熱帯農業
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37 巻, 3 号
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  • 矢口 行雄, 中村 重正
    1993 年37 巻3 号 p. 167-170
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    パパイア軸腐病に対する温湯ならびに蒸熱処理の効果を検討した結果, 収穫した果実を48.9℃ (120°F) の温湯に20分間浸漬した場合, 果実の中心部が47.2℃ (117°F) に達するまで蒸熱処理した場合に比べて軸腐病の発生が少なく, また温湯・蒸熱処理を併用した場合には発生を著しく抑制した. このような処理果実の腐敗部位からLasiodiplodia theobromae (Syn.Botryodiplodia theobromae) , Colletotrichum gloeosporioides, Fusarium sp.などの糸状菌が検出され, とくにL.theobromaeによる腐敗が目立った. L.theobromaeの感染初期に対する各処理の効果を明らかにするため, 接種果実を温湯, 蒸熱処理した結果, 接種24時間後に処理した果実は48時間後に処理した果実に比べて腐敗果率, 腐敗度ともに低かった. 以上の結果, 収穫後できるだけ速やかに温湯・蒸熱処理することによって通常の航空輸送による流通段階での軸腐病の発生を著しく抑制するものと推察された.
  • ピンニアム ナルモン, ウェーバー カール, 富田 正彦
    1993 年37 巻3 号 p. 171-178
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    森林資源が急激に破壊されたタイのように, 森林再生は多くの国で行わなくてはならない政策である.しかし政府単独ではこの事業を達成することは出来ない.そのためには長期間の作物収穫を維持できる土壌能力を考えるだけでなく, 経済的な可能性や住民の受け入れ体制も考慮して, 私企業の活動を推進する必要がある.森林地域の維持や, 収入の増加, 農村地域からの移住の減少等を目的として開発を行うためには, 小規模農家がその対象とされる.本研究ではゴムがタイ東北地域で成長する能力があることを見い出している.ゴムの一周期での利益は, 本地域で一般的に栽培されているキャッサバに比べて高い.しかし初期での多くの調査や収穫までの長い期間は, 補助金が無いと小規模農家にとっては非常に重荷となる.地区には多様な自然条件があるため, 全てがゴムに適合しているわけではない.しかしプロジェクトの十分な奨励や小規模農家に対する補助金の信用を与えることで, この地区でのプロジェクトは可能となると思われる.
  • スサント スラメト, 中島 芳和, 長谷川 耕二郎
    1993 年37 巻3 号 p. 179-185
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    ハウス栽培トサブンタンの別々の樹に結実した無核果と有核果について, 収穫時期および貯蔵期間を変えて, 果実品質の変化を調べた.収穫期の無核果は有核果とほとんど変わらない果重になったが, 無核果では有核果よりも果形が西洋ナシ形でネック状となり, 更に果皮が厚くなって, 果皮の催色が遅れた.無核果の果汁の全可溶性固形物 (TSS) と酸の含量は成熟期間を通じて有核果よりも低くなった.無核果と有核果の果汁のTSS含量は11月中旬から翌年2月中旬にかけて著しく高くなり, その後は3月中旬まで同じ水準であった.TSS含量の増加には蔗糖, グルコースおよびフラクトース含量の増加が与かった.無核果の酸含量は有核果よりも遅く減少した.成熟期間のTSS含量の増加率と酸含量の減少率は貯蔵果よりも樹上の果実で高かった.トサブンタンの完熟に必要な有効積算温度は約2800℃日と推定される.
  • 1. 低温暴露と冷却速度の発芽率に及ぼす影響
    ウェラセナ リヤナ アラチゲ, 宮崎 尚時
    1993 年37 巻3 号 p. 186-190
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    安全な超低温保存法を開発するために, ゴマ3品種を用いて, 乾燥ゴマ種子の低温障害と冷却速度との関係を調査した.種子を水分含有率2%程度に乾燥し, ポリエチレン袋に脱気密封した後, 冷アルコール液やプログラムフリーザーを用いて低温に暴露した.供試品種中もっとも低温感受性の高い真瀬金ゴマでは, -20℃の冷アルコール処理で発芽率の低下が認められたのに対し, 感受性の低い長野小川在来では液体窒素気相貯蔵後も高い発芽率を維持していた.他方, -0.5℃/分の緩やかな速度で-60℃まで冷却した場合には, 真瀬金ゴマでも発芽率の低下は著しく軽減され, その後液体窒素気相に移しても発芽率の低下は認められなかった.これらの結果から, -60℃までの冷却速度が低温障害の発生に密接に関係していることが明らかになるとともに, 乾燥ゴマ種子の超低温保存の場合, -60℃まで緩やかに冷却すれば感受性品種でも障害を回避できることがわかった.
