キウイフルーツ果肉からアセトンパウダーを調製し, 酵素を抽出してDEAE-セルロースにより分画し, 得られたPPO画分の性状を検討した.
1) DEAE-セルロースを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより, P-I, P-II, P-IIIの3つのPPO画分が得られた.これらはディスク電気泳動法により, それぞれ単一の活性バンドであることが確認された.
比活性はP-Iで約2倍, P-IIで6倍, P-IIIで31倍にそれぞれ上昇し, 活性回収率は3画分で89.3%であった.
2) 至適pHはP-I, P-IIはpH8.0, P-IIIは7.5といずれもアルカリ側に認められ, pH安定性はP-I 6.3~8.7, P-II5.8~8.3, P-III 5.7~8.7の範囲であった.
至適温度はP-I, P-IIが35℃, P-IIIは40℃であった.熱安定性はP-I, P-IIIで60℃, P-IIでは50℃以下で安定であった.
3) 金属イオンおよび各種試薬の影響は, P-IはCu
2+で400%, Co
2+で311%と著しく活性が上昇し, Al
3+で136%とやや上昇した.P-IIはCu
2+で159%, Co
2+で146%と活性が上昇した.また, メルカプトエタノール, L-システインにより3画分とも活性阻害が認められたが, それ以外の試薬によってはほとんど影響されなかった.
4) Km値はクロロゲン酸に対する値が最も小さく, 親和性の高いことが認められた.
5) ゲル濾過法により分子量を測定した結果, P-Iが約37, 000, P-II, P-IIIが約43, 000と推定された.
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