静脈学
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18 巻, 5 号
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巻頭言
総説
原著
  • 杉本 貴樹
    2007 年 18 巻 5 号 p. 247-252
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    対象は過去6年間に当院で手術を行った静脈うっ滞性潰瘍を伴う一次性下肢静脈瘤15例15肢である.平均年齢は63.5歳,過去に静脈瘤に対する治療を受けた8肢を含み,潰瘍はCEAP分類C57肢C68肢であった.診断は,Duplex scanにて伏在静脈の逆流の程度・範囲,不全穿通枝の局在,深部静脈弁逆流の有無を検索し,有意の深部静脈弁逆流が認められた肢では,下行性静脈造影にて重症度を評価した.7肢に潰瘍底に向かう不全穿通枝,7肢に有意の深部静脈弁逆流を認めた.手術は,ストリッピング+瘤切除2例,ストリッピング+リントン5例,ストリッビング+深部静脈弁形成1例,ストリッピング+深部静脈弁形成+リントン2例,深部静脈弁形成+瘤切除2例,深部静脈弁形成+リントン+瘤切除2例で,特異な例として高度三尖弁逆流による静脈うっ滞から出血性下腿潰瘍を形成した1例に対し,三尖弁置換術と大伏在静脈の高位結紫を行った.深部静脈弁形成術は,浅大腿静脈のhighest valveに行い,Internal法を3肢,external法を4肢に行った.結果は,平均27カ月のフォローアップで静脈うっ滞性潰瘍は全肢で治癒改善し,弁形成例では有意な逆流は認められていない.

  • 古謝 景春, 國吉 幸男, 伊波 潔, 下地 光好
    2007 年 18 巻 5 号 p. 259-268
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    過去26年間にBudd-Chiari症候群に対する直達手術46例を経験した.手術は閉塞した肝部下大静脈と肝静脈開口部の再開通を同時に直視下で行える後側法アプローチを用いた.46例の平均年齢は48歳であり,男女比は29:17で,大多数の症例で食道静脈瘤・腹水を認めた肝組織検査では,肝硬変・線維症・高度鬱血がそれぞれ65.2%・30.4%・4.3%であった.下大静脈静脈遮断の補助手段として大腿動静脈を経由する人工肺を含む部分体外循環を使用し,下大静脈の拡大材料として自己心膜を用いた.手術死亡は1例(2.2%)であり,術後10年,20年累積生存率はそれぞれ,84%・70.3%であった.本術式は,本邦を含め東洋に多い慢性に経過する主要肝静脈閉塞を伴う肝部下大静脈閉塞型のBudd-Chiari症候群には選択すぺき根治術式と考えている.

  • 春田 直樹, 内田 一徳, 岡田 和郎, 新原 亮, 浅原 利正
    2007 年 18 巻 5 号 p. 269-275
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    過去8年間で,われわれは静脈うっ滞性下腿潰瘍に対する手術治療を67例72肢に行った.これら67症例中30歳以下での消瘍発症例は5例であった.これら5例中2例は深部静脈血栓症の既往を持つ症例であったが,他の3例には血栓症の既往はなく,このうち2例は共通の既往として幼少時の先天性心疾患の根治手術歴を持っていた.2症例とも術前の心臓超音波検査では心機能は良く保たれており,右心系負荷の所見はなかった.1例は30歳,男性で2歳時,11歳時肺動脈狭窄症に対し根治術を受け,他の1例は31歳,男性で4歳時Fallot四微症の手術歴を持っていた.右心系負荷を伴う先天性心疾患の根治術既往を持つ症例での静脈性漬瘍の報告は稀であるが,今回報告した2症例の検討より,幼少児時の先天性心疾患手術既往を持つ症例では,たとえ幼少児期の根治術により心機能の改善が得られていても,就業後の静脈性漬瘍の高危険群である可能性が考えられた.

症例
  • 内田 智夫
    2007 年 18 巻 5 号 p. 253-257
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    Klippel-Trenaunay症候群は四肢の母斑,静脈瘤,肥大を主症状とする先天性血管形成異常である.1994年から2006年までに当院で診療した8症例(男性5,女性3)のうち3例に随伴病変を認めた.【症例1】24歳女性.患肢:左下肢.13歳の時,某大学洞浣で数回,骨の手術を受け,現在杖歩行の状態.腎孟腎炎を繰り返すため精査したところ左腎近傍に最大径12cmのlymphanglomaを発見された.【症例2】52歳男性.患肢:左下肢.他医での診療歴なし.不粧意運動を認めHuntington舞踏病と診断された.【症例3】40歳男性.患肢:両上下肢.血便あり,前医の検査で直腸の静脈瘤を指摘された.当院で診療したKlippel-Trenaunay症候群は他医で手術を受けているものを除き,自覚症状が比較的軽度であるためすべて弾性ストッキングの着用など生活指導にとどまっている.8例中3例に他臓器の病変が認められており,四肢の病変のみにとらわれず診療する必要があると考えられる.

  • 遠藤 将光, 守屋 真紀雄, 笠島 史成, 川上 健吾, 松本 康, 佐々木 久雄
    2007 年 18 巻 5 号 p. 277-281
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は17歳男性,小学校時代から野球に親しんできた高校野球部の投手で,2001年6月,試合翌日に右上肢の腫脹とチアノーゼ・疼痛を訴え近医より当院紹介となった.初診時,右上肢の腫脹・チアノーゼと右肩から前胸部にかけて表在静脈の怒張を認め,超音波検査で右鎖骨下静脈から腋窟静脈内血栓を認めたため入院となった.まず保存療法を施行,2週問後に鎮骨下静脈狭窄に対して血管形成を行い退院した.しかし,2週問後に突然の胸痛を訴え肺塞栓症と診断され,第一肋骨切除術を行った.術中に鎖骨下動脈を損偽したため術後抗凝固と抗血小板療法を継続し,2年前から内服を中止しているが問題なく経過し現在に至っている.

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