  • 高垣 美智子, 佐藤 卓, 伊東 正
    1993 年37 巻3 号 p. 191-196
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    トウガラシ属4品種を用いて, 高温処理が生育, 乾物生産量および純光合成速度におよぼす影響を調査した.苗のステージでは40℃以上の高温で生育が顕著に抑制された.生育の温度に対する反応は品種により異なっていた.定植後の植物体の生育や純光合成速度は高温処理により抑制されなかった.また, 蒸散速度, 気孔コンダクタンスは高温処理により促進された.一方, 収量は果数, 果重とも高温処理により抑制された.高温処理に対する反応は栄養生長器官と生殖生長器官とで異なっていた.高温条件下における植物体の生育は果実の存在により抑制される傾向にあった.高温ストレスに対する耐性を述べる場合は茎葉の生育と落花の発生や果実肥大の抑制とを分けて考える必要が認められた.品種による高温ストレスに対する耐性は, 高温における蒸散能と落花が起こる温度により決定されることが示唆された.
  • 松本 信二, 高野 克己, 鴨居 郁三
    1993 年37 巻3 号 p. 197-201
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツ果肉からアセトンパウダーを調製し, 酵素を抽出してDEAE-セルロースにより分画し, 得られたPPO画分の性状を検討した.
    1) DEAE-セルロースを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより, P-I, P-II, P-IIIの3つのPPO画分が得られた.これらはディスク電気泳動法により, それぞれ単一の活性バンドであることが確認された.
    比活性はP-Iで約2倍, P-IIで6倍, P-IIIで31倍にそれぞれ上昇し, 活性回収率は3画分で89.3%であった.
    2) 至適pHはP-I, P-IIはpH8.0, P-IIIは7.5といずれもアルカリ側に認められ, pH安定性はP-I 6.3~8.7, P-II5.8~8.3, P-III 5.7~8.7の範囲であった.
    至適温度はP-I, P-IIが35℃, P-IIIは40℃であった.熱安定性はP-I, P-IIIで60℃, P-IIでは50℃以下で安定であった.
    3) 金属イオンおよび各種試薬の影響は, P-IはCu2+で400%, Co2+で311%と著しく活性が上昇し, Al3+で136%とやや上昇した.P-IIはCu2+で159%, Co2+で146%と活性が上昇した.また, メルカプトエタノール, L-システインにより3画分とも活性阻害が認められたが, それ以外の試薬によってはほとんど影響されなかった.
    4) Km値はクロロゲン酸に対する値が最も小さく, 親和性の高いことが認められた.
    5) ゲル濾過法により分子量を測定した結果, P-Iが約37, 000, P-II, P-IIIが約43, 000と推定された.
  • 三浦 憲蔵, サブハサラム タルサック, ヌーチャン ナリス, タビンスング ヌクーン
    1993 年37 巻3 号 p. 202-208
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    東北タイの大型ミミズ類は雨季にその排泄物を地表面に塔状に盛り上げ, 糞塊 (cast) を築く.大型ミミズ類のこうした活動が土壌に及ぼす影響を検討した.
    糞塊が多数認められる地点では, 層厚で暗色味が強く, 土壌構造の発達程度が高いA層が形成されていた.糞塊はA層中より, 全炭素, 全窒素, 有効態リン, 交換性カルシウム, 交換性マグネシウム, 交換性カリウムに富み, pH, CEC, CEC/clay比が比較的高かった.糞塊が存在する地点のA層では塚の存在しない地点のA層よりこれらの化学特性値が高かった.
    大型ミミズ類は土壌表層部の無機質粒子と植物遺体を摂食し, 消化管内で両者が混合したものを地表面に排出する.糞塊が多数存在する地点のA層で見い出された形態発達及び化学性の向上はこうした活動の結果によるものと考えられた.大型ミミズ類は通気性が良く, 湿潤な土壌条件を好むため, 生息の場は限られるが, その働きは東北タイの土壌生成並びに土壌肥沃度の面で重要であることが明らかとなった.
