた.
    雑草種の違いによる窒素施用量に対する反応はそれぞれ異なっており, 雑草発生率の増大に差異が見られた.すなわち, 1ヘクタール当たり窒素1kgの増加に対して, 9種の雑草の内, Cyperus iriaが最も高い増加率を示し (W1; 0.015%, W2; 0.017%) 次にPaspalum distichumScirpus mucronatusが高い結果となった.
    以上の結果から, 移植水田において, 窒素施用量の増加が各種の雑草発生の相対的な比率に及ぼす影響を, 予測可能であることが明らかになった.
  • 友松 篤信, 伊藤 敞敏, ウィジャヤ ハニー, ウスティオン ゼイン, クメンドン ジョン, 松山 晃
    1996 年 40 巻 4 号 p. 175-181
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    インドネシアのヤシ花茎から伝統的手法により採取した樹液と, それから作られる黒糖の一般分析および糖・有機酸の定量分析を行った.砂糖ヤシ (Arenga pinnata Merr.) , パルミラヤシ (Borassus flabellifer L.) , ニッパヤシ (Nypa fruticans Wurmb.) およびココヤシ (Cocos nucifeya L.) からの樹液は10~13%の糖を含み, その大部分はショ糖であった.樹液をインキュベートするとショ糖は微生物の作用により加水分解され, 大量のブドウ糖および果糖と若干のオリゴ糖が生じた.パルミラヤシ, ニッパヤシ及びココヤシはコハク酸, 砂糖ヤシはリンゴ酸の含量が最も高かった.砂糖ヤシとニッパヤシの樹液をインキュベートすると乳酸が顕著に増加した.樹液の糖全体に占める還元糖の比率はインキュベートによって12.5%から90.1%に顕著に増加した.黒糖における還元糖比は36.1~43.0%であり, 通常法によりサトウキビ搾汁から製造された黒糖の還元糖比より著しく大きかった.
  • ラハマン モハマド ハシヌール, 伊藤 實
    1996 年 40 巻 4 号 p. 182-188
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    黒ボク土を用いたポット栽培において, 土壌三相組成への締め固めの影響と開花早期でのダイズ (Glycine max L. cv. Suzuyutaka) 根の成長を対照条件で研究した.土壌の締め固めにより全間隙率, 間隙比及び気相が減少した.一方, 締め固めの強さが大きくなるにつれて飽和容水量, かさ密度, 固相及び液相が増加した.土壌の締め固めにより根重量, 根体積, 根最大長, 根密度及び根芽比率 (=1/T-R率) が有意に減少した.しかし, 土壌の締め固めの程度による栽培42日後のダイズの草高, 茎と葉柄の重さ, 及び葉の重さにおける大きな影響は統計的には見られなかった.この研究によって根の成長は土壌の締め固めの強さに影響を受けることが観察されたが, 締め固めの強さは植物の地上部の生育要素に対しては影響を与えていなかった.
  • 野村 和成, 米田 和夫
    1996 年 40 巻 4 号 p. 189-194
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    タイ北部で栽培されるサヤダイコン (パッキフッド) は, 未熟莢が食用として利用される.日本においては, 多数の未熟莢を得るためには冬季播種のトンネル栽培が適している.この要因を明らかにするため, パッキフッドの低温に対する反応について検討した.日本のダイコン品種の発芽率は, 温度の低下にともなって低下し, 5℃以下ではほとんど発芽しなかったのに対し, パッキフッドは5℃においても高い発芽能力を示した.パッキフッドでは15℃以上, 聖護院では20℃以上で胚軸の急激な伸長が認められたが, いずれも5℃以下では胚軸伸長はほとんど認められなかった.高温下 (25/20℃) で播種し, 5日後の幼苗を暗黒下0℃で低温処理した後, 再び高温条件に移すと, パッキフッドでは3日間以上, 聖護院では2日間以上の低温処理により生育の回復は著しく阻害された.低温処理したパッキフッドの胚軸組織からは, 電解質の漏出が認められ, 高温下で生育した胚軸組織は, 低温に遭遇すると細胞膜機能の喪失が生じやすいことが示された.日本のダイコン品種では, 低温による光合成速度の低下が著しかったが, パッキフッドは低温下でも光合成がそれほど大きく阻害されないことが示された.パッキフッドは, 低温での発芽, 初期生育の維持, 光合成の維持能力をもち, このことが低温下で初期生育する栽培型において着莢数を増加させる大きな要因であると考えられる.熱帯地域から導入されたパッキフッドが低温耐性付与のための遺伝資源として有効であることが示唆された.
