下肢静脈瘤手術に合併した深部静脈拡大,深部静脈不全は,静脈瘤手術により軽快する(静脈血過負荷理論)といわれているが,術後に大腿静脈径が変化するか検討した.下肢静脈瘤110肢(ストリッピング41肢,結紮69肢)を対象に,術前と術後1カ月に空気容積脈波検査と大腿静脈径測定を行った.Venous filling indexはストリッピング術(8.6士4.7ml/秒vs.1.6±0.7ml/秒),結紮術(6.6±4.4ml/秒vs.2.0±1.8ml/秒)ともに有意に改善した(p<0.001).ストリッピング術では術後に前後径が有意に減少した(13.1±2.4mm vs.11.2±1.8mm, p<0.05)が,横径(12.3±3.1mm vs.10.6±1.9mm)と断面積(99±28mm2 vs. 93±22mm2)は変化しなかった.結紮術では,前後径(10.9±2.8mm vs. 9.9±2.0mm),横径(10.4±2.6mm vs.10.0±1.7mm),断面積(90±35mm vs. 82±28mm2)に差を認めなかった.ストリッピング術後に大腿静脈前後径は減少したが,結紮術では効果が認められなかった.
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