  • 片岡 郁雄, 井上 宏
    1993 年37 巻3 号 p. 209-213
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    組織培養によるレンブの繁殖法について検討した.シュートの増殖は, ショ糖3%, 寒天0.8%を含むMS培地に, BA1.0mg/lを添加した場合に強く促進された.一方, シュートの伸長は2iP1.0mg/lを添加した場合に最も優れた.BA1.0mg/lを含むMS培地に, NAA0.1mg/lを添加した場合, シュートの増殖はNAA無添加の場合に比べて著しく促進され, シュート数は4倍に増えた.発生したシュートの数と長さには負の相関があった.IBAおよびNAAの瞬間浸漬処理は共にマイクロカッティングの発根を強く促進した.発生した根の状態から判断すると, NAAおよびIBAの浸漬処理における最適濃度は, おのおの1, 000mg/lおよび2, 500mg/lであった.また, NAAは発根培地へ添加された場合にも発根を促進し, この場合0.1mg/Ilが最適濃度であった.
  • 寺尾 寛行, 井樋 昭宏, 井之上 準
    1993 年37 巻3 号 p. 214-218
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    アフリカ稲 (O.glaberrimaSTEUD.) の浮稲37品種・系統とアジア稲 (O.sativaL.) の浮稲50品種を供試し, <深水一長日>下において伸長最低節間 (LEI) の位置を調査するとともに, <非浸水-8, 10, 12および13時間日長>下において2, 3の生態的特性について調査し, 両浮稲の比較検討を行った.供試したアジア稲の浮稲の内訳は, バングラデシュ産が20品種, タイ産, ベトナム産およびミャンマー産が各10品種であった.その結果, まず伸長最低節間の位置の平均値は, アフリカ稲の浮稲は9.2で, バングラデシュ産 (7.9) とタイ産およびベトナム産 (10.5) の中間であった.つぎに, 出穂性について, アフリカ稲の浮稲は8~12時間日長下では全品種・系統が, 13時間日長下では11%が出穂し, 日長反応はバングラデシュ産の浮稲に類似していた.播種後出穂まで日数は, 全日長下でアフリカ稲の浮稲がアジア稲の浮稲より短かったが, その程度は日長が長いほど大きかった.ところが, 主稈葉数は8~12時間日長下ではアフリカ稲の浮稲がアジア稲の浮稲より少なかったが, 13時間日長下で出穂した品種においては, アフリカ稲の浮稲がバングラデシュ産浮稲より多かった.また, 伸長節間数は, 8~12時間日長下ではアフリカ稲の浮稲は約4個で, アジア稲の浮稲より0.8~3.2個少なく, アジア稲の中ではミャンマー産浮稲に類似していた.このように, アフリカ稲の浮稲が示す生態的特性は, アジア稲の浮稲とはやや異なるようである.
  • 第1報 地形と土壌及び土地生産性
    林 幸博, 平井 英明, Prateep VERAPATTANANIRUND, Tawachai Na NAGARA, 服部 共生, 重永 ...
    1993 年37 巻3 号 p. 219-232
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    タイ国北部において, 開畑年次の異なる焼畑斜面地の土壌の理化学性の変化と雑草及び土地生産性の推移を調査し, 焼畑の常畑的利用への移行過程で生じる耕地の生態学的変化を考察した.開畑以降の耕作履歴による土壌の理化学性と作物生産性には大きな時系列的な変化が認められなかった.一方, 各調査畑の急傾斜面地では土壌中のレキ含量が高く, そのため単位土壌容積あたりの細土画分の減少から化学的肥沃度の低いことが認められた.また栽培作物であるトウモロコシの収量は, 傾斜度が大きくなるにつれて低下し, その地下部根系は有効土層の浅い急斜面部で表層に集中して分布する傾向が認められた.さらに, 休閑に隣接した斜面や急傾地では雑草の繁茂量が大きく, 作物の生育に不適であると考えられた.本調査地のような斜面畑の土地生産性は, 土地利用の履歴よりもむしろ地形の影響が効いていると考えられる.
  • 長田 明夫
    1993 年37 巻3 号 p. 233-240
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 川合 尚
    1993 年37 巻3 号 p. 241-247
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • シカクマメ品種「ウリズン」の育成と栽培技術の確立
    阿部 二朗, 中村 浩, 野口 正樹, 市橋 隆壽, 沖村 誠
    1993 年37 巻3 号 p. 248-250
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 友岡 憲彦
    1993 年37 巻3 号 p. 251-252
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年37 巻3 号 p. 253
    発行日: 1993年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
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