  • 津田 誠, 平岩 確
    1996 年 40 巻 4 号 p. 195-203
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    干ばつが頻繁に起こる地域でイネ収量の安定と向上を図るには, イネの乾燥回避性 (干ばつ条件下で植物体内水分状態を良好に保つ能力) を高めることが提案されてきた.一方, 乾燥耐性 (干ばつ条件下で植物体内水分状態が悪化しても収量が低下しない能力) も, 収量を改善すると考えられたので, 乾燥耐性と収量との関係を調査した.圃場に雨よけビニールハウスを2棟設置, 1987年には10品種, 1988年には24品種を栽培し, 1棟では早生品種の穂ばらみ期から晩生品種の出穂までの間, 給水を停止することによって土壌を乾燥させ, もう1棟は終始湛水条件の対照区とした.乾燥回避性は積算水ストレス, CWS (水ストレスの強さと期間の総合評価値) , 乾燥耐性は水ストレス感受性, K (積算水ストレス当りの収量の変化程度) を用いて評価した.出穂日, 収量, 乾燥回避性, 乾燥耐性いずれにも品種間差があった.乾燥回避性と出穂日との間には対応関係がなかったが, 乾燥耐性と収量は乾燥が与えられた発育段階により大きく異なった.一般に, 登熟初期に乾燥が与えられた品種は, 後期に与えられた品種より, 乾燥耐性, 相対収量ともに小さかった.しかし, 登熟初期に乾燥が与えられたにもかかわらず, 桂朝2号, 密陽23号, IR36は, 乾燥耐性があり, 相対収量も大であった.特に, 桂朝2号は湛水条件下での収量が高かったので, 乾燥条件下の収量は供試品種中最高であった.以上より, 乾燥耐性の改善によって干ばつが頻繁に起こる地域のイネ収量が改善される可能性が示唆された.
  • 島 佳久, 永浜 伴紀, 菅沼 俊彦, 北原 兼文
    1996 年 40 巻 4 号 p. 204-212
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    サツマイモ特有のストレス応答反応として, 病虫害や各種化合物処理などによるイポメアマロン (Ip) などのフラノテルペン類の生成が知られている.
    本報では, 傷害サツマイモの品質劣化, 特にIp生成について, 機械的傷害自体とその後の保蔵条件の影響を調べた.除菌条件下で塊根の片側側面の皮層に擦過傷をつけ, 一定の温・湿度条件下で保蔵して, 3, 7, 14, 21日目の試料について重量変化と傷害側, 無傷側それぞれの部位別の成分変化を追跡した.その結果, 高湿条件 (Wet: RH85~95%, 13℃, 25℃) では, 全体的に成分変動が極めて少なく, Ipも検知されなかった.
    一方, 低湿条件 (Dry: RH60~70%, 13℃, 25℃) では重量損失や組織の軟化, 澱粉減少, ポリフェノール増加が認められ, これらの変動は傷害側で大きく現れた.Ipは傷害側だけに確認され, その生成は25℃で著しく増進された.健全な塊根では, 上記の両条件下での重量損失も少なく, Ipの生成も認められなかった.
    これらの結果は, Ipの生成・蓄積には機械的傷害と, その後の保蔵環境, 特に低湿度が大きく影響することを示している.低湿条件ではサツマイモの傷害コルク層形成が遅く, 不完全であることが知られているので, このような条件では擦過傷部位の修復が進行せず, 傷害自体が継続的にストレスとして作用するものと考えられる.なお, 使用したコガネセンガン, シロユタカ, 高系14号では, 傷害感受性に多少の品種間差異が認められた.
  • 橋本 仁
    1996 年 40 巻 4 号 p. 214-221
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 野瀬 昭博
    1996 年 40 巻 4 号 p. 222-228
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 杉本 明
    1996 年 40 巻 4 号 p. 229-236
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 寺内 方克
    1996 年 40 巻 4 号 p. 237-240
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 40 巻 4 号 p. 241-244
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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